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二宮尊徳の「積小為大」に学ぶ、幸せな会社のつくり方

二宮尊徳の「積小為大」に学ぶ、幸せな会社のつくり方

(2019年7月26日更新)

 
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二宮尊徳の残した「積小為大」という名言を解説しつつ、そこから幸せな会社をつくる方策を学びます。

 

積み重ねることの大切さ

前回の記事では二宮尊徳の次のような名言をご紹介しました。

 

遠きをはかる者は富み 近くをはかる者は貧す。

それ遠きをはかる者は百年のために杉苗を植う。

まして春まきて秋実る物においてをや。

故に富有なり。

近くをはかる物は 春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず

唯眼前の利に迷うてまかずして取り

植えずして刈り取る事のみ眼につく。

故に貧窮す。

 

尊徳は、積み重ねることの重要性について、さまざまな表現で何度も説いていました。そのうちの一つに次のような言葉があります。

 

大事をなさんと欲せば、小さなる事を、怠らず勤むべし。

小積りて大となればなり。

凡そ小人の常、大なる事を欲して、小さなる事を怠り、出来難き事を憂ひて、出来易き事を勤めず。

それ故、終に大なる事をなす事あたはず。

それ大は小の積んで大となる事を知らぬ故なり。

 

これは「積小為大」として、たいへん有名な尊徳の名言です。尊徳は大きなことを成し遂げるというよりも、小さなことを丁寧に積み重ね、その継続の先に大きなことが成し遂げられる、という考えを強く持っていました。

 

積み重ねを楽しむ

筆者が思うに、尊徳はその手間暇のかかる「積み重ねの丁寧な継続」に、喜びや楽しみ、さらには美しささえも感じていたように思います。尊徳の詠った道歌の中には、そう思わせてくれるような一首が残されていますので次に紹介します。

 

山々の 露あつまりし 谷川の

ながれ尽きせぬ おとぞ楽しき

 

山脈深くより一滴々々の露が集まり、渓谷の川となって尽きることなく流れている。その自然の偉大さや美しさや原理原則といったものに気づかされ、心躍らせている尊徳の感動がとても鮮やかに表現されていて、この道歌に触れる者の心までもが思わず弾んでしまいます。

尊徳は豊かな谷川の情景に、積小為大の原則をみました。自然の成り立ちを通じて、小さなことの積み重ねがどれほど大切であるか、その重要性をあらためて心に刻んでいたに違いありません。積小為大を信条としていた尊徳だからこそ詠むことのできた、素晴らしい一首ではないでしょうか。

 

大事をなさんと欲せば、小さなる事を、怠らず勤むべし

話を名言の方に戻しますが、尊徳は「小人(ここで言う小人とは、子供の事ではなく器量のない者、浅はかな者、という意味)は小事凡事を怠って、目立つような大事ばかりやりたがる」「だが、そのような大事は容易にできるようなものでは無い」「しかし、小人は大事が出来ないことに思い悩んでばかりいるだけで、大事を成すために必要な小事の積み重ねには勤めない」と言っています。

尊徳はこの積小為大という考えを、荒れ果てた農村の再建の基本姿勢に据えていました。貧しく荒れ果てた村を豊かな村にするために、将来のための投資を惜しまず、農業への研究と人の育成に力を注ぎました。そして、それらはすべて身の回りの小事から始まり継続する姿勢によってなし遂げていったのです。

 

やり方に「答え」があるのではなく、継続に「応え」がある

これは幸せな会社づくりにおいても、同じことが言えるでしょう。最近は情報化社会であるがゆえに、社会には成功事例が溢れかえっています。しかし、いくら他社の成功事例を真似してみても、なかなかうまくはいきません。

そのうまくいかない理由の一つには、尊徳の言う「小さなことの丁寧な積み重ね」の姿勢が欠けているからではないでしょうか。

目立つ取り組み、成功事例。それらに目を奪われて大きな成果ばかりを目指して目の前の凡事が疎かになってしまっている。そして、ちょっとやってうまくいかなければすぐに「手を変え品を変え……」と、組織の性格が飽き性になってしまっている。それはまさに、尊徳の言葉にある、小人それそのままの状態です。

近年は何でもすぐに答え(正解)を探そうとする風潮があります。しかし、幸せな会社づくりに、はたして画一的な答えなど存在するのでしょうか。

手段思考による正解探しから少し離れ、尊徳の言葉にあるような目の前の小事を丁寧に積み重ねてみる。その継続の先に自分たちなりの応えが返ってくると、筆者はそのように考えています。

 

次回は、尊徳が豊かな村づくりのために説いた、心身の姿勢に関する名言を紹介いたします。

 


 

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延堂溝壑(えんどう こうがく)

本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。


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