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選手の人生をあずかっている~シンクロ日本代表・井村コーチが語る指導者の心得

選手の人生をあずかっている~シンクロ日本代表・井村コーチが語る指導者の心得

(2016年2月27日更新)

 
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社員研修用DVD『井村雅代コーチの「できない」から逃げるな!――努力するから楽しくなる』から、シンクロナイズドスイミング日本代表・井村雅代コーチの言葉を紹介するシリーズの最終回。井村コーチが若者を指導する上司に熱く語りかけます。≪取材・構成:坂田博史≫

 

*  *  *

 

厳しいコーチに選手はなぜついていくのか?

DVD『井村雅代コーチの「できない」から逃げるな!――努力するから楽しくなる』が発売されたシンクロナイズドスイミング日本代表ヘッドコーチの井村雅代さんというと、大きな声で選手を厳しく叱咤している印象が強く、ここまで紹介してきた言葉からもその厳しさが伝わってきます。しかし、それでも若い選手が井村コーチについていくのはなぜなのでしょうか。その答えの片鱗が垣間見えたのが、次の言葉です。

「私は、選手の人生をあずかっているという気持ちで指導しています。上司の方も、どうか部下の人生をあずかっているという気持ちで接してあげてください」

いかがでしょうか。そして、こう続けます。

「あなたを変えたい、キミを成長させたいという思いがあれば、愛情込みの叱り方になるのではないでしょうか。現場では、愛情などと言っていられないことがあるのは私も同じですが、だからこそ、選手一人ひとりの人生をあずかっているという気持ちを忘れないようにしています」

 

また、愛情の反対は、無視であり、無関心だとしたうえで、部下をコマのようにあつかってはダメで、一人ひとりと人間と人間の付き合いをしていくことが大切なのではないかと述べています。厳しさの裏側にある愛情。それが、若者たちがついていきたくなる要因なのかもしれません。

 

井村コーチは、一人ひとりの選手をよく見て観察することもすすめています。それも、日ごろの行動や性格、何気ない会話でわかる価値観まで把握するように努めていて、それによって「どこまで追い込むか」「どのような言葉をどのタイミングでかけるか」を決めているとのこと。

「ギリギリまで追い込んで、もうこれ以上は本当にムリだなと判断したら、やさしい言葉をかけることもあります。面と向かっては言わず、すれ違うときに『私がメンバーに入れたのだから、あなたは絶対にできるよ』などとふっと言うようにしています」

選手を思いやる心とともに、それを、ふとしたときに伝えることができるというのは、本当にすごいことだと思います。

 

若い人が「上司や先輩に聞く」ことができない理由

「今の若い人たちは、自主性を重んじた教育を受けてきたためか、自分から聞くということができません。もっとコーチに聞きなさい、頼りなさい、利用しなさいと言っています」

「自主性をもちなさい」「自主的に行動しなさい」と言われて育ったがゆえに、何でも自主的にやらなければと考え、他人に聞いたり、他人を頼ったりすることができない若者たち。だから、失敗しても誰に聞くこともできず、修正がうまくいかず、そのまま無理やりやり続けてしまい、その結果、収拾がつかなくなってしまう。そんな若者に心当たりがある人も多いことでしょう。

自分だけでできることは限られています。経験のある上司や先輩から学ばなければ上達することはできません。そのことが分かっていても、なかなか聞けないのだとすると、井村コーチのように「もっと聞きなさい、頼りなさい、利用しなさい」と上司や先輩も繰り返し若手に言う必要があるのではないでしょうか。

 

最後に、井村コーチの育てたい人間像をご紹介して本コラムを締めたいと思います。

「ときにはアリのように24時間働くこともいとわない志があり、ときにはトンボのように複眼で様々な方面から物事を見ることができ、そして、相手を思いやる心をもった血の通った温かい人を育てていきたいと思っています」

新入社員や若手社員にはもちろん、彼らを指導する上司や先輩にも勇気を与えてくれる井村コーチ。文字だけでは伝わらない部分も多いので、ぜひDVDの映像も視聴してみてください。

 

バックナンバーを読む

「これでは世界に通用しない! シンクロ日本代表・井村コーチが感じた若手への危機感」

「しつこい! あきらめない! シンクロ日本代表・井村コーチが語る成功する人の共通点」

 

 

 

DVD『井村雅代コーチの「できない」から逃げるな!』

 

 


 

【監修者プロフィール】

井村雅代(いむら・まさよ)

シンクロナイズドスイミング日本代表ヘッドコーチ。

1950年8月16日生まれ。大阪府出身。

シンクロ選手としては、日本選手権チーム競技で2度優勝の実績をもつ。

天理大学卒業後、中学校教師を経て、78年から日本代表コーチに就任。85年に「井村シンクロクラブ」創設。

以来、長年にわたり日本のシンクロナイズドスイミング界の基礎づくり、世界で戦える選手の育成を行なってきた。その指導者としての実績や功績の大きさから日本の「シンクロ界の母」と称される。

15年1月より日本代表ヘッドコーチに復帰。


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