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部下に礼節や徳の話をしても大丈夫でしょうか~コーチングQ&A

部下に礼節や徳の話をしても大丈夫でしょうか~コーチングQ&A

(2018年12月 4日更新)

 
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社会全般として礼節や徳といった概念が希薄になってきていることを感じるという営業マネジャーからのご相談です。

 

Q IT技術の近年の目覚しい進歩に対して若年層は順応性が早く、また熟知もしています。この方面では私が若い部下たちにコーチングされている感じです。一方、社会全般において礼節や徳といった概念が近年希薄になりつつあることを痛感しております。チームワークを旨とする職場において、こうしたことについて話をすることは是か非か、お教えください。

(町田三郎・営業マネジャー〈仮名〉)

*   *   *

 

町田さんの文面、前半はご質問というよりご感想ですね。確かに、昨今の若者世代のIT関連の知識は豊富で、おじさん世代はついていくのが困難です。町田さんも彼らに教えてもらうことが少なくないのでしょうが、それはコーチングというよりティーチングに近いのではないでしょうか。

しかし、教えてもらうのに年齢の上下は関係ありません。「我以外皆我が師」の精神で、謙虚に教えを請う姿勢が望ましいのではないでしょうか。

 

「自分も知らなかった」が共感を呼ぶ

さて、後半のご質問です。これは直接にコーチングと関わるテーマではありませんので、私見になりますが、礼節や徳というものは、時代を問わず、絶対に必要であると私は考えています。問題は、どんなときに、どのように話をすべきか、ということでしょう。

頭ごなしに、「君らにはこういうことが足らん。こうすべきだ」というような言い方をすれば、反発されこそすれまったく効果がないのは火を見るより明らかでしょう。とにかく、「自分は知っているし、できている。しかし、君らは知らないし、できていない」というスタンスでは、なかなか話が伝わらないのではないかと思います。

自分も知らなかったこと、あるいは忘れていた大切なことに、最近気づいた、これから直していこうと思うが、君らもどうだ、という感じを基調に、一緒にやっていこうというムードを作り出すことが大切ではないでしょうか。その際に有効なのが、外部やお客様の話です。

我々の職場に関して外部からこういうことを言われた、ある会社を訪問してこういうことに気づいた、というように、もともと町田さんご自身が気づいていて言いたかったことを、他人をダシにして話すのです。これには比較的聴く耳をもつことが多いようです。

 

「ゴールイメージ」を示す

また、この職場を社内で最高の職場にしていきたい。最高とはこういう意味だ。そのためにどういうことをしていったらいいか、皆で考え実践しようではないか、というように、リーダーとしての町田さんの考える「職場のビジョン」あるいは「ゴールイメージ」を示し、メンバーの議論の中で徳や礼節を考えさせる話をちらちらと交えるといった方法も考えられます。

お互いにとってより良い職場、他から見ても素晴らしい職場にしたい、ということに対しては、自分本位の傾向が強い若手であっても、自分たちの課題として共感してくれる可能性が高いと思われます。そうすれば、「他から見てきちんとした姿」というようなことを考えざるを得ず、礼節や徳といったことを、押しつけではなく主体的に考えるようになるのではないでしょうか。

 

お酒の場は要注意

なお、一人あるいは少数の部下と、ノミュニケーションの場でこういう話をするのは、かなり危険度が高いと思われます。そこでは神妙に聞いていたとしても、内心ではうっとうしい上司と思っているかもしれません。上司の話を右の耳から左の耳に素通りさせているだけかもしれません。そういう席では、自分が若いときに上司にこっぴどく叱責されて骨身にこたえたような「失敗例」を通じて、礼節や徳の大切さをそれとなく感じさせるような工夫が必要ではないでしょうか。

ともあれ、こういうことを若い世代に伝えることは絶対に必要です。先ほどもそう書きました。しかし一方で、私自身の場合であれば、自分がそういうことを語るにふさわしい言動をしているかどうかという自省が先かな、というのが正直な感想です。

 

【POINT】礼節・徳を語るときは、まずは「自省」を!

 


 

【Key Word】モデリング

モデリングとは、成功事例を学習し、その要素を単純化し、自らの考え方や行動にとり入れて、問題解決のための資源とすることです。

子供に偉人の伝記を読ませるとか、ビジネスリーダーが新しいビジネスモデルの開発に成功したエクセレントカンパニーに学ぶなどもモデリングです。他者の成功事例から学ぶのも効果的ですが、自分自身の成功体験ならすでにその要素やパターンが内部に蓄積されていますから、より学習しやすいものといえます。

コーチングでは相手の過去の成功体験を傾聴し、資源となる要素を発見し強化することで、問題解決への意欲を引き出してゆきます。

 

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

 

コーチング研修

 

 


 

【著者プロフィール】

星雄一(ほし・ゆういち)

1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。現在、(株)PHP研究所客員。


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