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事例に学ぶ報連相の教え方~「どうしましょうか?」から成長させるために

事例に学ぶ報連相の教え方~「どうしましょうか?」から成長させるために

(2017年12月 4日更新)

 
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若手社員に教えたいのは、自分の考えを持って報連相すること、そしてその考えに固執せず、柔軟な姿勢をもつことです。報連相ができない部下の事例から教え方を学んでいきます。

 

*   *   *

 

前回の記事「報連相ができない部下に共通する特徴とは?」では、報連相ができない部下に共通して欠けている『3つの視点』(※図参照)を紹介し、そのうち『相手の視点』について解説をしました。今回は、『自己の視点』について具体的に解説します。

報連相 3つの視点

(この図では、相手の視点は『環境(例えば相手)』と表記しています。自己の仕事における「環境」には、自然環境、政治・経済的環境、地理的環境、などいろいろありますが、報連相ですから『環境≒相手』として説明しています。)

 

自分の考えを持って報連相しているか?~自己の視点(1)

報連相ができない部下は、自己の考えを持っていません。たとえば『自己の視点』が欠けている人が、自分の仕事で何かイレギュラーが起こり、上司の判断を仰がなければならない状況になったとします。

そのとき『自己の視点』が欠けている人は、「自分はその状況に対して、どのように対処したいのか」といった自分の考えを持たず、ただ単に「どうしましょうか?」と上司に判断を仰ぐだけになってしまっているのです。

入社間もない新入社員であればいざ知らず、これではこの部下は上司の仕事を増やしているにすぎません。

この部下の本来の役割は、自分の仕事に責任を持ち、その仕事でより良い成果をあげることです。そしてそのための、上司との報連相のはずなのです。

 

指示をしてくれなくなった上司

数年前、筆者が報連相の公開講座を実施したときの思い出深い話があります。講座の終盤に、一人の受講者がこのような気づきを口にしてくれたのです。

「私はこの数か月、上司との人間関係に悩んできました。この講座にも上司の紹介で参加しました。私はこれまで自分の仕事で不明な点があったりイレギュラーが起こったりすると、すぐに上司に対して『どのように対応すればよいでしょうか?』と丁寧に確認を取ってきたつもりでした。そして上司もその都度、指示を出してくれていました」

「しかし、数か月前から上司の対応が変わりました。上司のもとへ相談に行っても指示をもらえなくなったのです。指示はもらえずそのかわり、私は上司から『君はどうすればいいと思う?』と質問返しを受けるようになりました」

「最近では、私が相談に行っても上司から指示をもらえることはほとんどなく、仕事で悩むことが増えました。そしてそれ以上に私は、『指示をもらえなくなってしまったのは、自分が気づかないところで、何か上司に嫌われるようなことをしてしまったからではないだろうか?』と、上司との人間関係で悩んできました。上司が怖くて相談にも行きづらい状況でした」

「しかし今日、報連相の勉強をやり直すことで、そうではなかったのだと気がつきました。私に足りなかったのは、自立した『自分なりの考え』を持つことだったのです。自分の仕事に責任を持つことだったのです」

「私は上司に嫌われていたと思っていましたが、そうではなかったのだと気がつきました。その逆でした。上司はこの数か月間、私の成長をじっと待ってくれていたのです。早く職場に帰って上司に会いたいです!」

目に涙を浮かべながら自分の気づきを語ってくれた、その受講者の顔が忘れられません。

 

「自分の考え」に柔軟な姿勢を持っているか?~自己の視点(2)

「どうしましょうか?」から「こうしましょうか?」と自分の考えを持つことは、報連相のレベルが一段上がったと言えます。しかし自分の考えに固執しては、よい報連相ができているとは言えません。

私には、報連相での苦い失敗経験がたくさんあります。これは私がまだ20代半ばだった頃、職場のメンバーで業務の見直しを図るミーティングを行ったときのエピソードです。

メンバーの様々な意見を出し合う中で、当時の私は自分の意見に固執し、仲間たちの意見に耳を傾けようとしませんでした。当時の私は自分のやり方でうまくいっていたので、そのやり方に執着してしまい、「僕はこうやっているから!」とか「僕ならこうやる!」と、自分の考えに執着していたのです。

ミーティングの雰囲気はすっかり悪くなり、いったん休憩を取ろうということになりました。私はお茶を買おうと会議室を出たのですが、そこで先輩のIさんに呼び止められこう言われたのです。

「延堂君、もしさっき君がもう一回でも『僕は』と言っていたら、私は君を会議室からつまみ出していたところだったよ。君のやり方はたしかに良い部分もあるけれど、自分の考えばかりに執着せずに、もう少し皆の意見も聞いたらどうだ。それができないなら、君はこのミーティングから外れてくれて構わない」

 

報連相を行う目的は「より良い仕事の成果をあげるため」

『自己の視点』において、「自分の考え」を持つことはとても大切です。しかし、たとえ自分の考えを持てていたとしても、その自分の考えに固執しているようでは、やはり『自己の視点』が欠けていると言わざるを得ません。

先ほども言いましたが、報連相を行う目的は「より良い仕事の成果をあげるため」です。その報連相が、本当により良い仕事の成果に結びついているかどうか、しっかりと意識する必要があるでしょう。

 

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延堂溝壑(えんどう こうがく)

本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。

なお、本稿は糸藤正士氏に著作権のある『真・報連相』を、著作権者の承認を得て使用している。


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