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「こんな簡単なこともできないのか!」~いつも怒鳴っている管理職の弊害とは?

2017年2月24日更新

「こんな簡単なこともできないのか!」~いつも怒鳴っている管理職の弊害とは?

部下から一番嫌われる管理職はどんな人でしょうか? それは「いつも怒鳴っている管理職」です。怒鳴られた部下はパワハラだと感じます。しかし、怒鳴る管理職にはパワハラの意識がほとんどありません。 また、怒鳴った管理職は気分がスッキリしていますが、怒鳴られた部下は忘れることができない深い傷を負っていることもあります。
そこで今回は、「いつも怒鳴っている管理職」が会社に与える損害と、そうならないための管理職研修についてお話しします。

怒鳴ることの弊害に気づいていない管理職

こんな罵声を部下に浴びせる管理職がいます。
「こんな簡単なこともできないのか!」
「朝から元気ないぞ! やる気があるのか!」
「頼んだ書類、まだできていないのか! いい加減な人間だな!」
「なぜ自分で考えて動かないんだ!」
このようなケースは、ただ感情を爆発させて部下に当たっている場合がほとんどです。

管理職が怒鳴ることにより、以下のような弊害が出てきます。

1)部下のモチベーションが低下し、ひどいときは退職に至る
2)部下の報連相が遅れて、クレームやトラブルが大きくなる
3)リーダーシップが機能しなくなり、上司が孤立する
4)職場が一瞬で凍りつき、ピリピリした険悪な雰囲気が漂う
5)部下がいつも上司のご機嫌をうかがって、仕事に集中できなくなる
6)会社の雰囲気がお客様に伝わり、業績が落ちる
7)創意工夫や独創的なアイデアが出なくなる
8)部下が健康を崩したり、鬱を患う

このような弊害はじわじわ浸透して、いきなり問題として勃発します。現場に足を運んで、現状をきちんとリサーチしてみてください。

なぜ管理職はイライラしているのか?

怒鳴る管理職はイライラしていることが多いものです。なぜイライラしているのでしょうか。そこには、仕事が上手くいかなかったり、目標に追われていたり、上司から叱責されたり、部下が頼りないように感じたりなど、さまざまな理由があるでしょう。
問題の本質は、管理職が期待する基準と現状の間に生じているギャップにあります。「部下はなぜ指示通りに動かないんだ!」「俺がこんなに頑張っているのに、周りはなぜ頑張らないんだ!」「お前はちゃんと俺の話を聞いていたのか!」という怒りは、すべて現状が期待値を大きく下回っているために起こるイライラ・怒りです。
では、管理職が怒鳴ったり、イライラしないために何をすればいいのでしょうか。方法は2つあります。まず、期待値を下げることです。部下に期待すればするほど、期待を下回ったときに腹が立ちます。そうではなく、管理職は、部下がいてくれること、部下が仕事をしてくれることに感謝することです。感謝の気持ちを持てば腹が立ちません。もう一つの方法は、部下に自分の期待をきちんと伝えることです。部下の基準値は管理職の期待値よりも低くて当然です。部下と話し合って仕事の期待値をすり合わせることがとても重要です。
そして、期待とズレている場合も、怒鳴るのではなく、以下のようにコミュニケーションの取り方を変えるとうまくいきます。

1)部下の問題行動を「I(アイ)メッセージ」で伝える

「あなたならきちんと仕事をしてくれると信じていたのに……。あなたの報告を聞いて私はとても残念だ!」――主語を「あなたは~」にするYOUメッセージで行動改善を促すのではなく、自分の想いや期待を伝えるIメッセージとして、主語を「私は~」にすると相手は気持ちよく動いてくれます。

2)どうしてほしいのか行動を具体的に伝える
「6時までに、裏付けデータとして詳細な分析資料を添付して報告書を作成してほしい」

3)期待や想いを伝える
「私はあなたが優秀なリーダーになってほしいと期待しているんだ」

アンガーマネジメント研修が管理職をイライラから解放する

一昨年くらいから、アンガーマネジメントという技法が管理職研修で注目されてきました。「怒りとどう向き合うのか」というものです。例えば次のようなものです。

1)深呼吸をする(鼻から空気を吸い、口からゆっくりと吐く)

2)客観的に考えてみる
 ・イライラを点数にする
 ・イライラを書き出す
 ・「それに対して、なぜ自分がイライラしているのか」を客観的に考える

これらを実践するだけでもかなり管理職のイライラは解消されます。管理職研修にアンガーマネジメントを組み込んでいくといいでしょう。

私も管理職時代に部下を怒鳴ったことがあります。しかし、部下がミスやエラーをしたからといって、頭ごなしに怒鳴るという行為は大人のすることではありません。管理職が理不尽なことを言っているかもしれません。また、どんなに部下に非があっても、どんなに正しいことを言っても、怒鳴ってしまったのでは部下は素直に反省しないでしょう。そもそも、一時の感情で怒鳴っているようでは、管理職失格です。
怒鳴る管理職も怒鳴られる部下も、大きな壁をつくらないように、日常からこまめにコミュニケーションをとることが一番大切ではないでしょうか。




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茅切伸明(かやきり・のぶあき)
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

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