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会社で肩書を求めるということの意味

会社で肩書を求めるということの意味

(2016年5月 4日更新)

 
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肩書を上げる仕事人生を通して、会社の仕組みを学び経験を積んでいくことができます。しかし一方で、肩書きは大企業病と密接な関係があります。人材紹介のトップエージェント・海老一宏氏が解説します。

 
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入社して初めての肩書

学生生活も終えて無事に企業に入社し研修が終わって配属先が決まると、○○会社の○○部署の社員として名刺をもらいます。これが社会生活で初めての肩書になります。名刺をもらった時の喜びは、誰でも記憶に残っているのではないでしょうか? きっと最初に名刺を配るのは、家族や親せきや友達だったと思います。
最初は一平社員としてスタートしますが、しばらくすると○○リーダーや主任などの初めての役職としての肩書をもらい、会社員としての肩書人生のスタートとなります。
ちなみに私の勤務していた耐火物メーカーは、当時なんと入社後12年経って初めて管理職試験を受けて、ようやく係長に昇格するまで、何の肩書もありませんでした。私はちょうど12年で会社を退職しましたから、肩書は○○会社社員としての肩書のままでした。いまどき、このような肩書を出し渋る会社も少ないと思います。
 

肩書をもとめる会社生活

会社生活は、ある意味で肩書を求める仕事人生となります。それは就職活動から始まります。より有名で世間的に価値の高い企業であればあるほど肩書は仕事に何も関係ないところでも通用します。事実アパートを借りたり、婚約するときなどには思わぬ恩恵があったりするはずです。
多くの会社では30代で課長・マネージャーとなり、40代で室長や部長、支店長などの役職となり、肩書が立派になって行きます。それにつれて、仕事の責任も増えますが、部下も増えて人事権も強くなり、部署によっては社外への影響力も出てきます。
 
この肩書を上げる仕事人生を通して初めて会社の仕組みを学んでいき、様々な経験を積んでいきます。したがって、その観点でみれば当然肩書は上がった方が、質も幅も価値も責任もより高い経験が身に着きます。この経験は勉強や創造だけでは難しく、肩書を得た人にしかわかりません。そして肩書は仕事人としての価値ばかりではなく、人生にも影響を与えて行きますから、高い肩書を得る努力は人生を素晴らしいものにする可能性を高めることになります。
 
最初の会社での肩書を求める行動は、仕事上はもちろんのこと、意欲、責任感、使命感などを養い、前向きに人生を生き、困難や挫折を経験してもそこから復活するための心を培う上で大変重要であり、ぜひ厳しい競争に立ち向かっていただきたいと思います。そして肩書は仕事の能力だけではなく、人間性を評価されていることをしっかりと意識する必要があります。人間的に優れた人でも仕事の実績が出ないなら昇進することはないし、反対にどんなに仕事で実績をあげても会社員や市民として問題がある人は会社が出世させません。このようにお金でも買えないものの一つが会社での肩書です。バランスのとれた社会人を構築するのが、この肩書を求める会社生活ということです。
 

肩書の罪とは

一方、多くの肩書のあるビジネスマンが会社生活を通して大企業病という病に冒されていきます。この病気は肩書の重さに比例して行く傾向があります。ビジネスマンは会社の肩書の功罪が表裏一体となっていることを自覚しなければなりません。
 
一体肩書の功罪、その罪とは何でしょうか?
まず、肩書は会社が一時的に仕事の役割として与えた称号と権限であるに過ぎないということを認識しないといけません。
確かにあなたは努力し、そのタイトルを得るにふさわしい実績も上げました。
しかしだからといって努力や実績が肩書とイコールではなく、会社が必要だから与えたにすぎず、与えられて当然ということはないということです。
例えば、本社の営業課長として大きな実績を上げたAさんが、次のポジションとして先輩が歩んだ道である大阪支店長や本社営業企画次長などの肩書を期待していたのにもかかわらず、業績が低迷している札幌支店課長として発令されたとします。さてあなたならどうしますか? 
大きな期待が裏切られて落胆し、仕事のやる気を失い転職しますか?
それとも本社の実績を誇りに札幌支店で再度大きな成果を上げるよう頑張りますか?
もし、自分に何かこのような辞令を受けた場合、例えば業社と癒着があったとか、部下へのパワハラで注意を受けたなどその原因が思い当たるなら、それをきちんと受け止めて改めなければ転職しても結果は同じです。しかし、何も思い当たらないとしたら、余計な心配をせずにそれは会社の都合だと理解する必要があります。あなたに人事や経営陣が多くを語ることはないかもしれませんが、札幌の業績の低迷は会社として看過できないことで一刻も早い解決としての人選だったかもしれません。あるいは札幌の支店長に公にできない何かの問題があり、その対応で選抜されたかもしれません。いずれにしても会社の人事とは持てる駒=人材をいかに機動的に有効活用するかです。囲碁の陣取りで誰もがハッとするところに石を打つことで形勢を逆転することがありますが、それが人事です。はっきり言えばAさんや周りがどう思おうと関係ありませんし、その程度で仕事や会社に嫌気がさすようでは人間力が無さ過ぎです。そしてそれが肩書を自分のものだと誤解している罪の部分です。
自分自身としてもそうですが、他人の肩書についてもあれこれと推測し、酒やたばこの肴にするのは、浅ましい心を他人に表明しているだけです。無位無官になっても自分が信じている人なら、今後を期待して同じように接するべきです。実力があれば必ず復活します。
 

肩書は大企業病と関係する

二つ目の罪は、言うまでもなく肩書は大企業病と密接ということです。
肩書は会社の中での期待される仕事だけでなく、序列、権限、責任を意味します。この会社内での「期限のある」「限定された」序列と権限が自分そのものと勘違いしているのが大企業病です。会社はあなたに仕事上必要な肩書を与えたにすぎませんが、それを知らず知らずに会社外でも同じような権威があると思いこんでいるのです。会社の中でも、一平社員と部長では、仕事上の役割が上でしかありません。私生活まであれこれ先輩風を吹かしていては、嫌われる上司でしかありません。
まして会社の外で、例えばコンビニの店員や駅員に「俺は名だたる会社の部長だ。誰だと思っているんだ」と接しているようでは、将来奥様に三行半を付きつけられる予備軍です。
「俺はそんな低レベルの振る舞いはしないよ」、そういう方が私たち人材紹介会社に連絡をしてきますが、メールではあいさつ文なしで用件のみのメール、来社しても受け付けでは「俺は客で元○○部長だからそれなりに応対しろよ」という顔をしています。残念ながら私たちは大企業病に染まった心を読み取り、社会常識が欠如していて紹介先でもトラブルを起こしかねないと判断すると大事な企業には紹介しません。
会社から離れたら、肩書の無い自分に即戻らなければなりません。それが出来る人こそ、企業が求めている人なのです。改めてその理由を自問自答してみたらいかがでしょうか?
 

「大転職時代の人材論」一覧はこちら

 

【著者プロフィール】
海老一宏 (えび・かずひろ)
人材紹介コンサルタント。キャリアカウンセラー。アクティベイト株式会社代表取締役社長。
1957年、宮城県仙台市生まれ。中央大学卒業後、東証一部上場企業 品川白煉瓦株式会社(現、品川リフラクトリーズ)に入社。人事、経理、営業に携わる。1992年に起業し、レンタルビデオ・CDショップを開業。1店舗からのスタートで、FC本部の経営まで事業を拡大。2000年に人材紹介会社に入社し、トップエージェントとして活躍。2005年に独立し現職に。財団法人みやぎ産業振興機構のビジネスプロデューサーも務める。エージェント歴は15年。面談者は6000名以上。エン転職コンサルタントで6年連続利用者評価NO.1(当社調べ)。
著書に『40歳からのサバイバル転職成功術』(ワニブックスプラス)、『一流と言われる3%のビジネスマンがやっている誰でもできる50のこと』(明日香出版社)。

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