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貴社の部長が部門経営者になれない理由とは?

貴社の部長が部門経営者になれない理由とは?

(2017年1月 5日更新)

 
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マネジメントということばが世の中に氾濫していますが、その内容に関する解釈は人によってばらばらです。PHPゼミナールでは、マネジメントについて「経営資源(人、物、カネ、時間、情報、等)を一定の基準・規則にもとづき、最大限に有効活用し、最大の成果を上げること」と定義づけています。

そして、マネジメントが発揮する機能を「管理的機能」と「経営的機能」の二つに分類し、それぞれの観点から意味や目的を検討してみると、部長職の立ち位置がより明確に理解しやすくなります。

 

「管理的機能」

業務が円滑に運営されるための望ましい状態を創り、維持・向上させることを目的とする

 

「経営的機能」

新しい価値を創り出す機能であり、より良い状態に近づくための変革や創造を目的とする

 

部長は管理と経営のどちらに重点をおくのか?

これら二つの機能のうち、管理的機能をできるだけ課長職以下のメンバーに任せ、部長職は経営的機能の発揮に重点を置いている状態が、組織全体の分業体制という観点からは理想の姿です。

ある経営者は「組織が大きくなると『管理』する事が必要となる。 しかし、それは『経営』する事と同じ意味ではない。『経営』が『管理』に堕した時に企業の輝きは急速に色褪せていく」と考え、「どんなに苦しくても、先の展望が見えなくても、リーダーは単なる『管理者』になってはいけない」という持論を展開していました。

事業の持続的な発展のためには、部長職以上の組織責任者は経営に全力を傾注しなければならないということなのでしょう。

 

部長が部門経営者になるためには?

しかし、昨今は部長職といえども、時間の大半を管理的機能の発揮に費やしているケースが圧倒的に多いのではないでしょうか。

では、なぜ部長職が経営をしなくなったのでしょうか。それは、目先の仕事への対応に追われるあまり、担当事業や組織の将来ビジョンを考えることを怠ってきたからでしょう。

実際に部長職対象の研修で、「あなたの担当事業の3年後のビジョンを描いてください」と問いかけても、すぐに描けない人が増えてきました。また、その内容を見ても、ビジョンではなく業務目標を羅列しているだけという状態の方が非常に多いのです。ことほど左様に、将来の「あるべき姿」「ありたい姿」を描けていないので、必然的に受け身の姿勢になり、与えられた仕事をこなすことに汲々としてしまうのでしょう。

したがって、部長職が「部門管理者」から「部門経営者」へと意識と行動を変えるためには、「考える時間」を確保することが絶対的に必要です。米国の経営学者D.コルブが提唱する『経験学習モデル』によると、「経験」を「省察」(≒振り返り)することで、気づき・発見・新たな智慧の創造が促進されるというメカニズムが明らかにされ、経営学における主流の考え方として注目を集めています。

また、大きな成功を収めた経営者や指導者など、実学の世界にいる方がたの多くも、立ち止まって考えること、振り返ることを重視していると述べています。PHP研究所創設者・松下幸之助は「今日一日をふりかえり、失敗や成功を見出し、その味をかみしめる。これが体験である。反省することなしにポカンと暮らしてしまえば、これは体験にならない」(『物の見方 考え方』PHP研究所)と述べ、「経験」を振り返って「体験」に昇華させることの重要性を指摘していました。

 

限られた時間の中で、圧倒的な量の仕事をこなさなければいけないからこそ、逆説的に立ち止まって、考える必要があるのです。立ち止まって考えることで、何が重要で何が重要でないかの判断がつきやすくなったり、何のためにこの仕事をやるのかというミッションが明確になったり、問題を引き起こしている真因を捉えやすくなるなどのきっかけとなるのです。

日々の職場においても、「始業前の5分間は考える時間にする」とか、時には研修会などに参加して、仕事を離れて自分と振り返るなどの行為は、たくさんの気づきと自身の成長を促進してくれます。

 

部門管理者から部門経営者へ――。部長職を理想の姿へ導いてくれるのは、地道な努力の継続しかないのです。

 

 

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的場正晃(まとば・まさあき)
神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得。現在は(株)PHP研究所 直販普及本部研修企画部部長。

 


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