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個人のキャリアに影響を与える偶然の出来事と計画的に向き合うには?

個人のキャリアに影響を与える偶然の出来事と計画的に向き合うには?

(2019年7月17日更新)

 
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個人のキャリアの80%は偶然の積み重ねによって出来上がっているといわれます。どうすれば、人生に影響を与えるような偶然の出来事と計画的に向き合っていくことができるのでしょうか。

 

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「計画された偶然性理論」とは?

「計画された偶然性理論(Planned Happenstance Theory)」という言葉をご存知でしょうか。アメリカ、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱した理論として、特にキャリアカウンセリングの世界では有名な理論です。

「計画された偶然性理論」とは簡単に説明すると、「個人のキャリア(ここで言うキャリアとは、仕事も私生活もすべて含んだ人生の経歴のこと)の80%は偶然の積み重ねによって出来上がっている」という考えをベースに、その「人生に影響を与えるような偶然の出来事」に対して意識的計画的に向き合い、迎え入れるための理論です。

 

どうすれば偶然の出来事と計画的に向き合えるのか?

では、どうすれば人生に影響を与えるような偶然の出来事と、計画的に向き合っていくことができるようになるのでしょうか。そのことについて、「計画された偶然性理論」の提唱者であるクランボルト教授は、理論を実践するための行動指針として次の5項目を挙げています。

 

1.好奇心:たえず新しい学習の機会を模索し続けること

2.持続性:失敗に屈せず、努力し続けること

3.楽観性:新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること

4.柔軟性:こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること

5.冒険心:結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと

 

(『その幸運は偶然ではないんです!』J・D・クランボルツ、A.S.レヴィン 著/花田光世 訳/ダイヤモンド社 より)

 

成長意欲の高い人の行動

今回なぜこの「計画された偶然性理論」を紹介したかというと、それはこの理論が成長という視点から見ても、大変効果的な理論であるからです。

たとえば、成長意欲の高い人には読書家の人が多くいますが、そのような読書家の人の中には、インターネットの通販サイトで本を購入するだけでなく、あえて意識的に書店へ通い書籍を購入している、という人がいます。

最近のネット通販はとても利便性が高いですし、欲しい書籍やその関連書籍もオススメ表示をしてくれます。当然、駅前の大型書店より品ぞろえもいい。

ではなぜ、わざわざ労力をかけて書店へ通い、書籍を購入している人がいるでしょうか。それは、自己成長に「偶然の出会い」を意識的に取り入れているからです。

筆者の周囲にも「ネット書店のオススメ欄には、私に関心のある書籍(過去の注文履歴に関連した書籍)しか表示されない。ネット書店だけを利用していると自分の関心領域が広がっていかないのを感じる。リアルの書店に通うと、自分が考えてもいなかったジャンルの書籍との出会いがある」「ネット書店だと、ショッピング中に出会える情報量がとても少ないことに気がつかされる。たとえば、書籍のタイトルひとつとっても、パソコンやスマートフォンの画面上で表示される書籍一覧ページの情報量と、実際の書店で本棚を前にして目に飛び込んでくる情報量とでは、何十倍もの差がある」といった意見を言う人が何人もいます。

あえて意識的に書店へ通う、これはまさに「計画された偶然性理論」の実践行動の一つです。自分の関心領域を広げるというのは、心の視野を広げようと努力する行為です。その行為の継続は、必ず自己成長にも繋がります。

読書や書籍の購入は、ちょっとした一例にすぎないかもしれません。ですが、この「偶然性を大切にする」という姿勢は、自己成長のためにとても大切ではないでしょうか。

 

「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」

自己成長には、目標設定のように計画的な自己管理が効果的な場合があります。資格取得などはその典型です。ですが、自己成長には目標設定のような計画的ものだけではなく、「偶然の出来事」も良き成長の機会になります。そしてそのためには、偶然の出来事をしっかりと自己成長の機会に出来るよう、心構えを持っておく必要があります。

そうでなければ、自身に訪れる偶然の出来事は、単なる出来事のまま成長の機会とならずに流れすぎてしまうかもしれないからです。

リクルート創業者、江副浩正氏の言葉に「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という有名な名言がありますが、この「機会」をつくり出すためのよい指針となるのが「計画された偶然性理論」の5つの項目になるわけです。

 

計画性も大切に、偶然性も大切に

今回の記事では「計画された偶然性理論」を紹介するために、偶然性の大切さに焦点を当てて解説していますが、筆者自身は目標設定などの計画性のあるものも、「計画された偶然性理論」のような考え方も、どちらも等しく大切であると考えています。

多くの人は、計画性か偶然性か、どちらか相性の良い一方に偏りがちです。それは、その人個人の性格によるものもあることでしょう。しかし、どちらかを大切にするという対比的な考え方ではなく、どちらも大切にすることがより良い自己成長に繋がるのではないでしょうか。

物事を深めたり高めたりするのには、計画性が必要です。知見を広げ人間性を豊かにするのには、偶然性が役立ちます。自らの成長のために、計画性も偶然性も、どちらも大切にしたいものです。

 


 

延堂溝壑(えんどう こうがく)

本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。


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