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コンプライアンス違反による企業不祥事を「報連相」で防ぐには?

コンプライアンス違反による企業不祥事を「報連相」で防ぐには?

(2017年11月 8日更新)

 
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伝統ある大手日本企業のコンプライアンス違反による不祥事が相次いで報道されています。不祥事を防止するために組織のなかで「報連相」をどう機能させるべきでしょうか?

 

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コンプライアンスは何のために必要なのか

昨今「製品データの改ざん」や「無資格者による検査」や「製品の必要検査を行わず出荷」など、大変残念なことに大手日本企業のコンプライアンス違反による不祥事が続いています。なぜコンプライアンス違反はなくならないのでしょうか。そしてこのような企業不祥事は防止することができるのでしょうか。

このような不祥事が起こるたびにコンプライアンス違反が騒がれますが、そもそもコンプライアンスは企業にとって「何のために」必要なのでしょうか。少し考えてみてください。

先日、私はある士業の先生方が集まる勉強会にオブザーブ参加をしたのですが、その勉強会では「コンプライアンスは何のために必要か?」というテーマで、グループ討議が行われていました。

私が驚いたのは、コンプライアンスの大切さを十分に理解されている士業の先生方でも、いざ「コンプライアンスは何のために必要か?」と質問を受けると、しっかりとした答えで「コンプライアンスは〇〇のために必要だ!」と明確に言い切れる方が少なかったことでした。

 

コンプライアンスの意味

世間一般にコンプライアンスは「法令順守」と訳されていますが、実は「法令等の順守」と訳すのが、より正確な意味合いとしては合っています。

この「法令等」というのは、「法令だけではなく、業界や社内の規定、明文化や規則化はされていないが倫理的に守らなければいけない事」なども含まれています。それらをしっかりと守り企業活動を行うことが、コンプライアンスの本質です。

ではそのコンプライアンスが企業活動にとって必要である理由とは何でしょうか。それはずばり一言で表現すると「信を得るため」です。企業活動において、法令等を誠実に守り不正をしないことは社会的な信用信頼を築きます。

例えば、私たちはスーパーなどで食品を買う場合、商品の袋に記載されている原材料名や賞味期限などを信じて購入しています。わざわざ確認しない、という場合でもその商品を製造している企業の看板(ブランド)を信じています。

これは業種業態を問わず、すべての企業において同じことが言えます。すべての企業の活動は、不正や嘘偽りがなく誠実であるはず、という前提条件の上に成り立っているものなのです。ですから、そのような前提条件が弱い中国産の食品などは、「信用できないから買わない」という人もいます。

 

明確に理解されていない物事は実践できない

ではなぜ、コンプライアンス違反が起こってしまうのか。それは、先ほどの勉強会のような状況が、コンプライアンス違反を犯してしまう企業内全体で起こってしまっているからです。

要するにコンプライアンスの本質を、企業の経営トップから一般層に至るまで「知ってはいたが、理解はしていなかった」ということです。

不祥事を起こした企業でも社員一人ひとりに「なぜ、コンプライアンスは大切ですか?」と質問すれば、皆さん相応の回答はされることでしょう。

しかし、その方々に「あなたたちの組織は『何のために』コンプライアンスに取り組んでいるのですか?」と聞くと、おそらく明確な答えは返ってこないのではないでしょうか。

「なぜ?」ではなく「何のために?」が重要です。「会社から言われているから」とか「当然の常識だから」ではなく、自分たちがコンプライアンスに取り組む「自分たちなりの明確な理由」がぼやけていることが、組織的なコンプライアンス違反を招いているのです。

 

 

上から下への報連相で意味・目的の共有化を図る

それでは、どうすればコンプライアンスは守られるのでしょうか。それは、組織の経営層がしっかりと「わが社は○○のためにコンプライアンスに取り組む」という、明確な取り組みの意味・目的・重要性といった情報をしっかり発信し、組織全体で共有化しなければなりません。つまり、上から下への報連相です。

世間では報連相は下から上にするものという認識の人もまだまだ多くいるようですが、コンプライアンスのような企業活動の根幹に関わることには、やはり上から下への報連相が必要不可欠です。

江戸時代の農政家である二宮尊徳は「誠実にして、はじめて禍(わざわい)を福に変えることができる。術策は役に立たない」という言葉を残しています。

このような不祥事が騒がれるたびに、多くの企業でコンプライアンスの取り組みが増えますが、時間が経つとその取り組みも形骸化していくことも往々にして聞く話です。取り組み(術策)だけではダメなのです。

「わが社は何のためにコンプライアンスに取り組むのか」、その自分たちなりの理由やその重要性をしっかりと共有化することをせず、コンプライアンスの取り組みだけを工夫しても、コンプライアンス違反による企業不祥事がなくなることはありません。

 

コンプライアンス教育研修


 

延堂溝壑(えんどう・こうがく)

本名、延堂良実(えんどう・りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。

なお、本稿は糸藤正士氏に著作権のある『真・報連相』を、著作権者の承認を得て使用している。


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