課長職にマネジメントの革新を!
RSS

「自修自得」が人を育てる

「自修自得」が人を育てる

(2012年12月28日更新)

 
  • はてなブックマーク
  • Yahoo!ブックマーク
  • Check

伝統芸能や伝統工芸の世界では、徒弟制度と呼ばれる人材育成の仕組みがあります。この仕組みのもとでは、親方と弟子は仕事以外の時間も含めて常に行動を共にしますが、肝心な技能の伝承に関しては、親方はまったく教えてくれません。

 

仕方なく、弟子は親方のやり方を観察し、まねをして試行錯誤を重ねながら技の極意を体得し、一流の人材へと育っていくのです。

 

この仕組みの根底にある考え方は、「自修自得が人を育てる」という発想です。結局、「知識」(形式知)は教えることができても、「知恵」(暗黙知)は、相手が主体的に学習・経験(自修)して体得(自得)するしかなく、教えることなどできないのです。

 

松下幸之助は、自修自得の重要性について以下のように述べています。

 

「わかりやすくいって、たとえば経営学というものをとってみよう。経営学は人から教わったり、本で学んだりすることができる。しかし、万巻の経営学の本を読んだからといって、それで経営というか、仕事が完全にできるというものではない。それはいろいろな面で参考になるかもしれない。しかし生きた経営なり仕事というものは教えるに教えられない、習うに習えない、ただみずから創意工夫をこらしてはじめて会得できるものである。
その自得するという心がまえなしに、教わった通り、本で読んだ通りにやったとしても、一応のことはできるかもしれないが、本当のプロにはなれないと思う。自得していこうという前提にたって、はじめてもろもろの知識も生かされ、人の教えも役に立つわけである」

 (『その心意気やよし』PHP研究所)

 

人材育成を成功させるポイントは「自ら変わる」力を引き出すことですが、そのためにも自修自得の考え方が強く求められるのです。結局、自分の人生を決めるのは自分であり、自分の考え方を変えるところからすべてが始まる。一人ひとりが、そんな意識に立てたとき、そこから個人の変革、組織の変革、ひいては社会の変革への第一歩が始まるのです。

 


 

的場正晃(まとばまさあき)
神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得。現在は(株)PHP研究所経営理念研究本部研修事業部部長


メールマガジン

更新情報をメルマガで!ご登録はこちらからどうぞ