
手洗いは基本~食品衛生の3原則

(2011年7月27日更新)
食品工場では一日に何度も手を洗います。それも毎日となると慣れが生じて、つい決められた手順や時間を守らずいい加減にしていませんか。
簡単な手洗いでは汚れや菌は落ちません。とくに指先や親指の付け根は汚れが残りやすいことがわかります。洗い残しが起きやすい部分は、爪ブラシを使って念入りに洗う必要があります。
また手をふくときはペーパータオルが望ましく、しっかりと水分をふいたうえでアルコールをスプレーしないと、消毒効果は減少します。
手洗いは、食品衛生の基本中の基本。正しい手順と時間を守り、しっかり洗い、乾燥させて、アルコールをすり込みましょう。
こんなときはしっかり手洗い
●トイレのあと
●作業の開始前
●休憩のあと
●食材の検収後
●肉や魚、卵、野菜などを扱ったあと
●素手で髪の毛や顔に触れたとき
●くしゃみや咳、鼻をかんだあと
●濡れた調理用ふきんを触ったあと
●ゴミ箱や掃除用具に触れたとき
正しい手洗いの手順
以下の手順で最低3分はかけて、しっかり念入りに洗いましょう。
①まず流水で手についた汚れを十分に落とす
②石鹸をつけてよく泡立てる
③手の甲を片方の手のひらで洗う(両手)
④指を組んで指の間をよく洗う
⑤親指はとくに念入りに
⑥指先は手のひらの上でこすりながら洗う
⑦爪の間や爪の付け根はブラシで念入りに
⑧手首からひじまでしっかり洗う
⑨石鹸分が残らないよう流水で十分ににすすぐ
⑩ペーパータオルでしっかりふく
※手洗い前:爪は短く切り、時計や指輪などのアクセサリーは外す
※手袋を着用するときもしっかりと手洗いし、手袋の中も常に清潔に!
ちょっと待って! ――こんなことはやめましょう
×エプロンやユニフォームで手をふく
×共通のタオルを使う
×濡れたままの手にアルコールスプレー(効果減少)
【ポイント】
手洗いは、正しい手順で時間をかけて念入りにしないと
効果が出にくい!
(次回につづく)
出典:『食品衛生の3原則ハンドブック』
食品衛生の3原則バックナンバーはこちら
小林一寛 こばやしかずひろ
1943年大阪府堺市生まれ。医学博士、獣医師。1966年大阪府立大学農学部獣医学科卒業。同年、大阪府立公衆衛生研究所公衆衛生部微生物課に入所。研究員、総括研究員、感染症解析プロジェクトリーダー、感染症部細菌課課長を歴任。2004年大阪府を定年退職。その間、大阪府立大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻客員教授、大阪府立看護大学医療短期大学部臨床検査学科非常勤講師、文部科学省学校給食衛生管理推進指導者派遣巡回指導事業委員会指導委員等を歴任。
2010年現在、サラヤ株式会社学術顧問、大阪大谷大学短期大学部生活創造学科非常勤講師、関西医療大学保健看護学部非常勤講師、堺市学校給食安全衛生推進専門家会議委員。
<主な著書>
監修『みんなで防ぐO-157』(ぱすてる書房)、分担執筆『食中毒予防必携』『食品衛生検査指針 微生物編』(以上、日本食品衛生協会)、『感染症の事典』(朝倉書房)、『新感染症学』(日本臨牀社)等多数。
「食品衛生の3原則」を実践するにあたり、特に重要な点をピックアップし、好ましくない考え方や方法をまじえながら、「なぜそうしなければならないのか」「守らないとどのようなことが起きるのか」などを簡潔にわかりやすく解説していきます。
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