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部下を資格取得にチャレンジさせたい~コーチングQ&A

部下を資格取得にチャレンジさせたい~コーチングQ&A

(2018年3月 6日更新)

 
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研修以来、コーチングをぜひ身につけたいと思い、主に個人の目標達成や、業務効率化へ向けての改善策の実施などについて、部下に対してできるだけ頻繁に実践してきました。こういう面ではかなり効果が出てきているように感じています。

 

しかし、資格取得など、会社からの指示で設定させている目標については、なかなか本人がやる気にならないためか、あまり建設的な会話になりません。とにかく本人にやる気を起こさせたいのですが、あまりしつこいとかえって逆効果になるような気がして、そのキッカケがなかなかつかめません。

資格取得に関しては、私自身もある講座にチャレンジし、先月合格の通知を受けました。私としては、「俺でも合格したのだから、君たちなら必ずできる。頑張れ!」と励ましたいのですが、「自分の話は求められるまでしない」ことがコーチングの鉄則の1つだとも聞きました。何とか部下にうまく気づかせ、その気にさせる方法があればご教示ください。

また、あるコーチングの目的達成までの期限としては、どのくらいのスパンが適切なのでしょうか?

もちろんその内容によって様々なので一概に言えることではないでしょうが、短期間で集中的にやった方がよいのか、それよりもある程度時間をかけたほうがいいのか、そのあたりの判断もつけかねています。(富田二郎・メーカー総務課長〈仮名〉)

 

*   *   *

 

部下の「目標」と「やる気」の問題は、どんな職場にあっても、およそリーダーたる人すべてに共通の、そして永遠のテーマであるようです。こうすれば解決、というような即効性のある処方箋は残念ながらありません。そこであくまで原則論になりますが、若干のアドバイスをさせていただきましょう。

 

意味への意思

まず、会社の方針というものには、個人の感情は関係なく、社員は従う義務があります。従って、例えば「資格取得」が昇進などの条件として定められているのであれば、取得するべきであり、それがいやならば昇進しないことを受け入れさせるしかありません。これはコーチングとは関係なく、マネジメントの基本的なあり方です。そのことを前提とした上で、では資格取得に積極的に取り組ませるにはどうするか、ということが問題ですね。

ここで「意味への意思」という言葉をご紹介しましょう。これは、人間というものはその意味が感じられることについてのみ、やろうという自主的な意思が生まれるということです。意味が感じられない、わからないことについては、嫌々やらされるだけであり、力は十分に発揮されず、成果も上がらず、本人の成長にもつながりません。富田さんが書いておられるのは、こういうケースではないかと思います。

 

意味を感じるかどうかは本人次第

そこで、「資格取得することの意味」を本人が感じる、あるいは理解するようにサポートすることが必要になります。

ここで言う「意味」とは、「本人が自分にとって意味があると感じられること」です。「意味がある」と会社や上司がどんなに信じ、説得しても、本人が感じなければそれこそ意味がありません。

そして、そのことが意味があると感じるかどうかは、本人の価値観によるものであり、簡単に変えることはできません。

 

気づきを促すための質問法

ただし、意味に気づいていない場合に、それに気づかせることは可能です。ここにコーチングの出番があります。例えば、こんな質問はどうでしょう。

「会社はなぜ資格取得を義務付けていると思う?」

「この資格を取ることは、君の将来にとってどんな意味があるだろうね」

「この資格を取る過程で何か得られるものはあるかな?」

「この資格が取れたら、君にはどんな変化が起こるかな?」

「どんな資格なら取ってみたいと思う?」

とにかく、何らかの資格を取得しなければならないという前提を理解させた上で、与えられた範囲の中でどの資格をとることが自分にとってもっとも意味があるかをしっかり考えさせることです。

富田さんご自身が何らかの資格を取られたということですから、がんばれば自分も取れるというモデルになることももちろんですが、この資格を取ったことでこんな「メリット」があったということを示すことも重要です。

「自分の話は求められるまでしない」というスタンスはコーチングでは重要ですが、企業の現場はコーチングだけで動くものではありません。資格取得の申請には一定の期限があるでしょうから、「資格取得についてちょっと話を聞きたいんだが」という形できちんと機会を設定し、ご自身の体験や感想などもきちんと伝えてあげることが望ましいと思います。

ただし、決して強制や押しつけではなく、決めるのはあくまで相手であるというスタンスは維持してください。そしてもっとも大切なことは、相手の成長(昇進も含めて)を心から願うという富田さんの気持ちです。

自分のためでも会社のためでもなく、君のためにこういう目標にチャレンジしてほしいと思っている、という気持ちが伝わるかどうかが、最後の決め手になるのではないかという気がします。

 

目標は細分化して手前に設定する

なお、コーチングにおける目標のスパンというご質問ですが、会社の業務や勤務に関わる目標であればこれは期限(通常、決算年度単位)があるのが当然です。しかし個人の人生に関わる目標は、本人自身が自由に設定することであって、どんなスパンが適当などと言えるものではありません。

ただ、十年あるいはそれ以上先を想定したような目標は、遠すぎて現実感が薄く、実行に踏み切りにくい場合が多いので、その目標を明らかにした上で、そのために五年先、三年先、一年先にはどこまで達しているべきか、というように、目標を細分化し手前に近づける質問をしてあげてください。

そういう手近な通過目標を細かく設定することによって、やれそうだという実感と実行への意欲を高めるとともに、進行状況をチェックし修正することができるようになります。

富田さんのご質問にぴたりと焦点が合ったかどうか自信がありませんが、ご参考になれば幸いです。

【POINT】人間は「意味」を見いだしたときのみ自発的に行動する

 

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

 

コーチング研修

 


 

【著者プロフィール】

星雄一(ほし・ゆういち)

1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。現在、(株)PHP研究所客員。


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