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コーチングの質問スキル

2012年11月21日更新

コーチングの質問スキル

昨今、企業や組織の管理職にとって、コーチング・スキルを身につけることが必須となってきました。しかし、職場でコーチングを十分活かしきれないという壁にあたっている方も少なくないようです。

ここでは、コーチングの多くのスキルの中でも特に関心が高い「質問のスキル」について、通信ゼミナール『コーチング実践コース[質問スキル編]』から、4回にわたって学んでまいります。

 

*  *  *

 

さまざまなスキルの中の質問のスキル

コーチングには、さまざまなスキルがあり、その数は百以上あるとも言われています。本コースで取り上げている「質問のスキル」も数あるスキルの中の一つです。

 

私は、コーチングの重要なスキルを紹介する際、よく、「かきくけこ」という言葉を用いて、「環境のスキル」「聴くスキル」「クエスチョン(質問)のスキル」「計画のスキル」「心のスキル」の5つを取り上げています。いずれも重要なスキルですが、その中の「聴くスキル」と「質問のスキル」は、ともにコ一チングのスキルの中でも、もっとも重要なスキルと言えます。

 

部下の状況を確認したり、やる気や意欲を引き出し行動に結びつけるうえでは、上司が普段からコミュニケーション能力を磨き、質問のスキルを身につけておくことが必要です。しかし、そのためには、まず部下の言葉に耳を傾け、考え方や意見を受け止める姿勢が求められます。

 

たとえば、上司が部下の話を聴こうと思っていても、部下の意見が間違っている、あるいは、気に入らない、ということがありえます。そんなとき、「君はいったい何を考えているんだ」などと、頭ごなしに否定してしまう上司は少なくありません。これでは、部下も、話をする気持ちが萎えてしまいます。

 

効果的な問いかけ・質問をするためにも、聴く力に磨きをかけておく必要があるのです。


聴くカを磨く

「聴く力は人間力」と言われるほど、聴くというのは重要です。相手の話を聴くうえでの大きなポイントは、「人の話を否定しないで最後まで聴く」というものです。しかし、案外やさしいようで、一朝一夕には身につきにくいのも事実です。

 

コミュニケーションをはかるうえでは「話す力」「問いかける力」も大切ですが、話しているときというのは、自分のリズム、マイペースを保つことができます。ところが、相手の話を聴くときには、相手のリズム、相手のペースに合わせなければなりません。大げさに言えば、自分の我、エゴというものを抑えて、相手を受容する心の余裕が必要になります。

 

部下の話にしっかりと耳を傾けてくれる管理職は、良い上司として慕われるケースが多いものです。

 

聴き上手と言われる人は、うなずき方がうまかったり、あいづちの打ち方が上手である場合が多いものです。また、相手が話しやすい雰囲気づくりに心を砕いているものです。聴き上手の人が、どんな聴き方をしでいるかを観察して、ぜひ良いところを取り入れる姿勢を持つようにしてください。


積極的に聴く

しかし、否定しないで相手の話を聴こう、と思っていても、頭の中で思っているだけでは、相手に伝わりません。きちんと態度で示すことが大切です。私は「あいづち、うなずき、くりかえし」をアクティブリスニングの三要素と呼んでいます。

 

質問する力を磨くことはとても大切で、積極的にコミュニケーションをはかっているように見えるのに対し、「聴く」ことに対しては、相手の言葉を待っているというイメージを抱きがちです。しかし、「聴く」行為は、決して受け身ではなく、相手に話させてあげる、相手の話をサポートする積極的なエネルギーの注ぎ方と言えるでしょう。上司の聴く姿勢の如何によって、相手を黙らせることも、しゃべらせることもできるのです。

 

また、タイミングよくうなずくのも、聴く姿勢としては大切です。生物学的・運動機能論的に「うなずく」を定義すると、「首の上下運動」ということです。決して、難しいことではありません。

 

ただ、一つだけ、正しいうなずき方の秘訣を挙げるとするならば、「相手の話のリズムに合わせる」ということです。相手の話のテンポとお構いなしに首を動かすのは、失礼です。

 

コーチングでは、相手の声の大きさや高低、スピードなどに合わせることを「ペーシング」と言います。自分のペースを守るのではなく、相手のリズムに合わせるのが正しいうなずき方、正しい聴き方です。

 


 

【監修・執筆者プロフィール】

本間正人 ほんままさと
NPO法人学習学協会代表理事、帝塚山学院大学客員教授
東京大学文学部社会学科卒。松下政経塾第3期生。
ミネソタ大学で成人教育博士号(Ph.D.)を取得。
米国Coach UniversityのCTP課程を日本人として初めて修了。
教育学を超える「学習学」を研究する一方で、国際コーチ連盟認定プロフェッショナルコーチ、NPO法人日本コーチ協会理事として、日本でのコーチングの普及を目指す。
著書は『ケーススタディで学ぶ「コーチング」に強くなる本』、『コーチング一日一話』(共著)、『適材適所の法則』(ともにPHP研究所)など多数。
http://www.learnology.co.jp

 


 

通信ゼミナール
『コーチング実践コース[質問スキル編]』


管理職・監督職の方を対象にして、コーチングスキルの中でも特に活用の場面が多い「質問のスキル」を中心に、コーチングの考え方やコミュニケーションのとり方を学ぶコースです。培った知識を実践に活かし、自身に合った部下指導のレパートリーを広げることができます。 

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