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中途採用の新人2人が一度に辞めた~コーチングQ&A

中途採用の新人2人が一度に辞めた~コーチングQ&A

(2017年12月12日更新)

 
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中途採用の新人が2人一度にやめてしまったケース。新しいメンバーのやる気を高め維持するには、上司にどういう対応が求められるのか、コーチングの観点から解説します。

 

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研修受講後、部下から相談を受けた際などには相手の話を最後までじっくり聞き、自分の考えや固定観念を押し付けないよう注意しています。

しかし残念なことに、先日、私の部署の新人2人が一度に会社を辞めてしまいました。2人とも中途採用者ですが、初めから「残業や休日出勤は極力できません」と宣言し、先輩が残業していてもさっさと帰ります。こちらも無理強いはできませんが、新人は学ばなければならないことが沢山ありますので、「自分は担当の仕事だけやればいい」というのではなく、もっと積極的に取組んでほしいと言ったのですが……。

部下もそれぞれ固有の価値観があり、尊重しなければならないとは思いますが、相手にあまり合わせすぎると上司としてまちまちの指示・対応になってしまいます。どう対応すればよかったのでしょうか。

(水田一郎・量販店課長〈仮名〉)

 

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中途採用の新人二人が一度に退職してしまったのですか。それはちょっとショックですし、業務上の影響も大きいでしょうね。お察しします。

しかし、そのことをいつまで悔やんでもしょうがありません。仕事に対する基本的な考え方や、貴社の社風・伝統になじめなかったのだからやむをえない、と割り切ってしまうほうがいいでしょう。

 

人を動かす「三つの感」を理解する

とはいえ、今後も同じようなことを繰り返すのは好ましくありませんから、新卒・中途を問わず、新しいメンバーのやる気を高め維持するにはどういう対応が必要か、今回の反省も踏まえて整理しておかれることをお勧めします。二人が退社に至った具体的な経緯がわかりませんので、あくまで一般論になりますが、ご参考になりそうなことを記してアドバイスとさせていただきましょう。

人がやる気と主体性をもって積極的に動くには、どういう条件が必要でしょうか。これにはいろいろな考え方や理論がありますが、きわめて汎用性があると思われるものに「三つの感」という考え方があります。人が自ら動くのは、次の「三つの感」のいずれか、または組み合わせによる、というものです。

 

(1)危機感

「このままではやばい」という感覚。「何とかしなければ」「ここでふんばらなければ」「変わらなければ」等々。

 

(2)快感

面白い、楽しい、好きだ、かっこいい、気持ちがいい、やってみたい、などの感覚。特に若い世代は、この感覚で仕事を判断する傾向が強いと言われる。

 

(3)価値観

仕事の社会的意義、会社や組織への貢献感、正義感、自己成長の自覚、人生観・人間観との整合性、等。

 

その二人が辞めたのも、これら「三つの感」のいずれかにひっかかるものがあったからではないでしょうか。そのあたりを振り返って、何か気づくところがあれば、それは今後の参考になるのではないかと思います。

 

やる気を左右するその他の要因

なお、ここに挙げた「三つの感」以外に、やる気を左右する大きな要因をいくつか挙げておきます。

 

・上司と部下、およびメンバー相互の信頼関係 

・適切な目標設定・付与

・的確な指導・助言(OJT)

・公正な評価・処遇

・闊達な職場風土(風通しのよさ)

 

以上のように、部下のやる気を左右する要因はいくつもあり、これらをうまくコントロールすることがマネジメントだともいえます。これらには、それぞれ必要なスキルや知識がありますが、すべてに共通して必要なスキルが、コミュニケーションです。マネジメント能力とはコミュニケーション能力である、と断言する人もあるくらいです。辞めた二人の新人とのコミュニケーションはどうであったかも振り返ってみてください。コーチングはコミュニケーション能力の向上という点でも非常に大きな意味を持つものですので、ぜひ今後ともその修得実践に努めていただきたいと思います。

 

すべての原因は上司自身にある

なお、最後にもう一言だけ付け加えます。

部下のやる気を左右するのは、突き詰めれば、上司のあり方そのものだといえます。ですから、すべての原因は部下にではなく、上司自身にある、と考えることが大切です。あの人と話をしたい、あの人と一緒に仕事したい、あの人のようになりたい、と思われるような上司であるかどうか、結局はそこに行き着くのではないでしょうか。

部下のことを何よりも大切に思い、部下の成長を心から願っている上司、しかも目標達成に誰よりも強い熱意を持ち、部下に迎合することも上位者にこびることもなく、毅然として信念を貫く上司――そんな上司であれば、部下はいやでもついてくるのではないかと思います。何らかのご参考になれば幸いです。

 

【POINT】「マネジメント能力」とは「コミュニケーション能力」であると心得よう

 

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

 

 

課長研修

 


 

【著者プロフィール】

星雄一(ほし・ゆういち)

1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。現在、(株)PHP研究所客員。


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