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よりよい組織風土を醸成するための改革とそのプロセス

よりよい組織風土を醸成するための改革とそのプロセス

(2018年10月18日更新)

 
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企業は時として業績が低迷し、本業をおろそかにして顧客の信頼を失ったり、社員の意識が低下したりといった問題を抱えることがあります。そうした状態を根本的に改めるためには、企業としての価値観やミッションを再確認したうえで、組織風土の改革に取り組む必要があるでしょう。

 

健全な経営は、よい組織風土づくりから

企業が健全に経営され、一人ひとりの社員が前向きに日々の仕事に取り組み、誰もがやりがいを感じ、常に自分を磨き、きちんと利益を上げながら社会に貢献するのが、一つの理想のあり方といってもいいでしょう。そういう会社をつくっていくためには、単に規則や指示命令を厳格化しても、かえって社員に反発心が芽生える可能性があり、大きな効果は望めないと考えられます。

それよりも、よい組織風土をつくっていくことが重要です。よい風土がつくられ、それが全社員に根づいたら、誰もがおのずからよりよい仕事をしようと考えるはずです。その結果、健全な経営が実現し、社員たちは充実した人生を送れるようになるのです。

 

組織風土改革のプロセスとは?

では、どのように取り組めば、よりよい組織風土を醸成していくことができるのでしょうか。今現在、会社に理想的でない状態があるとしたら、どのように組織風土を改革し、理想に近づけていくことができるのでしょうか。

最初に行うべきことは、「価値観の見直し」であると考えられます。自分たちの事業は何のために存在しているのか、自分たちのミッション(使命)は何なのか、どういう理念のもとに行動するのか、といった経営のベースとなる「価値観」をしっかりと考えて、整理し直すのです。これが「風土づくり」の基礎となります。自分たちの価値観・ミッションを明確にするためには、経営の中核を担うメンバーが徹底的に話し合うことが重要です。

 

自社の価値観・ミッションを端的に表す「パワーワード」を見つける

価値観やミッションが明確になったら、それを会社全体で共有しなければなりません。共有するためには、価値観やミッションを「最適な言葉」で表現する必要があります。

言葉には力があります。自社の価値観・ミッションを短い言葉、あるいは一つのフレーズで的確に表すことによって、全社員に強く印象づけることが可能となります。強く印象づけられる言葉のことを「パワーワード」と呼びます。価値観やミッションを端的に表現し、なおかつ覚えやすく、オリジナリティが感じられることが大切です。

自社にとってのパワーワードを考え出すには、何度も何度もディスカッションを繰り返し、数限りない候補から選び出し、さらにとことん吟味するくらいの熱意が必要です。最高のパワーワードを見つけるためには、極端な話、何年かかってもかまわないと考えるべきでしょう。

 

パワーワードの浸透に努めて「共通言語化」を図る

自社にとってのパワーワードが完成したら、これを会社全体で「共通言語化」する段階に移ります。共通言語化とは、誰もが記憶していることはもちろん、何か問題が発生したとき、会議が紛糾したとき、判断に迷ったとき、横道にそれそうになったとき、当事者がそのパワーワードを思い出し行動を起こすことで解決の道を見出せるようになる、という意味です。

共通言語化するためには、パワーワードを額に入れて飾るだけではいけません。ミーティングなど機会があるごとに唱和したり、経営者や管理職が部下に指導をしたりする際に、繰り返し伝えて説明し続けることが肝要です。

また、共通言語化を進めるうえで、社内全体で人間関係をしっかりと構築することも不可欠です。互いに信頼し合っていない状態で、言葉だけ上から押しつけられても、多くの社員の心には響かないでしょう。上司と部下が一対一で話し合う機会を増やしたり、あるいはまた職場単位で自社の価値観やミッションについて話し合う機会をつくるなどして、時間をかけ、手間をかけて浸透させていくのです。上司と部下の関係の質が高まれば高まるほど、ミッションが浸透し、社員の意識変革が進んでいくはずです。

 

組織風土を改革し根づかせるには、トップの覚悟が欠かせない

PHP研究所でも、各企業の組織風土を改革するため研修を行っていますが、風土改革において重要なのは、その会社のトップが本気で取り組むことです。社長や役員が真剣に改革に取り組み、何年もかけてよい組織風土をつくり上げていかなければなりません。

新たなパワーワードにまとめた価値観やミッションが、企業の風土として根づくまでには、トップが全力を注ぎ続けるという前提で、およそ5年から10年はかかると考えたほうがいいでしょう。なかなか人間は劇的に変化するものではないからです。パワーワードを共通言語化したうえで、それを日常の業務に反映させ続けることで、少しずつ変化し、徐々に定着していきます。

その間、新入社員も入ってきます。まっさらの状態で入社し、純粋にその会社の価値観やミッションを身につけた社員が増えることで、組織風土の変革はさらに進みます。そうしているうちに、大部分の社員が共通の価値観のもとで、共通のミッションに向かって努力するようになるでしょう。それが「企業風土」となり、さらに次世代に受け継がれながら、その会社は発展の道を進んでいくわけです。

 

松下幸之助5つの原則研修プログラム

 

 

的場正晃(まとば・まさあき)
1990年慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。現在、PHP研究所研修企画部長。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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