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対話による深い思考が成長を促す

対話による深い思考が成長を促す

(2016年12月21日更新)

 
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どのような状況で、人は大きく成長するのでしょうか。それは、自分で考え、気づき、自分のことばで「こうしたい」と宣言した時であるといっていいでしょう。的場正晃のコラムです。
 
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人材育成の仕事に携わっていてつくづく感じるのは、どんなにいい話を聞かせたとしても、それだけで人を変えるのは難しいということです。結局は、自分で考え、気づき、自分のことばで「こうしたい」と宣言しないと人は変わりません。ことばと意識はつながっていますから、自ら肯定的な宣言をすることによって、意識が変わりやすくなるのです(※1)。
 
この肯定的な宣言を生み出すには、深い思考が欠かせません。ここでいう思考とは、単なる「考える」レベルではなく「考えて、考えて、考え抜く」レベルの、深い思考を指します。
 
 
「深い思考」と「人の成長」との相関関係を示す事例として、松下電器(現パナソニック)が、アイロンの開発に着手した昭和2年頃のエピソードをご紹介しましょう。
 
当時の松下電器には、アイロン開発のノウハウがなかったにもかかわらず、「高品質・低価格の製品を短期間で開発せよ」という無茶な要求を突きつけられたのは、若手技術者のN氏でした。最初は「できるはずがない」と思っていたN氏ですが、創業者・松下幸之助から「君ならできる」と何度も声をかけられるうちに意識が変わり、「必ずできる」と確信するようになったそうです。そして、朝起きてから夜寝るまで、どうすればできるかを考え抜いて試行錯誤した結果、わずか3カ月で高品質・低価格のアイロンが開発できたのです。この成功体験を機に、N氏は技術者として大きく成長し、その後も数々のヒット商品を生み出して、会社の発展に多大な貢献をしました。
 
この事例でも、創業者・松下幸之助のハードルの高い要求と継続的な追及がなければ、N氏は考え抜く状況へと追い込まれなかったでしょう。本人の思考スイッチをオンにするためには、上司や先輩がくり返し有効な働きかけをする必要があるのです。指示命令だけではない、愛情に裏打ちされた厳しい要求や対話が、人の思考を促し、意識を変えていくのです。
 
 
戦後の高度成長期に、どの企業でも当たり前に行われていた人材育成、愛情に裏打ちされた厳しさを伴う人づくりを、現代風にアレンジして取り入れることが、人の成長につながるのではないでしょうか。
 
 
(※1)意識的に良い言葉を選んで言い続けることによって、自分自身の意識を変え、望む方向に進んでいく方法を「アファメーション」という
 
 
課長研修
 

 

的場正晃(まとば・まさあき)
神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得。現在は(株)PHP研究所 直販普及本部研修企画部部長。

 


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