課長職にマネジメントの革新を!
RSS

考え抜く力

考え抜く力

(2011年10月28日更新)

 
  • はてなブックマーク
  • Yahoo!ブックマーク
  • Check

最近、企業研修の現場で感じることは、受講者の考えがきわめて浅いレベルにとどまっていることが多いということです。それは、管理職研修であっても、若手社員研修であっても同じ傾向にあります。

 

誰もが、忙しい日々の中で、いろんなことを考えてはいるでしょうが、案外深く考えることなく、ものごとをやり過ごしていることが多いのではないだろうか? そんな思いが日ごとに強まってきます。

 

ここで、松下電器(現・パナソニック)で語り継がれている有名なエピソードをご紹介します。昭和2年、松下電器がアイロン事業に参入を決めた際、当時社長であった松下幸之助は、若手技術者N氏を開発・製造の責任者に指名しました。N氏は、アイロンに関する知識をもっていませんでしたが、幸之助の「君なら必ずできる」という一言に心を動かされ、引き受けることになりました。相談できる人もおらず、大変な苦労を強いられましたが、朝起きてから夜寝るまで、どうすればできるかを考え続けた結果、わずか三ヶ月で低価格・高品質のアイロンができあがり、ヒット商品になったそうです。後年、N氏は当時を振り返り、「必ず達成しようと考え続けると、恐ろしいような力が湧いてくるものだ」と述べました。

 

このエピソードから学べることは、考え抜くことの重要性です。前述の通り、誰もが考えることはしますが、N氏のように寝ている間以外、ずっと考え続けるようなことをしているでしょうか。また、N氏の考え抜く力を引き出した松下幸之助の人の活かし方も注目に値します。幸之助は、「考えて、考えて、考え抜くと、答えが天から降りてくる」という自身の実践経験を通じて、考え抜けば何らかの答えは見つかるはずだという固い信念をもっていました。だからこそ、知識も経験もない若手技術者であっても信じて重要な仕事を任せたのでしょう。そこには、人間のもつ可能性に対する深い信頼と大きな愛情があるとも言えましょう。

 

答が見つかりにくい時代は、見方を変えれば、人を育てるチャンスです。上司が部下に対して、考え抜くことを要求することは、部下の思考力を鍛えることにつながります。そのためには、まず上司自身が率先垂範して、なぜ、なぜ、なぜと自問自答する姿勢を貫き、考え抜く風土を職場に定着させる必要があるでしょう。

 

一朝一夕にできることではありませんが、考え抜く風土づくりに地道に取組み、現状の閉塞状態を打破するような新しい発想を現場から生み出していきたいものです。

 


 

的場正晃 まとばまさあき

 

神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得。

現在は㈱PHP研究所 経営理念研究本部 教育研修部 主幹講師。

経済産業大臣認定 中小企業診断士      


メールマガジン

更新情報をメルマガで!ご登録はこちらからどうぞ