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挨拶をしない職場をどう変えるのか?

挨拶をしない職場をどう変えるのか?

(2017年9月22日更新)

 
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みなさんの職場では、挨拶がかわされていますか? 私は研修で毎月、多くの会社を訪問します。そのなかには、明るく爽やかな挨拶が交わされ、訪ねてきた私にも全員が挨拶してくれる職場があります。一方、こちらが挨拶しても軽く頭を下げる程度の挨拶しかしないところもあります。

今回は、挨拶が社員の仕事や会社の業績にどう影響するのかを検証しながら、挨拶ができる職場風土をどう築いていくのか、その方策を考えてみます。

 

企業の発展は良い習慣を実践する風土のうえに成り立つ

職場風土は、社員一人ひとりの意識(考え方や取り組み姿勢)や行動からつくられます。挨拶をするかしないかも職場の習慣ですから、その会社の風土そのものといえます。

そして、強い組織、伸びている会社ほど良い習慣を長く継続しています。一流といわれる会社ほど、一人として例外なく当たり前を徹底する努力を重ねています。会社が大切にする価値観を社員が理解して大切にすることで、組織力が高まります。

さらにチームで成果を上げるためには、円滑な人間関係を築くコミュニケーションが必須です。そのコミュニケーションの第一歩が挨拶です。

挨拶があるからこそ、互いに一言かけて感謝の言葉が行きかい、会話の量を増やすことができます。結果、風通しのよい風土によって、スピーディな「報連相」が生まれ、連携・支援する体制が生まれることで業績向上につながるのです。

つまり、良い習慣を実践する風土の上に、社員の成果や会社の業績が成り立つというわけです。「たかが挨拶、されど挨拶」といわれるゆえんはここにあります。

昨今、効率を優先するあまり、挨拶やちょっとした会話まで無駄として禁止する職場がありますが、無駄を省こうとして、かえって生産性を低下させているのではないかと思われてなりません。

 

なぜ「挨拶」に取り組むのか、本質を周知徹底しよう!

挨拶は、人から強要されて行っても何の意味もありません。挨拶の必要性を感じて、各人が主体的に取り組まなければ、職場に根づいていかないのは言うまでもありません。そこでまず、人材開発を担当される方は、挨拶への取り組みの本質を徹底的に伝えることから始めていただきたいのです。

挨拶をすることが目的ではありません。今以上に、明るく元気で働きやすい職場風土づくりをするための手段のひとつが挨拶だ、という認識が必要です。先述のように、挨拶することで皆が働きやすくなります。働きやすい職場は業績向上に繋がり、企業のイメージアップやお客様の信用、満足度にもつながることを説きます。

 

トップが本気で取り組めば、職場が変わる

挨拶をする本質を理解し、それを実践するためには、まずトップがその取り組み宣言を発信し、トップから率先して挨拶をすることが大切です。

こうした取り組みは、どうしても打ち上げ花火的になりがちです。最初は勢いがあっても、継続できずいつの間にか立ち消えてしまうため、社員側も「またいつものことで、かけ声だけで終わってしまうだろう」と、本気で取り組みません。私も、尻すぼみで終わってしまうケースを数多く見てきました。

ここで大切なのは、社員はもちろんですが、トップや役員、管理職が先頭に立って本気で取り組むこと、そしてそれを継続することです。

 

挨拶によって職場が変わった事例

私がかかわった事例をご紹介しましょう。

ある会社で、職場活性化に取り組むことになり、まず挨拶を定着させることになりました。私がはじめにお願いしたのは、上司の方に、朝、部下が出勤してきたら、必ず手を止めて部下の目を見て名前を呼んで挨拶をすることです。上司の方からは「いちいち手を止めていたら、仕事にならない」という意見が挙がりましたが、目的達成のためにも、必ず実践することをお願いしました。

3か月後の研修時に職場の変化についてお聞きすると、「社員同士のコミュニケーションが増えて、職場の風通しがよくなった」「報連相が活発になり、情報量も増えて連携・協力体制が取りやすくなった」「挨拶ひとつで職場の雰囲気って変わるんですね」という感想をいただきました。

しかし、ここで終わりではありません。この成果が職場の習慣となり、企業風土として定着するまで継続していくことが大切なのです。

明るい挨拶は、職場を活気づけます。そして、挨拶から思いやりや感謝の言葉が生まれます。職場のコミュニケーションの質は、そのまま外部にも直結するものです。社員の笑顔や声のトーンを通じて、心のこもった挨拶としてお客様の心に残ります。それは、強い組織のバロメーターにもなります。

私が研修で伺っている会社の中にも、社員同士の思いやりやお客様に対するおもてなしの心が一人ひとりの挨拶に表れているところがあり、よい企業風土づくりの重要性を改めて実感しました。

 

挨拶の実践が組織風土の変革につながる

挨拶は現象面で見えるものですが、その根底にあるのは思いやりや助け合いの精神です。「おはようございます」という挨拶の後には、言葉に出しては言いませんが「今日もよろしくお願いいたします。一緒に協力体制で頑張りましょう」といった言葉が隠れています。

このような気持ちがあるからこそ、一言の挨拶がきっかけになって次の一言を生み出します。「お疲れ様」「大丈夫?」「手伝うよ」「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」「暑かったでしょう」「寒かったでしょう」等々の声かけが自然に出てくるようになり、「ありがとう」という感謝の言葉も多く飛び交います。「ありがとう」の多寡は、チームワークの善し悪しを量るバロメーターです。組織力を高める報連相は、こうした土壌のうえに成り立っています。

 

また、挨拶や声かけは、周りに関心を持つからこそできることです。挨拶のない職場は、往々にして周りへの興味・関心が薄いため、協力・支援・連携に対する意識が働かないのです。

職場では互いに相手を知るための仕掛けづくりが必要です。会議では、最初の5分は互いの近況を話してから本題に入る。互いの興味や価値観を知るための時間を設けるなど、ちょっとした工夫をちりばめていくのです。

最初は挨拶をしても相手から挨拶が返ってこなくても、見返りを求めることなく、相手の名前を呼んで根気よく続けてください。

会社全体での取り組みが難しいようであれば、まずはあなたの職場から変えていきませんか。賛同者を巻き込みながら、その輪を少しずつ広げて組織全体の風土づくりに繋げていってください。こうした取り組みにより職場の風土は少しずつ変わっていくものです。

 

リーダーシップ開発と職場風土変革―松下幸之助に学ぶ5つの原則

 

 


 
増谷淳子 (ますたに・じゅんこ)
株式会社ソフィアパートナーズ 代表取締役。日本航空(株)の客室乗務員として培ってきたおもてなしの心とコミュニケーション力を活かし、企業の人材教育企画、指導、育成に従事。2006年、株式会社ソフィアパートナーズ設立。「人間力教育」により「使命感」「気配り」「感謝の心」を育み、組織に貢献できる社員に導くことを使命とする。教育に関する問題解決のため、「ひと」のマインド&スキルアッププログラム提案、カスタマイズされた誠実な教育には定評があり、リピート依頼も多数。
 

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