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「人生の基礎体力」とその基本【コラム】~辻騎志

2011年2月18日更新

「人生の基礎体力」とその基本【コラム】~辻騎志

20年以上企業研修をしてきていつも感じてきたことは、「基本の出来ている人が極めて少ない」ということです。多くの企業が、スポーツに例えるなら、基礎体力がない人間をバッターボックスに立たせ「ホームランを打て!」と指示しているようなものです。 

今の様に不況が長引いてくると「人生の基礎体力」と言ってもいいような基本的な力がある人とそうでない人との差が益々はっきりしてくるように感じます。

 

ここで私が言う「人生の基礎体力」とは、「人間の器を形成する核としての知情意」です。近年、経済産業省が唱えてきている「社会人基礎力」とも若干かぶりますが、もっと範囲が広く、より基本的な部分(「学ぶ力」と「素直な心」)が含まれます。

 

「学ぶ力」の根本は「自分の教育責任者は自分自身だ」という自覚です。残念ながらこの意識が希薄な方が多いのです。随分以前のことになりますが、2~3回の研修で合わせて83人の方に「皆さんの教育担当は誰ですか?」と聞いたことがあります。ほとんどの方は、上司や先輩と答えました。若い方の中には、両親と答えた人もいらっしゃいました。「自分自身です」と自信を持って答えた方はたった3人。いずれも50代の方達でした。

 

それ以来、私は、研修のはじめに「学ぶ力」について学ぶ時間を取るようにしました。残念ながら企業研修の多くは自ら進んで参加するという形のものではありません。何年目かで自動的に決められていたり、主任になったからといった理由で来ている人がほとんどだと思います。中には「研修なんか出ている時間があったら仕事をしたい」と思っている方もいるでしょう。しかし、ここで研修に対して前向きにさせていくのが講師のウデです。学ぶ力がどんなに自分にとって重要かを理解し、自分から進んで学んでいこうという気になっていただきます。

 

もう一の基本は「素直な心」です。「素直な心」とは、「何ものにもとらわれない透明でニュートラルな心の姿勢」です。私は年を経るごとに「素直な心」の重要性を深く感じてきています。そして、やはり「人生の基礎体力」や「学ぶ力」の中心には「素直な心」が位置していると思わざるを得ないのです。これらは、「素直な心」があればあるほど大きくなっていくという確信があります。

 

この重要性については、「素直な心がなかったらどうなるか、と考えてみた方がわかりやすいかと思います。固定観念にとらわれたり、自分の事ばかりにとらわれたり、名誉欲や権力欲にとらわれたらどうなるでしょう。同時に「素直な心」が学びの量と質を左右することは言うまでもないと思います。

 

先にも書きましたが、今の様な時代になると基本ができている人とそうでない人の差が益々はっきりしてきます。今一度、基本に帰り「人生の基礎体力」とその基本である「学ぶ力」や「素直な心」を見直す時ではないでしょうか。 

 

 

辻 騎志 (つじ・きよし)

1960年沼津市生まれ。大学卒業後、人間教育を中心とした研修機関に所属。同時に、故国谷誠朗(くにやのぶあき)氏に師事し、多岐にわたる心理療法を学ぶ。その後、専門学校にて心理学と人間関係論を担当。長年にわたり、中小企業の経営に携わった後、現在はPHPゼミナール・講師(PHPコーチング・認定ファシリテーター)として活躍中。静岡県福祉施設第三者評価者。
 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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