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トップが綴る わが人生の師~小宮一慶

トップが綴る わが人生の師~小宮一慶

(2013年11月29日更新)

 
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長野では、おぼうさんのことを「おっしゃん」と言う。私は、長野県の篠ノ井にある円福寺の故 藤本幸邦老師を人生の師と仰いでいる。
 

おっしゃんと知り合ったのは、もう二十年前になる。ある企業の設立二十五周年記念パーティーの基調講演に来られた藤本先生とたまたまその場の会食で席が隣り合わせになり、お話をさせてもらっているうちに、その考え方に感動し、その後多くのことを教えていただくこととなった。

 

おっしゃんは、戦後すぐにたまたま上京したとき、上野でみかけた戦災孤児三人を篠ノ井まで連れて帰り、恵まれない子どもの施設「円福寺愛育園」を開設された。愛育園は今でも篠ノ井にあり、50人の子どもを預かっている。おっしゃんの活動は国内にとどまらず、中国やバングラデシュなどに学校を建設されたり、水汲みのために学校へ行けないアフリカの子どもたちを助けるために、大きな水のタンクを贈る活動もされていた。

 

私はおっしゃんから多くのことを教えられたが、最も印象深いのは、あるとき二人で車に乗っていて、「小宮さん、経済とは何のためにあるか知っているかい?」と質問されたことだ。難しいことを突然聞かれたので「おっしゃん、わかりません」と答えると、「経済は人を幸せにするための道具、政治も道具だ」と教えてくださった。「だから、あなたの会社は何をすればよいかわかるね」ともおっしゃった。このことが、私の経営哲学の根幹になっている。経済も企業も人を幸せにするために存在しているのだ。お客様、働く仲間、かかわる方々を幸せにしてこそ本物の経営だと私は信じている。
 

また、別の機会に「振り子の原点」というお話もうかがった。やはり車の中だった。振り子は揺れる、人も揺れる。ただ、振り子には原点がある。中庸がある。揺れない人間は面白くないが、原点をもって揺れなければダメだとおっしゃった。「欲はエンジン、理性がハンドルとブレーキ」とも教わった。人間として正しい生き方の原点をいろいろと教えていただいた。
 

残念ながら、おっしゃんは四年前に九十九歳で他界された。おっしゃんは「人が死ぬと、その人が愛した人の中に生きつづける」とおっしゃったが、多くの人を愛したおっしゃんは多くの人の心の中に今でも生きつづけている。


 

株式会社小宮コンサルタンツ 社長 小宮一慶

 

出典:『トップが綴る わが人生の師』(2013年10月・PHP研究所 直販教育図書)

 


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