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模倣できるものと、できないもの

模倣できるものと、できないもの

(2011年10月14日更新)

 
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サービスの質の高さが利用者から支持を受けている京都の「MKタクシー」。このMKタクシーを運行しているエムケイ㈱は、CS(顧客満足)経営を標榜し、お客さんにご満足をいただくために、ドライバーや社員の意識改革・教育を徹底して実践しています。 

 

創業者の青木定雄氏は、ドライバーに「お客さま第一」の考え方を理解してもらうために、毎朝6時に出社し、夜勤明けのドライバーに無線で「夜勤まことにご苦労様でした。これからもお客さまのためにいいサービス提供に努めてください」と訴え続けてきたそうです。彼は、この取り組み以外にタクシーのサービスを高める方法はないと堅く信じ、創業以来40年以上、雨が降ろうが風が吹こうが、一日も欠かさず、早朝から社員教育を続けてきたというのです。このお話をお聞きした時に、経営者の厳しさを感じるとともに、継続し実践しつづけることがいかに大きな力を生み出すかということを実感いたしました。

 

昨今、「ビジネスモデル」に注目が集まり、急成長を遂げる企業などはすぐ研究され、その会社の成長の源になっている「仕組み」が解明されて、ライバル企業に模倣されてしまうといった事態がよく起こっています。

 

たしかに仕組みはすぐに研究され、ライバル企業に簡単に模倣されるでしょう。しかし、形には表れない、会社の風土や社員の意識というものは、簡単にはトップ企業のレベルに到達することは難しいでしょう。前述の、MKタクシーを例にとれば、サービスの良さが同社の成長の基盤になっているということが、研究の結果、わかったとしても、同じレベルのサービスを提供することはかんたんには真似できないでしょう。なぜなら、トップ自らが40年以上社員を教育し続けて来た、血のにじむような努力があったからこそ、今のMKタクシーの質の高いサービスがあるわけであり、これは簡単には真似ができないからです。

 

人材育成に関しても同じ事が言えるのではないでしょうか。知識やスキルといった比較的目に見えやすい要素は、やりようによっては短期に修得することはできるでしょう。しかし、意識や感性、人間性、といった目に見えにくい要素は一朝一夕には身につかないものであり、長期にわたって継続的に向上させるための実践が必要になるのです。

 

とかく、短期間に成果を問われる傾向のある昨今ですが、人材育成に関しては、ある程度のロングスパンで計画を立て、安易に模倣されない、深い見識と広い人間性を兼ね備えた人材を育成すべきではないでしょうか。 

 


 

的場正晃 まとばまさあき

神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得。

現在は㈱PHP研究所 経営理念研究本部 教育研修部 主幹講師。

経済産業大臣認定 中小企業診断士      


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