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理念は仕事の原動力である~田村潤

理念は仕事の原動力である~田村潤

(2017年2月22日更新)

 
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人は何のために働くのか、リーダーの条件とは、正しいマネジメントとは――。21万部を超えるベストセラーとなった『キリンビール高知支店の奇跡』(講談社+α新書)の著者であり、自身も普通の営業マンから副社長へ大きな飛躍を遂げた田村潤氏が、「松下幸之助経営塾」の特別講師として「理念の重要性」について語ってくださいました。

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何のために働くのか

世の中にはたくさんの企業があります。長いところでは何十年と続いている。存続しているということは、消費者やお客様から必要とされているということです。もちろん、企業は利益を追求する存在であり、企業とお客様との間にはそこで働く人たちがいます。しかし、長い会社生活の中では、厳しい社会競争や利益目標、日々の多忙などに追われ、ともすば「何のために働いているのか」という理念を見失いそうになることがあります。理念と「今日の仕事」が分断され、理念が「お題目」になってしまっている企業も多いでしょう。

それでも、すべての企業には存在している意味があります。その存在意義を徹底して追求することが、働く人の使命といえます。自社のモノやサービスを、もっと満足して、感動してもらえるようなレベルに上げていくには、どうしたらいいのかを考え続けること。これが理念であり、そこに働くことの意味があります。

お客様に喜んでもらうことが、自分にも大きな喜びになる。これこそが仕事です。

 

困ったときは理念に立ち返る

営業成績が振るわない、ライバル会社のヒット商品にトップの座を奪われる……高知に赴任したのはそんな苦境の中でした。それでも、営業活動のスタイルを変えて、飲食店やスーパーのお客様一人ひとりに挨拶したり、詳しく話を聞いたりするうちに、「キリンを応援してやろう」というファンがどんどん増えていきました。

汗を流して働いた後の一杯に、どれだけ勇気づけられるか。つらいことを忘れ、明日も頑張ろうという気持ちにさせてくれるか。お客様のリアルな声から、数百円の商品にこれほど大きな価値があったのかと気づかされました。

創立以来、キリンビールが掲げてきた理念は「お客様本位・品質本位」です。一番大切なのは、お客様に喜んでもらうという理念。つまり、どこの売場に行っても「一番おいしい」「売れている」キリンビールがあること、目標はこれだけに絞り込まれるということです。あとはこの「あるべき状態」に向かい、そのギャップを解消していくのみとなります。

これがわかってから、メンバー全員がトークや販促物などにさらなる工夫を凝らすようになり、自分たちの力で主体的にやっていくという自立性、そして「現場力」が格段に高まりました。組織を一変させたのが、この「自発的なやる気」だったのです。

 

考え続ければ必ず正解が出る

市場調査は、どの企業も必ず行なっていることでしょう。大企業であれば、膨大な調査をして、分析して、プランを立てる。しかし、これが失敗の原因になることがあります。なぜなら、現時点の延長線上で考えているからです。

市場は動いている。経済動向も消費者の気持ちも変わっていくし、ライバル企業も何をするかわかりません。

ある大手取引先が、「朝令暮改がうちの社是」と言っていました。日に日に変わっている市場に対しては、それくらいのスタンスで臨むべきです。変わっていく市場のダイナミズムをいかにつかむか。つかんで、活かして、もっと大きなダイナミズムをつくっていくことが大切です。

日々変わるということは、何が正解かがわからないということでもあります。わからない中でも、自力で考え抜き、不利な状況を突破していく。考え続ければ、必ず正解は見つかります。人間にはその能力がある。ここに、圧倒的な競争優位を確立できた理由があります。

例えば、有名経営者の著書に書いてあることは、まさに正解ですし、それを参考にするのもいいでしょう。ただし、個別の具体的なノウハウは書いてありません。それを自身の仕事や会社に置き換えたとき、自分はどのような覚悟を持って、どのような指示をすればいいのか。その前提として、正しい戦略は何なのかということを考え抜く、考え続けることが重要です。

ダイナミズムをつくるのも理念です。ノウハウはライバル企業にすぐ真似されてしまいますが、スタイルは簡単に真似することができません。市場をとらえ、自力でダイナミズムを起こしていく。それには理念しかないのです。「お客様に喜んでいただくこと、それこそが自分の使命である」――この理念を持続し、力にすることです。

 

 

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田村 潤 (たむら じゅん)

PHP松下幸之助経営塾アドバイザー / 元・キリンビール(株)代表取締役副社長

1973年、キリンビール㈱入社。95年に支店長として高知に赴任した後、四国4県の地区本部長、東海地区本部長を経て、2007年に代表取締役副社長兼営業本部長に就任。全国の営業の指揮を執り、09年、キリンビールのシェアの首位奪還を実現した。11年より100年プランニング代表。同年より、PHPゼミナール「経営道コース」にて特別講話を担当、経営者育成に取り組む。著書『キリンビール高知支店の奇跡』(講談社+α新書)が21万部を超える大ヒット。

 


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