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管理職がもつべき肯定的な人間観とは?

2017年2月13日更新

管理職がもつべき肯定的な人間観とは?

管理職研修ではリーダーシップやモチベーションマネジメントなど、さまざまな内容を学びますが、とりわけ「肯定的な人間観をもつこと」が重要な要素となります。その理由を、PHPゼミナール課長研修の担当講師が解説します。

部下指導以前のことができていない管理職

管理職研修を長年担当してきて思うことは、部下指導以前のことができていない管理職が、残念ながら極めて多いということです。
管理職は、基本として、(1)部下のお手本になる、(2)部下と良い人間関係を構築する、という二つのことができていないといけません。
「部下のお手本」というのは、人間(社会人)として尊敬できる(信頼できる)、仕事面で頼りになる人であるべきということです。完璧ではなくとも、そういった方向に向けて努力している、ということが大切です。
2つ目の、部下と良い人間関係を構築する、というのは言葉のとおりですが、現実には、部下に関心をもっていない管理職があまりにも多いというように思います。マザー・テレサは、「愛の反対は無関心」と言いました。年齢や趣味、家族構成、取得資格、どこに住んでいるのか、学生時代のクラブ活動、ましてやフルネームさえ覚えていない上司に、部下はついていくでしょうか。中国古典に「士は己を知る者のために死す」(史記)という教えがありますが、この意味を今一度考えてほしいと思います。
この基本をおさえてはじめて「部下指導」ということになると思います。

なぜコーチングが機能しないのか

「部下のやる気を引き出したい」――上司なら誰でも思うことです。PHPゼミナールの課長研修では、やる気を根本的に左右する3つの「感」として、「貢献感」「存在感」「成長実感」を紹介しています。かつては、金銭的報酬や昇進昇格といった外的報酬がやる気の源泉と位置づけられていましたが、今はこの「3つの感」、つまり内的報酬が部下のやる気を左右する大きな要素となっています。
この「3つの感」を部下にもたせるためには、上司である管理職との良質なコミュニケーションが欠かせません。そこで課長研修では、コーチングを学んでいただきます。コーチングは、相手のなかにある可能性を引き出し、その人の自主的な前進をサポートするコミュニケーションスキルです。
日本に入ってきて久しいコーチングですが、人材育成の現場で定着しているかというと、そうとは言い難いのが現実です。原因は2つあると私は考えています。1つ目は、習熟しなければ使いこなせないということです。コーチングは、知識を身につけるだけではなく繰り返し練習し実践することではじめて使いこなせるようになります。そこが難しいところで、現場でじゅうぶんに使いこなしているという管理職は、そう多くないというのが現状ではないでしょうか。
2つ目の理由は、「部下のなかに答えがある」というコーチングの考え方が肚落ちしていないこと。そのため、多くの場合、上司が質問をしながら「自分の答え」へと誘導していってしまいます。これはコーチングではありません。部下にしてみれば「言わされた感」が残りますので、行動しようという気にならないのです。

PHP研究所では、人間(部下)に対する考え方・姿勢の変革にこそコーチングの最大の意義があるととらえています。すなわち、コーチングをまず哲学(人間観)としてとらえ、その実現方法としてスキルを位置付けています。そして課長研修では、現場に戻ってからも身につけたスキルを活かしていただけるように、実践的な練習の時間を必ず設けています。

肯定的な人間観をもつ

また、課長研修では人間観について、じっくり考えていただきます。人は意識、無意識を問わず、自分の人間観(人間とはどういうものだと思っているか)に基づいて人間関係を構築したり、リーダーシップを発揮したりします。極端な例ですが、「人を動かすのに一番有効なのは“金”である」という人間観をもっているリーダーは、お金で釣るようなリーダーシップを発揮するでしょう。一方「人間は使命感で動くものだ」と思っているリーダーは、部下の使命感に訴えるのではないかと思います。つまり、管理職として健全な人間観をもつことが健全なリーダーシップを発揮することにつながるのです。

PHP研究所の創設者である松下幸之助は、次のように話していました。

ただの石をいくら磨いてもダイヤモンドにはならない。しかし、ダイヤモンドの原石は磨くことによって光を放つ。しかもそれは、磨き方いかん、カットの仕方いかんでさまざまに異なる燦然とした輝きを放つのである。私は、人間というものはそれぞれに磨けば光る、さまざまな素晴らしい素質をもったダイヤモンドの原石のごときものだと思う。とくに経営に携わる人は、このことを正しく認識し、一人一人の持ち味をどう活かすかを考え、実践していくことが大切である

課長研修では、この考え方をもとに、管理職として肯定的な人間観をもつことの重要性を理解していただいています。

また、管理職として多くの人を動かすためには“人情の機微”を掴むことが大切です。人情の機微とは、「目に見えない、人の心の微妙な動き」のこと。「人間は感情の動物である」といわれ、残念ながら「理性的な動物」とは言い難いのが現実です。人の心を掴むことは、相手の心の動きに敏感にならずしてできるものではありません。目に見えない「人の心」をどう掴んでいくのか――皆さんとともに学んでいければと思います。

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辻 騎志(つじ・きよし)
1960年沼津市生まれ。大学卒業後、人間教育を中心とした研修機関に所属。同時に、故国谷誠朗(くにやのぶあき)氏に師事し、多岐にわたる心理療法を学ぶ。その後、専門学校にて心理学と人間関係論を担当。長年にわたり、中小企業の経営に携わった後、現在はPHPゼミナール・講師(PHPコーチング・認定ファシリテーター)として活躍中。

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