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OJT(On the Job Training)におけるステップと心構え

2013年10月10日更新

OJT(On the Job Training)におけるステップと心構え

OJTにおける基本的なステップと、上司としての心構えについてご紹介します。

 

【ポイント】

・やってみせ 言ってきかせて させてみせ 褒めてやらねば人は動かじ

・部下の成長を阻害する要素もあれば、促進させる要素もあることを認識しよう

・育成と成長の手段はコミュニケーション。それは常に双方向である 

 

山本五十六の教え~人材育成の本質 

やってみせ 言ってきかせて させてみせ 褒めてやらねば人は動かじ。

やっている姿を感謝で見守って 信頼せねば人は実らず。

話し合い 耳を傾け 承認し 任せてやらねば人は育たず。

真珠湾攻撃など数々の作戦で指揮を執った海軍司令官、山本五十六氏が口にしたものとして、あまりに有名な言葉である。人材育成の永久不変の本質を捉えた言葉だと言えよう。ここにちりばめられている、深い意味を読み取っていただきたい。

 

(1)やってみせ

百聞は一見に如かず。いくらマニュアルを読ませたところで、イメージできないものは理解できない。人間の一番発達している感覚は「視覚」である。まずは、この視覚に訴えること。上司がやってみせるのが一番である。

とはいえ、昨今はなかなか仕事が「見えなく」なっている。上司がパソコンに向かっている姿を後ろから見ていても、何も分からない。それでも「見せよう」と思うことが大切で、情報を共有化したり、お客様に送付するメールを部下にもBCCで送信したりするなどの工夫ができるはずである。

 

(2)言ってきかせて

「あれをしろ」「こうしろ」とこと細かに言うのではない。真に言うべきは「その仕事の意味」である。企業の最大の使命は存続することであり、存続するからには理由がある。存在価値のない企業は淘汰されるはずである。自社の存在理由は何か。この仕事の価値や意味は何か。眼に見えないからこそ、伝えなければならないものがある。

 

(3)させてみせ

百見は一験に如かず。一見簡単なように見えても、やってみると、なかなか思い通りに事は運ばない。「分かる」と「できる」は違うのである。「できる」ようになるためには、経験というプロセスが必要となる。しかし、1回や2回やったところで、上手にはならない。繰り返すこと。繰り返し行動することによって、行動が習慣化される。

 

(4)褒めてやらねば

しかし、繰り返すことは、辛い。辛いことは、できればしたくない。だからこそ褒めるのである。繰り返しやり続けられるように褒めてやる。動機づけもないのに辛いことを繰り返すことなどできないのだから。

 

(5)人は動かじ

人はそう簡単に変わるものではないし、変えるものでもない。しかし、その行動を変えるためには、本人の「変えよう」という意思が必要である。いかに意思を持たせるか。育成はこうした堂々巡りの中で行われることなのかもしれない。

育成は時間がかかるものである。しかし、こうした段階的な指導こそが、育成の近道なのである。

 

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人材育成を阻害するもの、促進するもの

部下育成を阻害する要因で、最も影響が大きいと言われているものが、コミュニケーション不足である。とはいえ、むやみにコミュニケーションをすればいいというものでもない。まずは職場の上司に「部下に何を伝え、何を聴くのか」を明確にさせることから始めるとよいだろう。そして、「何を」の前に「なぜ」「どこまで」育成するのかを考えたい。上司が伝えるべきは、自分の熱意と、育成の目的・目標である。部下はそれを知りたがっている。もしもそれが、「上司の、上司による、上司のための部下育成」であったなら、どうして部下が手を貸してくれるだろうか。

 

【育成の阻害要因】

(1)職場(課・係)側の阻害要因

・コミュニケーションの不足

・向上心のない職場風土(雰囲気)

・マニュアル等がなく、推進体制が整備されていない など

 

(2)上司側の阻害要因

・指導育成方法が分からない

・業務多忙

・上司の能力の限界

・認識不足

・注意や指導を遠慮している(部下を叱れない) など

 

(3)部下側の阻害要因

・自覚不足

・上司からの干渉を嫌う など

 

 

【効果的な社員育成を促進させる要因】

・上司に、人材育成に取り組む熱意があること

・仕事の目標が明確にされていて、誰もが認識していること

・意見が言いやすく、コミュニケーションが活発であること

・メンバーが情報を共有していること

・創造的に仕事が進められ、そのための適度な緊張感があること

・チームワークがよいこと

 

報・連・相を求める前に

「ホウ・レン・ソウ」という言葉がある。「報告・連絡・相談」の略で、ビジネスを円滑に進めるために大切な手段である。ある社長が、「うちの社員は専務にばかりホウ・レン・ソウをして、私にはしてくれない」と嘆いていたが、よく聞いてみると、この社長は社員からのホウ・レン・ソウに対して芳しい反応をしていなかった。「報告したけど叱られた」「連絡したけど無視された」「相談したけど応えがなかった」となれば、そのうちホウ・レン・ソウがなくなるのも仕方のないことである。

 

「ホウ・レン・ソウ」には反対語がある。それは「命令・解説・援助」である。つまり、上司たるもの、部下のホウ・レン・ソウを受けたら、すぐに次の指示命令を出すべきなのである。そして、その指示命令の意味を解説し、部下がそれを成し遂げられるよう援助することが大事である。こうした上司の役割を果たさなければ、一方的に部下育成を進めても効果がない。

 

【メンバーが「報・連・相」をしなくなる理由】

(1)いつ「報・連・相」したらいいか分からない

・やる「前」に「相談」することを分かっていない

・やった「後」に「報告」することを分かっていない

 

(2)何を「報・連・相」したらいいかが分からない

 

(3)見返りがない

・「報告」したけど叱られた

・「連絡」したけど無視された

・「相談」したけど応えがなかった

 

(4)上司からの「命令・解説・援助」がない

・仕事の目的や目標、方針が不明確

・現状や問題意識の共有ができていない

 

  ※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)

 


 

【著者プロフィール】

茅切伸明  かやきり のぶあき

慶應義塾大学 商学部卒業後、(株)三貴入社。その後、(株)日本エル・シー・エー入社。平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計3,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

 

松下直子 まつしたなおこ

株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。人事部門では、採用、育成、人事制度設計と運用、労務管理と幅広く人事業務に携わる。独立後は学習塾の経営や大学講師の経験を経て、現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修依頼は年間200本を超える(2011年実績)。人材育成を生涯のライフワークと決意し、社会人教育に意欲的に向き合うかたわら、士業家の独立支援事業、文化教育事業にも取り組み、幅広く人材育成に携わっている。 

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