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チームが成長を続けるために、リーダーが果たすべき3つの役割

2018年11月27日更新

チームが成長を続けるために、リーダーが果たすべき3つの役割

成長を続けるチームは、メンバーが仕事を通じて感動や感激を共有しています。リーダーは、こうした経験を生み出すために、リーダーシップにおける3つの役割を果たす必要があります。

前回の記事「結束力の高いチームのリーダーは「感謝」や「愛」を知る機会を設けている」では、【成長し続けるチームが共有している6つの項目】の2番目である「感謝・愛の共有」について紹介をしました。

 

【成長し続けるチームが共有している6つの項目】

1.逆境

2.感謝・愛

3.感動・感激

4.目標・目的

5.達成感・追求感

6.互恵学習

 

今回は「3.感動・感激を共有する」について解説します。

 

チームのメンバーが、感動・感激を共有する

成長し続けるチームのリーダーは、メンバー全員が仕事を通じて「感動」や「感激」を経験できるよう、意図的にリーダーシップを行っています。

たとえば、人生で感動や感激を覚えるときは様々です。新たな生命の誕生に立ち会ったとき、スポーツ選手のスーパープレイを観たとき、大自然の神秘に触れたとき、素晴らしい物語の映画を鑑賞したとき、心打たれる歌や音楽を聴いたとき、など。感動や感激を経験するとは、要するに「心が震える」ということです。

そのような心震える経験を、チームのメンバーが自分たちの仕事を通じて経験できているか、成長し続けるチームのリーダーはそこを注意深くチェックしています。

なぜ仕事を通じてメンバー同士が感動や感激を共有することすることが、なぜチームの成長に大切であるかと言うと、これはシンプルに、自分の仕事を通じて得られる感動・感激は個々人の働き甲斐に繋がるから。そして、今一緒に働いているチームメンバーが、お互いにより特別で大切な仲間、助け合える仲間となっていくからです。

では、どのようなときに仕事を通じて心が震えるほどの感動や感激を経験ができるのでしょうか。それは「仲間と助け合って、大きな仕事をやり遂げる」とか「お客様から、深い感謝が込められた“ありがとう”をいただく」ときなどがあるかと思いますが、それよりももっと大切なことがあります。それはたった1つ、メンバーが「目の前の仕事に全力で向き合えているか」どうかということです。

1936年ベルリンオリンピックの陸上三段跳びで金メダリストに輝いた田島直人さんは、次のような言葉を残しています。

 

「勝利の喜びは努力の過程にあり、勝利の結果にはない」

 

この田島さんの言葉は、勝利だけではなく、因果関係の本質を語っている言葉であると私は感じています。つまり、仕事で得る感動や感激においても、勝利の結果と同様に、仕事の結果にあるのではなく、仕事に全力で取り組むその“道すがら”にあるということです。

 

リーダーが果たすべき役割とは?

成長を続けるチームのリーダーは、「たとえどんなにメンバー同士の仲がよくても、自分たちの目の前にある仕事を通じて感動や感激を共有できていなければ、チームとしての成長はない」ことを知っています。

そして、どうすればチームのメンバーが「目の前の仕事に全力で向き合い」、感動や感激を共有できるのかを分かっています。それは、リーダーによる率先垂範です。

リーダー自身が目の前の仕事に全力で向き合えていない、感動・感激を感じていないのに、メンバーにそれを求めてもちょっと無理があります。

もしリーダーがメンバーに対して「みんなで共に目の前の仕事に全力で向き合い、感動や感激を分かち合おう!」「でも私は自分の仕事で感動も感激も感じたことはないけどね」と言っていたらどうでしょうか。リーダーは信を失い、チームは成長どころか空中分解してしまいかねません。

リーダーには、メンバーの経験や力量に合わせて、次の3つの役割があることをぜひ覚えておいてください。

 

役割1:率先垂範する(先導)

役割2:一緒になって取り組む(並走)

役割3:任せて見守る(支援)

 

成長し続けるチームのリーダーは、上記の3つの役割をメンバーの力量に合わせて調整して使い分けています。これは感動や感激をチームで共有する場合でも同じです。

この「リーダーシップにおける3つの役割」を分かりやすく教えてくれている、とても有名な言葉がありますね。

 

「やってみせ 言って聞かせて させてみせ ほめてやらねば人は動かじ」

「話し合い 耳を傾け 承認し 任せてやらねば人は育たず」

「やっている 姿を感謝で見守って 信頼せねば人は実らず」

 

太平洋戦争で連合艦隊司令長官として巨大な敵と戦い、その傑出した人柄を今なお語り継がれる山本五十六の3つの名言です。山本五十六がいかにリーダーシップの本質を、そして組織と人の成長の本質を理解していたかが、よくわかる言葉ではないでしょうか。

 

リーダーの率先垂範とメンバーの共有

リーダーが率先垂範することはたしかに大切ですが、それではメンバーの方はリーダーの姿勢を見ているだけでよいかというと、それも違うのではないでしょうか。

リーダーが率先垂範するとともに、メンバーにも「仕事を通じて、感動・感激を共有する練習」をしてもらうことも大切です。

感動や感激は、感性が豊かでなければ感じ取りにくいものです。冒頭に心震えるという表現をしましたが、鈍感な人はなかなか心が震えません。

すでに成長し続けるチームになっている組織は、自分たちの仕事を通じて感動や感激を覚える具体的な事例や経験をいくつも持っています。

しかし、新しいチームにはまだそれがありません。そのようなときは、メンバーで仕事外での感動や感激を共有することや、他社の具体的な実践事例に学ぶとよいでしょう。

仕事外での感動や感激を共有……というと少し大げさに聞こえるかもしれませんが、たとえば誕生日のサプライズや、仕事外での遠足やキャンプやバーベキュー、社員旅行や運動会、スポーツ観戦、映画や音楽の鑑賞などでもいいのです。なにも特別大きな感動や感激である必要はありません。

他社の具体的な仕事の事例で言えば、たとえばディズニーランドの「ディズニーマジック」やホテルリッツ・カールトンの「リッツ・カールトン ミスティーク」と呼ばれるエピソードはとても有名ですね。そんな素晴らしい実践事例に学ぶのも効果的です。

 

他社事例から学び、どう仕事で実践していくのか

ただし、仕事外での感動や感激の共有にしても、他社の実践事例に学ぶにしても、リーダーが見誤ってはならない部分があります。それは何かというと、「それら練習で体験したような感動や感激を、どうすれば自分たちの仕事でも経験することができるか」を考えることです。

成長し続けるチームとそうでないチームとでは、仕事外の感動や感激を切り分けてしまっているケースがよく見受けられます。そのようなチームは、メンバー同士の仲はよいけれど、いまひとつ仕事のスイッチが入っていないような、お互いの人間関係に甘さが目立つような、そのような感じになっていることがあります。仲がよいのに助け合いができないチームです。

成長し続けるチームのリーダーは、そのあたりのことをよく理解しており、たとえば誕生日のサプライズをそのまま従業員満足の一環としてのサプライズで終わらせてしまうのではなく、そこで経験した感動や感激をメンバーが実際の仕事でもまた経験できるようにする、というところまでをセットで見ています。

自ら率先垂範をするとともに、仕事外での経験や他社の実践事例から感じたものを、少しずつでもいいので実際の仕事でチームとして再現する。その繰り返しから、やがて大きな感動感激が、仕事を通じて生まれ、チームのさらなる成長につながることでしょう。


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延堂溝壑(えんどう こうがく)

本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。

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