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「キャリア・アンカー」で見つける自分のミッション

2021年11月 8日更新

「キャリア・アンカー」で見つける自分のミッション

不確実・不安定な状況のもと、仕事で成果を上げたり、人生を充実させるために必要となるのがミッションです。なぜ、ミッションが大切なのか、そもそもミッションとは何なのか、考えてみたいと思います。

INDEX

ミッションとは?

ミッションとは、組織や個人の「果たすべき役割」や「存在意義」のことです。現代は社会全般の変化がドラスティックで、そのスピードも加速しています。不確実・不安定な状況のもとでは、組織のミッションを明確に掲げ、判断の拠りどころをしっかりもっておかないと、進むべき方向性がわからなくなり、迷路にはまり込んでしまいます。
同じことは個人にも当てはまります。次の展開が見えにくい現代を生きる上で、「自分は何者か?」といった問いに向き合い、自分なりの答えをもっておくと、道に迷うこともなくなるでしょう。ミッションは、暗闇の道を照らすヘッドライトのような存在なのです。

自らのミッションの見つけ方

そこで次に出てくるのが、「どうすれば自らのミッションを確立することができるのか」という疑問ではないでしょうか。
米国人経営コンサルタントのジェームス・スキナーによれば「ミッションは作り出すものではなく、書き上げるものでもなく、発見するものである」といいます。また、心理学者の諸富祥彦(もろとみ・よしひこ)氏は、「『自分の人生には、どんな意味が与えられており、どんな使命が課せられているのか』を発見し、実現していくことです」(※2)と述べています。

日米の有識者2人の主張にもあるように、おのおのその使命があるので「ミッションはつくるものではなく発見するものである」という考え方が、キャリア・デザインの領域でも広く支持を集めるようになってきました。
この考え方に立てば、自分に与えられているミッションを発見するためには、自分としっかり向き合って、内なる声に耳を傾ける営みを重ねていくほかに手段はありません。そうはいうものの、自分の内なる声に耳を傾けるのは非常に難しいことです。

そこで、自分のもつ価値観に気づかせてくれるさまざまなツールが、キャリア・デザインの研究者たちによって開発されてきました。その一つ、「キャリア・アンカー」という概念をご紹介しましょう。

「キャリア・アンカー」~自らの価値観を知る「6つの質問」

キャリア・アンカーは、マサチューセッツ工科大学・スローン経営大学院名誉教授のエドガー・H・シャインによって理論化された概念です。具体的には自身の価値観や得意・不得意などについて、どのように自己認識しているかという「セルフイメージ」のことを指します
そして、自らのキャリア・アンカーを知るために「6つの質問」が開発されました。以下の「6つの質問」を自分に投げかけ(あるいは第三者から問いかけてもらって)、それぞれの答えを書いてみましょう。書き終わったら、ゆっくりと声に出して読み上げてみてください。

Q1.どのような仕事をしているとき、やりがいや楽しさを感じますか。
Q2.あなたの強み、特技、専門性は何ですか。
Q3.どのような理想を描いてこの会社に入社したのですか。
Q4.あなたは周囲の人から何を期待されているでしょうか。
Q5.あなたが社会のお役に立てるとしたらどのようなことがありますか。
Q6.あなたのミッションは何ですか。

自らの価値観について意識を向けることは少ないでしょうが、あえてことばを当てて言語化することで、ぼんやりしていた輪郭がはっきり見えてきます。
特に、声に出すことは脳科学的に見ても意味のあることだと言われています。自分が話したことばを自分で聞くことによって、自分の内面の価値観に気づいたり、行動変容につながる可能性が高まることを「オートクライン効果」と言います。このように、本稿でご紹介したエクササイズは、科学的な見地からも、効果性が高いことが実証されています。
ただ、ミッションは一度作ったら終わりというものではありません。なぜなら、自分自身も、自らを取り巻く環境も常に変化しますので、ミッションの内容を定期的にバージョンアップしていかないとズレが生じるからです。つまり、「ミッションを追究する旅」は生涯続くのです。

「Must」と「Want」のバランスを大切にする

ミッションを考える時、まじめな人ほど「~しなければいけない」というように、「Must」のスタンスでとらえがちですが、このスタンスは長続きしません。精神科医の清水研氏は「強い『Must』の自分がいる人たちは、『Must』の声に従って頑張ることができなくなる中年期に危機を迎える(※3)」と指摘しています。

精神的な健康状態を維持するためには、「Must」よりも「Want」を重視したほうがよいという考え方があります。「Want」は「これをしたい」という意識であり、自分の内面の深いところから湧き上がる本音です。私たちは大人になり、社会生活を営む過程で守るべき規範に縛られすぎると「Must」が重視され「Want」について考える機会が減少します。そうなると、自分の人生を生きているという感覚が薄らいでしまいます。だからこそ、自分としっかり向き合い、自らの「Want」を意識しながら生きていくことが大切なのです。

だからといって、「Must」はどうでもいい、自分のやりたいように生きていればいいというわけではありません。私たちは、社会人としてさまざまな役割を担って生きている以上、その責務を果たす必要があります。つまり、「Want」を基軸にしながら「Must」にも意識を向けていくというバランスが、充実したキャリアを形成する上で大切になるのです。

※1 出典:『心をひらく あなたの人生を変える松下幸之助』ジェームス・スキナー著/柴田博人監修/PHP研究所経営理念研究本部監修(PHP研究所)
※2 出典:『夜と霧 ビクトール・フランクルの言葉』諸富祥彦著(KKベストセラーズ)
※3 出典:『もしも一年後、この世にいないとしたら。』清水研著(文教社)

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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