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報連相を再定義する

2013年2月18日更新

報連相を再定義する

新入社員には上司のための報連相が求められます。しかし一人前になれば自分の仕事でよりよい成果をあげるための報連相が求められるようになります。お互いの協力してシナジーを高める報連相、その意味を考えてみましょう。

 

*   *   *

 

ここで、あらためて報連相という言葉の意味について考えてみましょう。報連相は、一般的に「報告・連絡・相談の頭文字をとった言葉」と考えられています。

 

では、<報告><連絡><相談>それぞれは、いったい、どのような意味合いで使われているのでしょうか。

 

皆さんの頭の中のイメージは、おそらく「報告=義務」「連絡=お知らせ」「相談=お知恵拝借」といったものでしょう。しかし、それは新入社員向けの<上司のための報連相>のイメージそのままです。
ここでは、一段レベルをあげて考えてみましょう。すなわち、以下のようにそれぞれの言葉の意味を再定義してみます。

 

【Point】

報告=義務+α

連絡=情報の共有化

相談=お互いに協力して相乗効果(シナジー)を高めること


なぜ、このような再定義が必要か、次に解説していきます。


■報告=義務+α

新入社員であれば、上司の求めに応じて「○○が起こりました」「現状は△△な状況です」と、発生した問題や現状について報告をしていれば、それで十分でした。しかし、部下が成長すればするほど、上司の期待も大きくなってくるものです。

 

報告も、単なる義務ではなく、<+α>が求められるようになってきます。ここでいう<+α>とは、「自分の考え」や「相手への気配り」などをさします。たとえば、こんな報告のしかたです。

 「現状は△△の状況ですが、今後のことを考えて、ここで口口を提案したいと思います」

上司から言われたことにただ「答える」だけではなく、上司の期待に「応える」。このような<義務+α>の報告が、一段レベルの高い報告だといえます。

 

■連絡=情報の共有化

連絡といえば、「お知らせ」「情報伝達」といったイメージがありますが、このままでは情報の一方通行です。

 

連絡のレベルを一段あげようと考えるならば、単に相手に結果・事実・状況などを伝えるだけでは不十分です。伝えたい言葉や数字の<意味>を、きちんと相手に理解してもらうこと。つまり、自分が伝えたい情報の意味が相手に伝わってこそ、一段レベルの高い連絡ができたといえるのです。これが、<情報の共有化>です。

 

たとえば、こんな事例を考えてみましょう。上司が自部門のメンバーに「売上目標を前年比で10%アップ」と伝えたとします。メンバーによっては「それは無茶だ。どうせ達成できない」と思う人もいます。「みんなで必死に取り組んで、是が非でも達成しなければならない」と思う人もいるかもしれません。

 

連絡で伝えなければならないのは、言葉や数値だけではありません。伝えたいのは、その言葉や数値に込められた意味です。「何のために目標数値が前年比10%アップになっているのか」「何のためにこの目標を達成しなければならないのか」といった目的や背景をしっかりと伝えてこそ、売上目標という数字の裏にある真意が共有できるのです。


■相談=お互いに協力して相乗効果(シナジー)を高めること

相談といえば、「困ったときのお知恵拝借」といったイメージがあります。主に「下から上へ」という図式の相談です。

 

しかし、実際のビジネスの場では、相談は下から上だけとは限りません。「上から下へ」という相談も必要になります。組織の上の人は重要な情報をたくさんもっていますが、逆に下の人は現場の生情報に接しているからです。

 

さらには、上下ではなく前後左右もあります。他部署、取引先、お客様、専門家、社外の知人など。このように考えていくと、「お知恵拝借」といった依存的な姿勢ではなく、主体的に行動する姿勢が必要となってきます。

 

いいかえれば、創造的な仕事を実現するためにするのが相談です。社内に限らず、社外にも協力者を募り、自ら主体性をもって周囲と協力関係を築き、1人ではとても成しえないような問題解決をしたり、仕事の成果を出していく。それが、「お互いに協力して相乗効果(シナジー)を高める」という一段レベルの高い相談なのです。

 

従来の報連相は、「上司が部下に求めるもの」という固定的な図式でイメージされてきました。しかし、このように一段レベルをあげてみると、報連相には本来、上も下もないことがわかります。組織で働くすべての人が報連相をする立場にあり、同時に報連相をされる立場にもあるのです。

 

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<執筆講師>

延堂良実 えんどう・りょうま
昭和55年、大阪府生まれ。施設運営管理事業を行なう企業の人事部を経て独立。現在、一般社団法人日本報連相センター理事兼事務局長、ブライトフィート代表。
主な著書として『「真・報連相」で職場が変わる』(新生出版)、『楽しい自己啓発のハンドブック』(ブライトフィート)がある。

 

<監修>

一般社団法人 日本報連相センター
「真・報連相」の提唱と普及を目的とした一般社団法人。個人の自立と互恵の関係を広げ、深めることを理念に、個人・組織・社会の発展をめざしています。人材育成と開発の支援、元気で風通しのよい組織風土づくりに取り組んでいます。
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現在(2012年12月)、約500社の方々が使用登録し、活用中です。
※「真・報連相」に関する情報は、〈http://www.nhc.jp.net〉をご覧ください。

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