課長職にマネジメントの革新を!
RSS

教えすぎの弊害――変化対応力や創造力を身につけるには

教えすぎの弊害――変化対応力や創造力を身につけるには

(2014年5月15日更新)

 
  • はてなブックマーク
  • Yahoo!ブックマーク
  • Check
部下指導やOJTの場面で、相手に知識や情報を与えることは大切ですが、上司は「教えすぎの弊害」についても考えておくべきでしょう。PHP研究所研修事業部長・的場正晃のコラムです。

 

*  *  *

 

人材開発の新しい概念として、「ノウイング(Knowing)」(※1) という考え方に注目が集まっています。

 

ノウイングとは、他者から情報や知識を得てそれで良しとするのではなく、それらを参考にしながら、自分で考えて自分なりのアイデアを生み出す行為のことを指します。

 

1990年代後半以降、IT化・情報化の進展に伴い、必要な情報が以前に比べると格段に入手しやすくなりました。その結果、仕事や日常生活において利便性が向上しましたが、一方で自分で考える機会が少なくなってしまいました。

 

変化の激しい現代社会において、想定外の出来事や変化に直面した時に対応できる「変化対応力」や、無から有を生み出すような「創造力」をもった人材の輩出が求められています。こうした力は、外部からの情報・知識を鵜呑みにしているだけでは獲得することはできず、結局自分の頭で考えて脳を鍛えるしかないのです。

 

以前、松下幸之助が「PHPゼミナール」の会場にふらりと立ち寄り、受講者に対して下記のようなメッセージを贈ったことがありました。

 
「(研修で学ぶ内容は)これはひとつの共通的な考え方やな。このときはこういうようにやったけど、今は時代も変っているからな。そのまま通用するかどうかわからん。だから、その精神を現在の時代なり、現在の商売の状態に合わせて自分で考えないといかんな。まあ、僕がやってきたのは、よそで聞いたこともあるけど、大部分は自分の独創的な考えでやったわけや。そやけど、まったく独創かというと、そうやない。やはり、小さいときから奉公したりして、いろいろ親方に教えてもらったり先輩から教えてもらっている。それが頭に残っているわけやな。それを参考にしながら自分で考えて、ひらめいて、自分というものを生かしているわけやな
 
 
研修であれ、現場のOJTであれ、相手に知識や情報を与えることは大切ですが、教えすぎて考える行為を摘み取ってしまうことは逆効果です。与えた知識や情報をもとに、そこからどんなレッスンを引き出せるか、適切な問いかけによって自分の頭で考えるようサポートすることが、自律的な人材を育成するカギになるでしょう。
 
 
※1
Cook,S.D.N. and Brown,J.S.(1999) Bridging Epistemologies:The Generative Dance between Organizational Knowledge and Organizational Knowing.Organization Science.10(4):381-400
 
 

 
 
 
的場正晃 (まとば・まさあき)
神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得。現在は(株)PHP研究所経営理念研究本部研修事業部部長

メールマガジン

更新情報をメルマガで!ご登録はこちらからどうぞ