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イノベーションリーダーの条件(3)~衆知を集める

イノベーションリーダーの条件(3)~衆知を集める

(2015年4月16日更新)

 
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松下幸之助のエピソードをひもときながら、イノベーションリーダーの条件を考えるPHP研究所研修事業部長・的場正晃のコラムの最終回です。今回は衆知を集めることの重要性を考えます。

 

*  *  *
 
エピソード「いくらで売ったらいいでしょう」
 
幸之助が初めてソケットを考案製造したときのことである。ソケットをつくりはしたが、いわばまったくの素人、それをいくらで売っていいかがわからない。そこで幸之助は、さっそく、できたソケットをふろしきにくるんで、ある問屋を訪れた。
 
「実は私のところでこういうものをつくったんです。お宅で扱っていただけませんでしょうか」
「うん、ええやろ。うちで売ってあげよう。ところで、いったいいくらやねん」
 
幸之助は適当な値段を言いたいところであったが、言えなかった。それで正直に話した。
 
「実は、いくらで売ったらいいものか、私にはわからんのです」
「わからんでは商売にならんで」
「もちろん原価はわかっとるんですが……」
「なるほど、原価がそれくらいなら、このくらいの値段で売ったらええな」
 
問屋がソロバンをはじきながら考えてくれる。なかには、世間の相場を考慮して、値段を考えてくれる問屋まであった。幸之助が商売を始めた当初は、こうした姿のくり返しであった。
 (『エピソードで読む松下幸之助』(PHP研究所)より)
 
 

 
明治時代の五箇条の御誓文に「広く会議を起こし、万機公論に決すべし」と記されているように、元来日本人は、多くの人の意見を集めたうえでものごとを決めてきました。
 
しかし昨今のグローバル化、スピード化、情報化の進展が日本人のマネジメントスタイルを変えつつあります。できるリーダーほど迅速な意思決定をしたいがために、自分の考えや、各種データ、インターネット情報に頼り、部下・メンバーの意見や知恵を取り入れようとしない傾向があります。
 
一橋大学・名誉教授の野中郁次郎氏は、衆知を集めた全員経営こそが知識創造企業の条件であると述べ、衆知とイノベーションの深い相関性を指摘しています。一人の知恵には限界があります。謙虚に素直に人の意見に耳を傾け、衆知を集める努力がイノベーションリーダーには求められるのです。
 
 
 
【バックナンバーを読む】
 
 
 
 
 
的場正晃 (まとば・まさあき)
 
神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得。現在は(株)PHP研究所経営理念研究本部研修事業部部長。
 

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