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アジャイル経営時代、企業で働く人に求められる能力とは?

アジャイル経営時代、企業で働く人に求められる能力とは?

(2019年2月 4日更新)

 
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「ウォーターフォール」から「アジャイル」へ。マネジメント要件が変化するなかにあって、人事担当者は、どのようなスキル・能力を意識して人材開発を推し進めていくべきでしょうか。

 

経営環境の変化とマネジメントの要件

現代の企業現場における人材に関わる大きな問題として、人材不足、人材の流動性(離職)の高まり、部門の生産性低下、技術継承・世代交代の難しさなどがあるのではないでしょうか。

経営環境が目まぐるしく移り変わり、先の読めないVUCA(ブーカ:Volatility 変動性・Uncertainty 不確実性・Complexity 複雑性・Ambiguity 曖昧性)の時代と言われて久しいですが、多くの日本企業では未だにこの状況に適切な対応がとれず、模索や試行錯誤が続いています。経営者は正解が何かわからず、正解の定義が無い中で経営の舵取りを行い、人材や組織の活性化に取り組む必要があります。

日本の企業は長年にわたってマネジメントの重要な基盤としてPDCAサイクルをいかに回すかということに注力してきました。十分に検討された計画「P」をベースにマネジメントが実施されることになりますが、近年の環境変化においては方針や計画「P」の見直しを短期間で行わざるを得なくなっています。膨大な工数をかけて分析と計画作りを行うことが必ずしも環境に適応しているとは言えない状況が多く見受けられます。10年程前から一橋大学名誉教授の野中郁次郎さんが言われている「日本企業の多くが、オーバー・プランニング(過剰計画)、オーバー・アナリシス(過剰分析)、オーバー・コンプライアンス(過剰法令順守)の三大疾病に陥っています」ということが当てはまるのではないでしょうか。PDCAにおける「P」の変更は企業現場に混乱と不安を引き起こすことがあります。さらには人材育成の方針、計画の変更も余儀なくされることになります。

 

アジャイルとウォーターフォール2つの視点

PDCAサイクルは、1950年代にエドワーズ・デミング博士が戦後混乱期の日本に品質管理の体系持ち込んだことに起源があり、製造業を中心に改善活動、QC活動等品質改善に取り組み、今日の日本企業の礎が築きあげられました。PDCAサイクルは精度の高い「P」をもとに円滑な工程の進捗(前工程から後工程へ)を目指す考え方で、決められたことを期限内に着実に実行することを目的とし、製造現場やシステムの開発現場においては「ウォーターフォール型」のマネジメント手法として、手戻りや後戻りを防ぐことを意図して活用されてきました。PDCAは、環境変化があまり大きくなく、安定的な成長環境、大規模な事業や長期的な取り組みにおいて大きな効果や成果を生み出します。

一方、環境変化が激しく、先の読めない時代において注目されているのが、「アジリティ」「アジャイル経営(迅速、俊敏な経営)」です。重厚な計画ありきではなく、環境変化や状況対応を迅速に行うことを目的としており、目標や方針、実現内容を短期間で決定(チーム、組織の合意)し実行し目標達成まで繰り返します。その時点で最も価値を提供できることは何か、優先すべきことは何かを検討し判断します。どちらかというと小規模な単位で採用されることが多く、高いレベルのコミュニケーションによる状況判断、メンバーの合意、意思決定を短期間で繰り返し実行します。このプロセスはOODA(観察・Observe、状況判断・Orient、意思決定・Decide、実行・Act)サイクルと呼ばれています。

アジャイル経営において必要なことは、役職やポジションにあまり囚われないメンバー間の関係性(チーム意識)、ホールシステム(メンバーのリソース)の活用、サーバントリーダーシップ、目的重視(手段ありきではない)などがあります。

 

マネジメント要件から人材に求められるスキル能力を考える

今後、私たちは、マネジメントサイクルにおける2つの手法にもあるように、状況に応じて常に2面的な選択肢を持つことが求められます。企業現場の人材(経営者を除く)に求められる主なスキル、能力でPDCAとOODAの2つのサイクルに関連が強いと思われるものは次のようになります。

※関連はPDCAとOODAどちらかに限定されるというわけではありません

 

PDCA

マネジメントスキル、計画遂行能力、論理思考、専門性と分担、整理・分類能力、要約と簡潔な表現、問題と原因分析、経験とノウハウ、客観性、正確性、問題回避・リスクマネジメント、組織体制に基づいたコミュニケーション、コンテントを創り出す

 

OODA

リーダーシップ、課題設定、システム思考、デザイン思考、観察力、洞察力、表現力、アイデア、ストーリー・シナリオ作成力、先見性、バックキャスティング、協働・協調性、対話・自由度の高いコミュニケーション、プロセスに働きかける

 

これからの人材育成担当者には、このような両面性を持つ人材の育成を視野に入れておく必要があるでしょう。

 

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福田祥司(ふくだ・しょうじ)

NECグループ、三菱ケミカルホールディンググループにて、システムエンジニア、プロジェクトマネージャー、事業企画管理、経営企画管理担当。2014年、組織開発、人材開発、経営コンサルティングを柱とするインテリジェンスフィールド合同会社を設立。業界業種を問わず幅広い企業、組織を対象に経営改革、組織変革、人材育成の支援を行っている。PHPゼミナール講師。


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