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人が育つ組織構造とは

人が育つ組織構造とは

(2012年9月14日更新)

 
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バブル崩壊以降、多くの企業が組織の見直しを図り、「スピーディーな意思決定」や「トップと現場の距離の短縮化」を目的としてフラット型組織への変革に踏み切りました。

 

A社(社員数4万人)では数年前に、「グループ制」が導入され、組織のフラット化が図られました。この改革によって、一つのグループは一人の「グループマネージャー」がマネジメント責任を負い、それ以外の人々は全員肩書きのない、「メンバー」としてそれぞれの職務に専念することになりました。その結果、当初のねらい通りマネジメントの効率が上がり生産性が上昇したのですが、その一方で組織の人材育成機能が著しく低下し、若い人々が育たなくなるという予期せぬ事態に陥ったそうです。

 

以前のピラミッド型組織では、意思決定に時間がかかるなど多くの弊害があったものの、部長は部のメンバーを、課長は課のメンバーを、係長・主任は自分より若い部下・後輩を育てるという意識がありました。また、若いメンバーも早く主任になるためにがんばろう、主任になったら係長を目指し、そしてさらには課長・部長を目指そうというように、努力する目標が細かくマイルストーンとして設定されていたので、各人のキャリア設計が描きやすかったという側面がありました。

 

確かに、従来のピラミッド型組織のままでは変化の激しい時代を生き抜いていくことは困難でしょう。しかしピラミッド型組織には、「育てる側」にも「育てられる側」にも、人材育成への関心が高い、良き風土が醸成されやすかったことも事実です。前述のA社では、グループ制を維持しつつも、人材育成の役割を担った「チームリーダー」という新たな職位を創設し現場のベテラン社員を任命して、もう一度ピラミッド型組織の時代の「人が育つ現場」を復活させようと挑戦し始めています。

 

この事例が示すように、どんな組織にも一長一短があり、完璧なものなどないのです。特に人材育成に関しては、こんな組織を作れば勝手に人が育つということはありえません。 ある経営者は、「人も組織も生き物であるから、常に『育てる意識』を持って正面から真向かっていかないとすぐに腐ってしまう」と述べ、人材育成に対する「意識」の重要性を指摘しています。

 

変化の激しい経営環境のもと、今後も各企業でさまざまな組織改変が起こるでしょう。しかし、組織構造がどんなに変わっても、人を育てることへの意識と情熱をもち続ける社員をどれだけ輩出し続けることができるか。難しい命題ではありますが、このことの成否が今後の企業の盛衰を左右するといっても過言ではないでしょう。

 


 

的場正晃 まとばまさあき

 

神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得。 現在は(株)PHP研究所 経営理念研究本部 教育研修部 主幹講師。


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