課長職にマネジメントの革新を!
RSS

コーチングの基本スキル 3つのポイント

コーチングの基本スキル 3つのポイント

(2020年7月27日更新)

 
  • はてなブックマーク
  • Yahoo!ブックマーク

上司が部下のやる気とエネルギーを引き出し、リーダーシップを育てていくためには、コーチングが有効です。コーチングにおける基本スキルとコミュニケーションの実践ポイントを整理してみましょう。


コミュニケーションの大切さ

質の高いコミュニケーションをとり、着実に部下を育てるために、上司の立場にある人は「コーチング」の基本スキルを身につける必要があります。

コーチングについては、よく知っている、実践しているという方も多いかもしれませんが、PHP通信ゼミナール『「新しいリーダーシップ」入門』のテキストをもとに整理してみます。

まず、このテキストでは、コーチングは「上司から部下への問いかけを通じて、部下の行動を振り返り、部下の行動を変える支援をする技術」と定義されています。そして、コーチングにおけるコミュニケーションは、大きく「傾聴」「承認」「質問」という3つのスキルで構成されると説明されています。


「傾聴」すること

「傾聴」とは、「相手の伝えたいことを遮らずに最後までじっくりと正確に聴く。そして、言葉だけでなく、相手の心の『思い』まで聴きとること」です。きちんと聴くことで、相手からより多くの話を引き出したり、信頼感や親密感が増して、良好な人間関係を築いたりすることにつながります。「傾聴」には次の3つのポイントがあります。


1)受け容れる

上司は、部下の話を聴くとき、話している内容を「受け容れる」姿勢を見せる必要があります。聴いている最中に相手の話を否定したり、遮ったりしてはいけません。良い悪いという評価や好き嫌いの感情を持ってもいけません。まずは「なるほどね」「いい考えだね」「おもしろい提案だね」といったフレーズを使って相槌を打ち、内心「それは間違っている」と思うことがあっても、とにかく最後までしっかりと聴くことが大事です。


2)共感する

また、部下の立場に立って、部下の思いに共感し、理解しようという気持ちで話を聴くことが大切です。「それはたいへんだったね」「それは嬉しかったね」「それは辛かったね」といった言葉かけをして、部下に「共感してもらえている」という印象を与えるのです。


3)確認する

部下の話がわかりにくかったときには、そのまま聞き流したりせず、きちんと確認することが不可欠です。そうして相手の真意をしっかりと聴き、理解を深めていきます。「今のはどういう意味ですか?」「それはこういう理解で合っていますか?」などと尋ねて、疑問を残さないようにします。


コーチングにおける「承認」とは

「承認」とは、「相手の良いところを認めて、言葉にして伝えること」です。単に「ほめる」のではなく、「相手の存在そのものを肯定的に認め、それを伝えること」といえます。上司が部下を承認することで、「マズローの欲求5段階説」にある「承認欲求」が満たされ、部下のやる気やエネルギーが引き出されます。

「承認」はお世辞であってはいけません。大事なのは、「事実を、タイミングよく、心を込めて」伝えることです。「承認」には、次の3種類があります。


1)存在承認

「相手の存在そのものを認める承認の仕方」です。具体的には次のような声かけで部下の存在を認め、承認欲求を満たすことでモチベーションを高めていきます。


・挨拶をする、名前を呼ぶ......「〇〇さん、おはよう」

・こまめに声をかける......「調子はどう?」

・感謝の気持ちを言葉で表現する......「いつもありがとう」

・頼りにする......「ちょっと相談に乗ってくれる?」

・期待を伝える......「あなたなら、やってくれると信じているよ」

・相手の変化に気づく......「最近、出社が早いね」


2)結果承認

「相手の行動の結果や成果を認める承認の仕方」です。部下が好ましい結果を出した際、上司は必ず結果承認をする必要があります。これを怠ると、「せっかく結果を出したのに認めてもらえない」という不満がつのり、部下のやる気をそいでしまうことになりかねません。オーバーにほめるのではなく、「結果に対する素直な気持ちや感謝を示す」ように心がけましょう。


3)事実承認

「結果に至るプロセスや日常の言動・習慣などを認める承認の仕方」です。部下の仕事に取り組む姿勢を日頃からよく観察し、業務を頑張っている様子や、会議での積極的な発言といった「事実」に基づいて評価します。部下にとっては、「自分のことをきちんと見てもらえている」という喜びにつながり、さらに努力しようという気持ちが湧いてくるものです。


効果的に「質問」する

コーチングにおいては、「質問」のスキルも非常に重要となります。質問を投げかけることで、部下から意見や考えを引き出し、さらに相手の能力や可能性を高めていくのです。よい質問をすることで、「頭と心の整理整頓」が促され、「無意識に行なっていたことを意識化」することができます。質問には次の3つの区分があります。


1)拡大質問・限定質問

「拡大質問」とは、「質問された人が自由に考えて答えることができる問い方」のことです。これに対して「限定質問」とは、「はい」か「いいえ」あるいは「A」か「B」といった「限定された回答を促す問い方」のことです。部下のリーダーシップを伸ばしていくためには、「拡大質問」をうまく活用します。これにより、部下に「自分の頭で考えて答えを見つける習慣」を身につけさせるのです。


2)肯定質問・否定質問

「肯定質問」とは、「どうすれば〇〇ができるようになるだろうか?」といった具合に、肯定的な表現を含む質問のことです。これに対して「否定質問」とは、「どうして〇〇ができないんだ?」といった具合に、否定的な表現を含む質問のことです。部下に対しては、「肯定質問」を発して、前向きな姿勢や可能性を引き出すべきでしょう。


3)未来質問・過去質問

「未来質問」とは、「これからどのようにしていきたいですか?」といった具合に、未来について尋ねることです。「過去質問」とは、「これまではどのようにしていたのですか?」といった具合に、過去について尋ねることです。過去質問における注意点として、例えば業績悪化といったネガティブな話題のとき、個人を名指しするような聞き方をするべきではありません。特定の誰かを責めるのではなく、過去の状況を正確に振り返り、未来への取り組みに生かすことが大切です。


チームのメンバー全員が、自分らしくリーダーシップを発揮できる理想の組織をつくっていくためには、部下のリーダーシップを伸ばすような上司を育成することがカギとなります。上司の立場にある方、あるいはこれから上司になる方には、必ず身につけておいてほしいスキルの一つといえるでしょう。


※本記事は、PHP通信ゼミナール『「新しいリーダーシップ」入門』のテキストを抜粋・編集して制作しました。

 

通信教育講座はこちら

 

「PHPコーチング研修」はこちら

 



森末祐二(もりすえ・ゆうじ)

フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。


リーダー・管理職研修 最新記事

メールマガジン

更新情報をメルマガで!ご登録はこちらからどうぞ