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職場改善3つのスレス指標~仕事の量的負担、コントロール度、職場のサポート

2016年9月 2日更新

職場改善3つのスレス指標~仕事の量的負担、コントロール度、職場のサポート

仕事のストレス判定図を用いて、部署ごとのストレス状態を把握し、その結果をもとに職場環境を改善するための対策を検討する方法をご紹介します。

仕事のストレス判定図を活用する

ストレスチェックの結果をもとに、職場のストレス要因を把握し、その課題について改善していくことが「職場環境等の把握と改善」となります。

この組織対策の指標として、職業性ストレス簡易調査票では仕事のストレス判定図が用意されています。ここで用いられるのは「量・コントロール判定図」と「職場のサポート判定図」の2種類です。

これらの判定図を用いて、部署ごとのストレス状態を把握し、その結果をもとに職場環境を改善するための対策を検討する方法をとることが多いでしょう。ここでは、ストレス判定図の見方と活用法を中心に説明します。

2種類の判定図の読み解き方

 「量・コントロール判定図」では、部署等の一定の集団について「仕事の量的負担」と「仕事のコントロール」の平均点からストレス状態を判定します。

仕事量については、「一生懸命働かなければならない」「非常にたくさんの仕事をしなければならない」「時間内に仕事が処理しきれない」という3つの質問があります。これらの質問にすべて「そうだ」と回答した場合は12点、すべて「ちがう」のと回答した場合は3点です。これらの回答の平均点から集団の仕事量の得点が計算され、得点が高いほどストレスは高くなります。

一方の「仕事のコントロール」は「自分のペースで仕事ができる」「自分で仕事の順番・やり方を決めることができる」「職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる」という3つの質問があり、計算方法は仕事量と同じですが、得点が低いほどストレスは高くなります。

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「職場のサポート判定図」は、上司および同僚の支援が得られているのかどうかを判定するものです。それぞれ「気軽に話ができるか」「困った時に頼りになるか」「個人的な問題について聞いてくれるか」という質問への回答を得点化しています。すべて「非常に」と回答すると12点となり、すべて「全くない」と回答すると3点となります。こうしたサポート得点が高いほど、ストレスの影響は緩和されることとなります。

健康リスクを下げるための対策とは

もう一つ、「健康リスク」という指標があります。これは各ストレス判定図では斜めの線で表示され、それぞれ100を全国平均とした数値が出てきます。たとえば、120の場合は、5日以上の休業や各種疾患となる健康リスクが全国平均よりも20%高いことを意味します。

この健康リスクを下げるために、「量・コントロール判定図」からは「仕事の負担を減らす」のか、「仕事のコントロール度」を上げた方がよいのかといったことを検討します。各職場の事情によって、どちらの対策が打ちやすいのは異なるでしょう。重要度と取り組みやすいさから現実的な対策を検討します。

「職場のサポート判定図」では「上司の支援」と「同僚の支援」の得点について全国平均と比較し、課題と対策を検討します。たとえば、「上司との相談機会を増やす」「仕事へのフィードバックを増やす」、あるいは「同僚間で課題を検討するチームをつくる」「懇親会やサークル活動を支援する」といった対策もあるでしょう。

各社各部門として、どのような対策をとるのか、できるだけ従業員参加型で職場のストレス対策を検討するとよいでしょう。

その他のストレス要因について

職場のストレス要因には、ここまで述べたこと以外にも多くの要因が考えられます。仕事への適性度や意欲、働きがいなどのポジティブな要因もあるでしょう。また、冷暖房や騒音等の物理的な環境要因もあります。職業性ストレス簡易調査票にも他の要因についての質問項目があり、判定図以外の数値も参考にしながら職場のストレス対策を検討します。

ただし、ここでは詳細まで述べられませんが、他の要因については質問が1問だけのものも多くあります。たとえば、「技術の活用度」の得点が低い場合は、「自分の技能や知識を仕事で使うことが少ない」という質問に対して、「そうだ」と答えた人が多いということです。各結果について、質問内容が具体的に何であるのかを含めて対策を検討しないと、的外れになりかねません。気になる数値については、ぜひ質問内容まで確認し、職場からの意見も含めて、対策を検討するとよいでしよう。

【著者プロフィール】

小西喜朗 (こにし・よしろう)

ウェルリンク株式会社顧問、産業カウンセラー、教育カウンセラー。

1984年、京都大学卒業後、編集者、ジャーナリスト等を経て、2000年にウェルリンク株式会社設立に参画。累計130万人以上が利用する「総合ストレスチェックSelf」を開発する他、メンタルヘルス研修およびコンサルティングを行う。メンタル法律問題研究会理事、日本マインドフルネス学会理事等を歴任し、職場のメンタルヘルスケアをリードする。

共著に『自分で治すがん』(朝日新聞社)、『リラクセーションビジネス』(中央経済社)、「メンタルヘルス・マネジメント」(PHP研究所)、『ポジティブ心理学再考』(ナカニシヤ出版)など。

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