課長職にマネジメントの革新を!
RSS

企業における人間教育~先進事例に学ぶ

企業における人間教育~先進事例に学ぶ

(2015年12月 1日更新)

 
  • はてなブックマーク
  • Yahoo!ブックマーク
  • Check
企業内教育において、人間性を養い高める「人間教育」が注目されています。ネッツトヨタ南国、秋山木工の事例から、そのポイントを学びます。PHP研究所研修企画部長・的場正晃のコラムです。

 

*    *    *
 
相次ぐ大手企業の不祥事や、使命感・やりがいを感じにくくなった職場の増加などを背景に、企業内教育において人間性を養い高めるような取り組みをもっと積極的に行うべきだとの意見が高まっています。しかし、人間性という概念があいまいで測定も困難であるがゆえに、それを高めるために何をすればいいのか、明確な指針が少ないのも事実です。そこで今回は、人間教育に取り組んでいる先進企業の事例を通じて、人間性を育むポイントを考えてみたいと思います。
 

ネッツトヨタ南国の「お遍路研修」

高知市に本社を置き、圧倒的な業績を誇る「ネッツトヨタ南国」。同社で実施されている人間教育の一つに、目の不自由な方や高齢者のお遍路参りの同行・介添えをする「お遍路研修」があります。5日間の研修中、自分では良かれと思ってやったことが相手の迷惑になったり、不快な思いをさせたり、予期せぬ出来事に研修生は困惑させられます。しかし、こうした体験を通じて、相手の状況や気持ちを察しながら行動することの重要性を学べるのです。独自の人間教育を通じて、商売の基本である「相手に寄り添う」スタンスを社員が体得できていることが、同社の強みの源泉になっているのです。
 

秋山木工の「徒弟制度」

高級家具を作る「秋山木工」は、一流の人材を育てる企業として注目されています。代表の秋山利輝さんは、一流の人材に必要な心と技術は集団生活の中で育まれるとの考えから、入社後5年間は「秋山学校」という全寮制の学校で、職人の基本を叩き込んで教えています。秋山学校では家具作りの技術を教えるだけでなく、目上の人を敬い、ルールを守り、困ったときは助け合う、といった躾(しつけ)がなされます。技術の習得はたやすいが、心を育てることは難しい。だから24時間一緒に過ごし、職人としてのあり方を後ろ姿で見せ、語り合うことで人間性を磨こうとしているのです。心が一流なら、技術も必ず一流になれる-。秋山さんはこう信じて、日々若者たちと真剣に向き合っています。
 

体験と振り返りと「面授」

二つの事例から私たちが学ぶべきポイントは何でしょうか? ネッツトヨタ南国の事例が示唆していることは、体験の重要性です。「塩の辛さはなめてみないとわからない」ということばの通り、体験しなければ得られないものがたくさんあります。しかし、体験さえすれば人が育つというわけではありません。松下幸之助が「今日一日を振り返り、失敗や成功を見出し、その味をかみしめる。これが体験である。反省することなしにポカンと暮らしてしまえば、これは体験にならない」と述べているように、体験から気づきを引き出すためには、振り返りという行為が欠かせません。体験と振り返りはワンセットなのです。
秋山木工の事例は、「面授」(面と向かって教育すること)の重要性を教えてくれます。人間力は暗黙知の集合体なので体得させるためには、面授によってあるべき姿を見せ、語り合い、同じ体験を共有するしかないのです。
体験と振り返りと面授。時間と手間がかかる作業ですが、業績を上げ続けている企業の多くが、そこにこだわって社員の人間性を高める努力をしている事実を鑑みると、軽視できないことを感じます。
 
 

 

的場正晃(まとば・まさあき)

神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程にてミッション経営の研究を行ない、MBAを取得。現在は(株)PHP研究所 直販普及本部研修企画部部長。
 

 
 
PHP研究所の人材開発は、単なるハウツー教育ではなく、「何のために働くのか」「どのように生きるのか」といった根源的な問いに向き合う“人間教育”として一人ひとりの可能性をひらきます。
 
部長研修 人間力強化コースの特徴

メールマガジン

更新情報をメルマガで!ご登録はこちらからどうぞ