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「一皮むける経験」が新入社員を劇的に成長させる

「一皮むける経験」が新入社員を劇的に成長させる

(2016年4月12日更新)

 
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研修を終えた新入社員は、日常の仕事を通して壁にぶつかり、それを乗り越える経験、つまり「一皮むける経験」をすることで成長していきます。茅切伸明氏のコラムです。

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今年も新入社員セミナーに立ち会って感じたことがあります。「素直でまじめなのだが、例年以上に元気がなく、おとなしい」。そして、「男性のコミュニケーション能力がますます低下している」ということ。しかし、入社当初、頼りないと思っていた新入社員が、数年後には見違えるように成長し、リーダーとして立派に活躍していることはよくあることです。まじめでおとなしい今年の新入社員も、職場の人間関係に揉まれ、理不尽なことに耐えながら成長していくのでしょう。その成長は、日常の仕事の中で少しずつ積み重ねられるというよりも、むしろ「試練」のような経験によって劇的にもたらされることが多いようです。まさに修羅場のような経験であり、そのような経験こそが「一皮むける経験」であります。

 

新入社員には「学んでから経験し、経験からまた学ぶ」学習スタイル

仕事の経験を通して、その経験を振り返り、内省することでより深く学ぶことを「経験学習」といいます。組織行動学者のデービッド・コルブは、教室の中で学ぶ研修やトレーニングと区別して、「経験→省察→概念化→実践」という4段階の学習サイクルを回すことによって学習するという「経験学習モデル」理論を提唱しました。

今どきの新入社員は失敗することを極端に恐れるため、経験する前に学ぶ学習スタイルを好みます。まず、上司・先輩が手取り足取り教えながら、少しずつ経験を与えて仕事に慣れてもらいます。それから、「一皮むける経験」にチャレンジしてもらいます。最近の新入社員は、入社早々に失敗が続くとつぶれてしまいます。昔と違い、「学んでから経験し、経験から学ぶ」学習スタイルが合っているようです。

 

壁にぶつかって本気で向き合った時に成長する

上司・先輩は、新入社員を見て「言われたことしかできない」「甘えている」と嘆くかも知れませんが、新入社員にとっては「まだ教えられていない」「すぐにできるわけがない」仕事です。そもそも仕事が何たるかもわからないし、「なぜ働くのか」の意味もわからないまま仕事をしているわけですから、上司からは未熟に見えて当然です。それでも、2年、3年の間に幾度となく壁にぶち当たることで、意識や行動が変わるような大きな転換点があります。

本気で壁に向き合った時、「これではいけない」と気づき、懸命にもがく経験をします。自分自身を振り返ってもみても、「あのときのあの経験が一皮むける経験だったんだ」と思うところがあります。

私の知っている経営者たちも、数々の修羅場を乗り越えて成長したという話をされています。彼らは口をそろえて「新入社員時代は落ちこぼれでした」と語り、「あの経験が私を変えた」と振り返ります。

 

「一皮むける経験」を演出するのも上司・先輩の仕事

昔から「苦労は買ってでもしろ」と言われるように、新入社員が一人前に育つ上で「一皮むける経験」は必要なプロセスであることがお分かりいただけたと思います。

しかし、必ずしもどの新入社員にも試練が来るとは限りません。そういった時は、上司・先輩が新入社員一人ひとりに適切な試練を、適切な時期に経験させて、自力で乗り越えていけるように支援していくなど、一皮むける経験を演出することも必要です。

さらに、あえて失敗させて、失敗から学ばせる教育も必要になってくるかもしれません。失敗は、自分の殻を打ち破るきっかけになるからです。上司・先輩には、失敗を温かく見守る度量と覚悟が求められます。

 

試練を乗り越えることなしに大きな成長は期待できない

最近の新入社員は、あきらめが早く、打たれ弱いとも言われます。しかし、新入社員が試練を乗り越える方法は、仕事に真剣に向き合うことによって、自分にできること、できないことを把握しながら何度も挑戦し、成功体験を積み上げることで思考と行動を習慣化するしかありません。知識があるだけでは壁を乗り越えることはできません。知識をうまく使いこなすスキルを身に付けて、無意識にうまく使うことができる知恵になるまで昇華しなければ仕事で成果を出すことはできません。

研修後、配属後の職場で期待されるのは、新入社員が日常の仕事を通して壁・試練に遭遇し、乗り越えることで自分の殻を破ること、つまり「一皮むける経験」をすることです。どんなに研修を実施しても、日常の仕事の経験から学習しなければ、成長しません。ましてや試練を乗り越えることなしに、大きな成長は期待できないといえます。

 

 


 
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【著者プロフィール】
茅切伸明(かやきり・のぶあき)
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 

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