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新しいOJTの仕組みを考える

新しいOJTの仕組みを考える

(2011年6月30日更新)

 
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企業における人材育成の中心がOJT(On the Job Training)であることに異論を唱える人は少ないでしょう。

米国のコンサルティング会社・ロミンガー社が、「人が育つ上でどんな出来事が有益であったか」を調査したところ、経験70%、薫陶20%、研修10%といった結果が導き出されました。[注1]これら3つのうち、経験と薫陶がOJTの構成要素であるとするならば、人材育成の90%はOJTを通じてなされるという解釈が成り立つのです。

 

では、企業の現場でOJTがどのように実践されているかといえば、若い人を指導する役割が、先輩社員や直属上司(チームリーダー、主任、係長)といったミドル層に委ねられているケースが多いのです。若いうちから指導経験を積むことが、将来のリーダーシップ発揮につながるという側面もありますが、ミドル層の方がたは第一線現場で最大の成果を上げることが求められており、それに加えてOJTの全責任を負わせるのは少々酷ではないでしょうか。

 

では、組織の中でOJTは誰が担えばいいのか? その問いに対する答えを見つけるために、OJTを二つの機能――実務遂行力を高めるためのスキルや知識を付与する機能と、その会社の伝統や社員としてのあり方を継承する機能――に分けて考えてみましょう。そして、ミドル層にはスキル・知識教育に限定したOJTを担わせ、継承教育に関するOJTは、経験豊富なベテラン社員が担うというように、明確な役割分担を行なうのです。

 

このことにより、ミドル層の負担が軽減されるとともに、ベテランの経験や知恵が次世代に継承され、人材育成の精度が高まることでしょう。またベテランも、育成機能を担うことで自身の存在意義を再確認することができ、やりがいとやる気を維持することができるでしょう。

 

若手が育ちにくい、ミドルの業務負担が大きい、ベテランのやる気が上がらない……。こういった問題に対処するためにも、OJTを機能別に分類し、ミドルとベテランが役割分担して若い人を育てていく、そんな仕組みを自社に構築していくことを、ぜひお奨めしたいと思います。

 

[注1]http://www.lominger.com/pdf/fyi5_usageguide.pdf参照

 


 

的場正晃 まとばまさあき

 

神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得。

現在は㈱PHP研究所 教育出版局 研修企画部部長。

経済産業大臣認定 中小企業診断士


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