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コーチングしにくい職場環境への対応法~コーチングQ&A

コーチングしにくい職場環境への対応法~コーチングQ&A

(2018年4月10日更新)

 
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私は、コンピュータシステムを開発する際のマネジメントや開発後の保守・運用を担当しています。コーチングは、メンタル面でかなり強くないと続かないかな? と実感している日々を送っています。

 

実際の業務は、メンバー各自がそれぞれ担当して1人で行なう形が基本ですので、部署内でコーチングを実施する機会が少ない環境にあります。すぐ隣の席に、異なるシステムを担当している後輩がいますので、彼に対してできるだけコーチングを使い、アドバイスしたり、互いに協力できる部分は協力するようにしていますが、私が指導するという立場でもありませんし、コーチングのスキルがうまく使えているか、向上しているか、どうも自信がもてません。

また、私の仕事は他部署の者や他の会社の人たちと共同で実施したり、業務を依頼したりすることが多いのですが、雰囲気や風土がそれぞれ違いますので、対応に苦心しています。相手にあわせる対応は得意なほうだと思うのですが、それでも関係する部署の数が多いので、正直疲れを感じます。

なにかアドバイスがありましたら、よろしくお願いいたします。

(豊田三郎・IT関連企業マネジャー〈仮名〉)

 

*   *   *

 

具体的なお仕事の状況はよくわかりませんが、接する相手(部署)が多くて豊田さんのご苦労されている様子がよく伝わってきます。かなり疲れも感じておられるようで、考え方や行動の上で何らかの変革が必要な時期かもしれませんね。

 

コーチングとは「協働促進」スキル

そもそも豊田さんは、コーチングというものを、部下を指導育成するスキル、というように捉えてはいませんか? もちろんその点で効果を発揮する素晴らしいスキルであることは間違いありませんが、コーチングとは本来、あらゆる人との関係で応用することのできるコミュニケーションスキルなのです。まずそういう認識を強くもってください。

さてそこで、豊田さんは接する相手がさまざまで苦労している、ということですから、それぞれの相手と「いいコミュニケーション」が取れて「いい関係」が構築できればずいぶん楽になるはずです。となると、まさにコーチングの出番です。

というのは、コーチングは相手を自分の思うように動かすためのスキルではなく、相手の考えや思いを知り、相手の目標をその意義や価値を含めて明確にさせ、ともに力を合わせてゴールに向かおうという意識を高めるスキル、一言で言えば「協働」の意識を高めるスキルであるからです。

共同で業務を進めるにせよ、業務を依頼するにせよ、ともに同じゴールを目指すということは変わりません。そのためには、同じゴールイメージをもつということが大切です。数字的な目標はすでに設定されているとしても、その目標がもつ意味、困難性、やりがい、達成したときの喜び、といったものを明らかにすることによって、ゴールイメージを共有できるはずです。

そのためには、できるだけ相手と話し合うことです。まず相手の考えをよく聴くことによって相手の描くゴールイメージを把握し、豊田さんが考えるゴールイメージとの相違点があればそれを提案として付加することによって、お互いのイメージを次第に鮮明にし近づけていくことができるでしょう。

 

相手との関係を変える

次に、その実現のための方法論です。手順、道筋、段取り、役割分担なども、ゴールイメージが共有されていれば、スムーズに話し合えるはずです。そこでも、まずは相手の考えを聴くというスタンスがベースになります。こうして協働の土壌を予めつくることによって、仕事への積極性や協力関係ははるかに強化されるのではないでしょうか。

豊田さんがとにかく積極的に声をかける、相手の話を聴く、というスタンスを取り続けるならば、「あの人は話しやすい人だ」「あの人は他人の話をよく聴く」といった印象・評価が広がり、相手方から積極的に話しかけてきたり、相談してきたり、といった関係が構築できていくのではないでしょうか。

いまは、現状を変えるべき岐路にあるように思います。しかし、どんな状況、どんな相手も、こちらの望むとおりに変えることはできません。自分自身を変えるのも容易ではありません。ただし、自分の「態度」を変えることは比較的容易です。そこから「関係」が変わってきます。そしてお互いのあり方が少しずつ変わっていきます。迂遠なようでも、根気よくそのような関係変化を作り出していくしか、方法はないように思います。当分の間、コーチングは相手との関係を変えるために活用するよう心がけられてはいかがでしょうか。

 

【POINT】自らの態度を変えることで相手との関係も変わる

 

 

出典:『リーダーのためのコーチング実践Q&A』(2005年8月/PHP研究所)

 

コーチング研修

 


 

【著者プロフィール】

星雄一(ほし・ゆういち)

1969年、松下電器産業株式会社(現・パナソニック株式会社)に入社後、(株)PHP研究所に出向。月刊「PHP」編集部、出版部、直販普及本部などを経て、1997年、同社取締役。2008年、専務取締役。2009年、任期満了により退任。営業・編集・出版・子会社設立運営・人材育成と多方面の経験を活かして、PHPゼミナールの企画運営や研修講師育成にあたる一方、経営幹部のマネジメント、リーダーシップ全般の研修も担当。また、「PHPコーチング」プログラムを企画開発し、自らもコーチング講師として講演・講師活動を行なう。現在、(株)PHP研究所客員。


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