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雑談・ムダ話・私語が仕事の生産性を上げるって本当?

2017年8月 7日更新

雑談・ムダ話・私語が仕事の生産性を上げるって本当?

職場での雑談やムダ話、私語を禁止する企業が増えています。「働き方改革」の一環として生産性向上のための取り組みということですが、本当に有効なのでしょうか?

 

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現在、多くの企業では「働き方改革」ということでサービス残業は厳禁となり、残業時間を減らそうとしています。しかし、求められる業績は前と同じか、もしくはそれ以上ということで、ムダを削減し生産性を向上する改革を行っています。その一つが「雑談・ムダ話・私語を禁止する」ということです。

しかし、それで本当に職場の生産性が高まるのでしょうか? 多くの企業の研修担当者や受講者から聞いた話をもとに検証してみます。

 

職場の人とメールで会話

朝、出社してパソコンを立ち上げ、誰とも話さずに仕事する人がいるそうです。そういう人は、隣に座っているにもかかわらず、同じフロアーにいるにもかかわらず、要件をメールでやりとりしています。同じ職場にいるものの、ほとんど話をしないし仕事以外は全く知らない……そんな人が増えているところにも、今回のテーマである「働きたくない、おもしろくない会社」になっている理由があるのかもしれません。

ITが進化し、職場にパソコンが普及したことで、仕事の仕方が大きく変わりました。今や一人一台パソコンが与えられて、パソコンと向き合って黙々と仕事をすることが当たり前になっています。パソコンによって仕事の生産性は劇的に向上しましたが、一方で組織のコミュニケーションが少なくなっています。

パソコンをカチカチ打つ音だけが響く無機質な職場では、個人の生産性は上がるかもしれませんが、組織の生産性は上がるでしょうか。

 

コミュニケーションの機会がどんどん減っている

昭和の時代は、社員旅行や仕事帰りに飲みに行くなど、コミュニケーションの機会がたくさんありました。しかし今はどうでしょう。そうした機会も、かなり減ってきているのではないでしょうか。

現在、多くの職場で「働き方改革」が推進され、雑談を時間のムダと捉える人が増えました。雑談の有効性を感じている上司ですら、雑談しづらくなっているようです。そして最近は、雑談が苦手な若手社員が増えていることから、若手社員の雑談力や上司の面談技術などコミュニケーション研修のご依頼が急激に増えてきました。

日本生産性本部の「平成29年度 新入社員 働くことの意識調査」で、こんなデータがあります。

「同僚、上司、部下と勤務時間以外はつきあいたくない」という人が、平成28年は20.7%だったのが、平成29年には30.8%とプラス10.1%となりました。今後ますます雑談の機会が減っていくことが予想されます。

 

雑談をすると生産性が上がるって本当?

職場での雑談には大きな意味があります。まず、職場のコミュニケーションの潤滑油になります。それだけではありません。雑談やムダ話は、人間関係を深め、「信頼関係」を築く効果があります。

本来、雑談は楽しいものです。職場が楽しければ雰囲気が明るくなり、雑談から発想やアイデアが広がる可能性もあります。

さらに、雑談は「風通しの良い働きやすい職場」をつくるベースになると気付いていますか? 雑談から同僚の“人となり”を知り、逆に自分のこともわかってもらうことで、職場に仲間意識が芽生えます。共通の目標を目指して、お互いを助け合う風土も生まれてきます。

 

「風通しの良い働きやすい職場」をつくるには?

では、「風通しの良い働きやすい職場」にするにはどのようなことをすればいいのでしょうか?

「やっぱり“飲みにケーション”ですか?」

「みんなで一緒にカラオケやボーリングに行くこと?」

「風通しが良い働きやすい職場」、一言でいえば、誰に対しても、ものが言いやすい職場です。

上司に対しても「さん付け」で呼ぶことは、自由に意見が言える風土をつくる施策の一つです。リフレッシュスペースをつくり、他の部署の人と雑談や相談ができるようにすることも効果があります。

さらに、形式的な会議とは別にざっくばらんに話し合えるミーティングを開いたり、食事会を開いたりして社員同士が交流するイベントを開催することも有効です。

昭和の時代に家族経営の象徴であった社員旅行や社員運動会を、最近、復活させている企業がありますが、これらも会社の一体感や仲間意識を醸成する効果があります。

このような施策を実施することで、働きやすい、やりがいがある、モチベーションが高い、助け合う職場になっていきます。

 

人材開発よりも組織開発の重要性が高まっている

昨今、人と人の「関係性」をよくする「組織開発」という考え方が脚光を浴びていますが、雑談が生まれる風通しの良い働きやすい職場をつくるというお話は、まさしく組織開発といえるでしょう。

これまで、人事担当者の重要な仕事は、人材開発でした。そして今、人と人の関係性をよくして、「人の集団」から「組織」に変えていく組織開発を推進することが、より重要な役割になってきているのです。

 

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茅切伸明(かやきり・のぶあき)

株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 

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