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何のために報連相をするのか、目的の把握を習慣化させる

何のために報連相をするのか、目的の把握を習慣化させる

(2017年12月18日更新)

 
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報連相ができない部下には、単にやり方・手段を教えるのではなく、何のための報連相なのか、その「目的」を考えさせることが大切です。事例から学んでいきます。

 

*   *   *

 

この報連相は何のためにするのか~『目的の視点』

前々回「報連相ができない部下に共通する特徴とは?」、前回「事例に学ぶ報連相の教え方」と連載でお伝えしている、「報連相ができない部下に共通して欠けている『3つの視点』(下図参照)」ですが、今回は最後となる『目的の視点』について解説します。

 

報連相 3つの視点

(この図では、相手の視点は『環境(例えば相手)』と表記しています。自己の仕事における「環境」には、自然環境、政治・経済的環境、地理的環境、などいろいろありますが、報連相ですから『環境≒相手』として説明しています。)

 

報連相ができない部下は、「この報連相は『何のために』するのか?」という『目的の視点』が欠けています。報連相だけではありません、どのような仕事も「何のために?」という目的を明確にして取り組むと、仕事の成果は格段に上がります。

報連相の目的を考えるために、ここで1つケーススタディを見てみましょう。次に紹介するケーススタディは、日本報連相センターの講座でよく出題している問題です。

 

【事例】何のための報連相か?

課長は重要な会議で席を外しています。そこへ見覚えのある取引先の担当者がやってきました。応対したのは部下の佐藤さんです。

 

担当者 「ちょっと課長にご相談したいことがあるんですが、お席外しですか?」

佐藤さん「はい、今、会議に入っておりまして……」

担当者 「少しで結構ですので、お取次ぎ願えませんか?」

佐藤さん「わかりました。メモを入れてみます」

 

佐藤さんは担当者を応接室に案内した後、会議室の課長にメモを入れました。メモの内容は「今、相川印刷の方がお見えになっています。ご相談したいことがあるとのことです」というものでした。

 

課長    「相川印刷の誰?」

佐藤さん「さあ……ときどき来られる眼鏡の方です」

課長    「眼鏡って……。で、相談って何?」

佐藤さん「さあ、それは……(そんなこと私に訊かれても)」

 

佐藤さんの報連相には、様々な問題点があるように思います。実際の講座でも受講者からは「まず来訪者の名刺をもらっていないのが問題だ」「いや、それ以前に会議の重要度を把握できていないのも問題じゃないか?」「そもそも、来訪者の相談内容くらいは確認しておかないと話にならない」といった意見があがります。

確かにその通りです。佐藤さんの報連相には様々な問題点があります。

しかし、佐藤さんの報連相の一番の問題点は「自分が『何のために』上司に報連相を行うのか?」という、報連相の目的を明確にしていなかったところにあるのです。

 

報連相の目的を把握する

佐藤さんが上司に報連相を行う目的は「上司の判断を仰ぐため」です。そのことに佐藤さん自身がしっかりと気がついていれば、「上司がこの件を判断するために必要な情報は何か?」を考え、どのような報連相を行うかが自分で判断できたのではないでしょうか。

逆に言うと、自分の報連相(または仕事)の意味や目的が明確ではない状態の佐藤さんに、「そういう時は、まず名刺をもらってくれ」とか「用件くらい伺ってから報連相してくれ」とか「新人じゃないんだし、上司の会議の重要度くらい事前に確認しておけ」と、やり方を教えたところで、佐藤さんの報連相のレベルは決して上がることはないのです。

たとえば佐藤さんが、この1週間後に同じような状況に遭遇したとします。佐藤さんは、今回は上司に言われたとおり「ご用件をお聞かせいただけますか?」と来訪者に質問したとしましょう。しかし来訪者が「いやそれは、課長に直接させていただききたいので……」と言ったら、目的を考えていない佐藤さんはもしかすると「いや、上司からは用件を聞くように言われていますので!」と、上司に言われたやり方に固執してしまうかもしれません。このような対応ではクレームに発展しかねません。

佐藤さんが「上司の判断を仰ぐため」という、報連相の目的をしっかりと明確にできていれば、「承知いたしました。課長の○○には『直接ご相談したい』との旨、お伝えをさせていただきます」「〇〇はただいま重要な会議に出ておりますので、お待ちいただくことになるかもしれませんが、お時間は大丈夫でしょうか?」といった具合に、上司の判断材料となる情報を次々と得て、気の利いた報連相を上司に行うことができるでしょう。

 

報連相の『3つの視点』振り返り

報連相ができない人ほど、とかく「報連相のやり方・手段」に思考が直行しがちです。しかし、できる人は『相手』『自己』『目的』といった『3つの視点』から物事をとらえ、判断しています。

報連相ができない部下には、まずは『相手』『自己』『目的』の『3つの視点』で、何か自分に抜けている視点はないかを確認する習慣をつくってもらうことです。そうすると、気の利いた報連相ができるようになり、仕事のレベルも上がってくるでしょう。

 

 

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延堂溝壑(えんどう こうがく)

本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。

なお、本稿は糸藤正士氏に著作権のある『真・報連相』を、著作権者の承認を得て使用している。


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