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二宮尊徳の名言「遠きをはかる者は富み 近くをはかる者は貧す」を実践する組織とは?

二宮尊徳の名言「遠きをはかる者は富み 近くをはかる者は貧す」を実践する組織とは?

(2019年7月 5日更新)

 
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江戸時代後期の農政家、二宮尊徳の名言から、組織の在り方、そして、社員が幸せな会社のつくり方のヒントを学びます。

 

なぜ二宮尊徳の教えが「幸せな会社づくり」のヒントになるのか

二宮尊徳というと農政改革者として、多くの荒れ果てた農村の立て直しを行った人物です。尊徳の優れていたところは、農村の立て直しを行ったというだけでなく、農耕での改革を通じて人間を育てることに大変優れていたことでした。

当時、荒れ果てた農村の人々を勤勉勤労に育て、蓄えのある豊かな村に立て直していくというのは、筆舌には尽くすことのできない難題であったはずです。

現在でも二宮尊徳を尊敬する人物として挙げる経営者は少なくありません。人は今も昔も、幸せになるために生きていますし、幸せになるために働いています。荒れ果てた農村を立て直すとは、つまるところ農業を通して幸せな村づくりを行うということです。その難題と向き合い続けてきた尊徳の教えは、現代における「幸せな会社づくり」を目指すうえでも、とても大切な学びとなるのです。

 

「幸せな会社」とは、豊かな組織をつくること

最初に紹介する尊徳の言葉は、この言葉です。

 

遠きをはかる者は富み 近くをはかる者は貧す。

それ遠きをはかる者は百年のために杉苗を植う。

まして春まきて秋実る物においてをや。

故に富有なり。

近くをはかる物は 春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず

唯眼前の利に迷うてまかずして取り

植えずして刈り取る事のみ眼につく。

故に貧窮す。

 

尊徳は、目先の損得で物事をはかる者は貧窮すると言います。反対に富む者、つまり豊かになっていく者は、目先の損得ではなく将来芽吹く豊かさのために、様々な準備をしているのだとも言っています。たとえば、文中にあるような作物を育てたり苗木を植えたり、といった取り組みです。

目先の損得で物事をはかる者は、今すぐ手に入らないものに対しては労力を使いたがらないので、「その場しのぎ」「行き当たりばったり」となり、運よく一時的な豊かさが得られたとしても安定しませんし、豊かさを得続ける再現性もありません。

尊徳は上記の言葉で「者」と表現していますが、これは一個人の話ではありません。尊徳の取り組みで言えば「村」であり、また「会社組織」と置き換えても読むことができます。では、尊徳の言う「遠きをはかる者は富み 近くをはかる者は貧す」という考えが、具体的にどう「幸せな会社づくり」のヒントとなるのでしょうか。

 

遠きをはかるとは、将来のために投資をするということ

尊徳の言葉を「幸せな会社づくり」に置き換えて考えるならば、将来のために投資が行われる組織づくりをしましょう、ということです。それはつまり、新商品の開発や、専門分野の研究、人財育成、などが言えるでしょう。尊徳はその投資を「それ遠きをはかる者は百年のために杉苗を植う」、つまり100年という長期視点で考えよ、と説いているのです。

これはすべての投資を100年という長期視点で見なさい、という意味ではありません。それくらいの「長期的な視点」で、研究開発や人材育成といった投資をし続けるということが大切であるという意味です。

 

短期の成果を偏重する現代の風潮

最近は、何かというとコストパフォーマンが叫ばれ、成果の見えにくい物事には予算が与えられなかったり、あまりにも短期間で取り組みが打ち切られたりしがちです。

しかし尊徳は、すぐに成果が出る物事に対してだけ評価される現代の風潮に警笛を鳴らしています。

それは「近くをはかる物は 春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず 唯眼前の利に迷うてまかずして取り 植えずして刈り取る事のみ眼につく。 故に貧窮す」という言葉でも明確です。

たとえば売り上げが伸びていて、一見すると成長しているように見える組織でも、長期的な投資(新商品の開発、専門分野の研究、人財育成 など)がなされていなければ、やはり価格競争の波にのまれたり、他社商品に依存したような商売をしなければなりません。そのような組織では、社員も自分たちの仕事に誇りを持って働きにくいですし、会社の将来性が見えにくいので、幸せどころか不安を感じてしまいます。

幸せな会社をつくるためには、たくましい組織である必要があるのです。そのたくましさとは、自分たちの力で新たな商品やサービスを生み出していける力を持つということであり、尊徳の言葉にもある「遠きをはかる者は百年のために杉苗を植う」姿勢がその要となるのです。

 

次回も引き続き、二宮尊徳の別の名言を紹介いたします。尊徳の言葉から、ともに幸せな会社づくりのためのヒントを学びましょう。

 


 

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延堂溝壑(えんどう こうがく)

本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。


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