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徹底した人材育成

徹底した人材育成

(2012年11月 1日更新)

 
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「思うように人が育たない」と、お感じなる経営者・人事担当者の方も少なくないのではないでしょうか。確かに、時間とお金と労力を投入して教育研修を実施した割には、期待通りの成果を上げていないケースが圧倒的に多いように見受けられます。この原因は一体どこにあるのでしょうか。

 

私どもが、多くの企業・団体様の人材育成をお手伝いしていて感じることは「徹底すること」が弱いということです。人材育成で着実に成果を上げている企業に共通しているのは、徹底した取り組みがなされているということです。この点に関して、一つの事例をご紹介いたしましょう。

 

抜群の顧客満足度を誇り、「MKタクシー」を運行するエムケイ㈱の創業者・青木定雄氏は、創業以来、乗務員の意識改革に全身全霊を傾けてきました。創業時、挨拶の重要性を啓蒙するため、青木氏は毎朝無線で乗務員に「ご苦労様、おはようございます」と声をかけ続けましたが、まったく反応がなかったそうです。それでも青木氏は諦めず、来る日も来る日も乗務員への声かけを徹底したところ、10年経った頃に挨拶を返す人が一人、二人と現れ、やがてその数が少しずつ増え、やがて「MKの乗務員の挨拶は素晴らしい」という評判になるほど、接客態度が向上したのです。

 

物理の世界に、「臨界点」ということばがあります。臨界点とは、「物質がある状態から別の状態に変化する境目」と定義されていますが、エムケイにとっては創業から10年経った時期が、まさに同社にとっての臨界点であり、ここを境にして乗務員の意識と行動が変わり始めたのです。そして、その背景には臨界点に到達するまで来る日も来る日も声かけを実践し続けた青木氏の努力があったことは言うまでもありません。

 

人材育成は一朝一夕にできるものではありません。だからこそ、時間の経過の中でもぶれない人づくりへの信念と執着が必要となります。

 

松下幸之助は、「成功の要諦は成功するまで続けることである」と述べましたが、このことばこそ、「人をつくる人」が拠り所とすべき、基本の考え方ではないでしょうか。 

 


 

的場正晃 まとばまさあき

神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得。現在は(株)PHP研究所 経営理念研究本部研修事業部部長 。


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