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パワーハラスメントの定義と6類型

パワーハラスメントの定義と6類型

(2018年7月13日更新)

 
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パワーハラスメント(パワハラ)への対応は、今やあらゆる企業・団体で取り組みが不可欠になっています。ここでは、パワハラの定義、6類型と、判断の基準をわかりやすく解説します。

 

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パワーハラスメントの発生状況と対応

職場のパワーハラスメントは、近年、社会問題になっており、企業には早急な対応が求められています。

厚生労働省の統計(※)によると、企業が従業員向けに設けている相談窓口で、従業員から最も多い相談がパワーハラスメントになっています。また、過去3年間にパワーハラスメントを受けたことがあると回答した従業員の割合は、平成24年度には25.3%であったのに対し、平成28年度には32.5%と、大きく伸びています。

パワーハラスメントは、まさに私たちの身近で発生している重大な問題であるといえるでしょう。

※「第7回 職場のパワーハラスメント防止対策についての検討資料」

 

では、パワーハラスメントが起きた場合、どういう対応になるのでしょうか。

訴訟となって、違法なパワーハラスメントであると判定された場合には、会社または加害者が損害賠償(金銭賠償)を命じられることになります。

裁判とならなくても、会社としては、配置転換や処分、謝罪等を検討する必要があります。

 

パワーハラスメントは「上司から部下」とは限らない

このように社会問題となっているパワーハラスメントですが、どのような行為が「パワーハラスメント」なのか、法律で定義されているわけではありません。厚生労働省では、職場のいじめ・嫌がらせについて都道府県労働局への相談が増加傾向にあったことを踏まえ、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」を開催し、平成24年3月に「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」を取りまとめました。その会議で、職場のパワーハラスメントは次のように定義されています。

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」

ここでポイントとなるのは「職場内の優位性」であり、統計資料をみてみると、圧倒的に多いのが、上司から部下へのパワハラです。そのほか、後輩に対して先輩、非正規社員に対して正社員といった立場上の優位性があります。

立場だけでなく、数の優位性もあります。たとえば同僚であっても、6人が1人に対してメッセンジャーを使って悪口を送信するといった職場いじめに対して、「陰湿さおよび執拗さの程度に置いて常軌を逸した悪質なひどいいじめ・嫌がらせ」として違法となった判例もあります。

 

パワハラの6類型

先ほどの定義でいうところの、「精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」とは、どのような行為を指すのでしょうか? 先述の円卓会議では、次の6類型を典型例として整理しています。

 

1)暴行・傷害(身体的な攻撃)

2)脅迫、名誉棄損、侮辱、ひどい暴言(精神的な攻撃)

3)隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)

4)業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)

5)業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)

6)私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

 

このなかで、最も多いのがいわゆる暴言などの事例「精神的な攻撃」です。

 

パワハラ判断の基準

注意が必要なのは、先ほどの定義の中であった「業務の適正な範囲を超えて」とい部分です。業務の適正な範囲内であれば、パワハラとはならないのです。たとえば、業務上ミスをして激しく怒られた場合、それが必ずしもパワハラになるのではありません。先述の円卓会議の提言でも「個人の受け取り方によっては、業務上必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、これらが業務上の適正な範囲で行なわれている場合には、パワーハラスメントには当たらない」とされています。

さらに、部下に対し繰り返し指導するも、その改善が見られない場合、「ある程度の厳しい改善指導をすることは、上司らのなすべき正当な業務の範囲内」(高松高裁平成21年4月23日)という判例もあります。

部下が上司の指示や上司の注意指導を不満に感じても、業務上、適正な範囲で行われる場合にはパワハラにならないということは重要なポイントです。

 

パワーハラスメントは事例学習が有効!

“ハラスメントゼロ”を実現するには、職場を預かる上司・管理職がハラスメントを正しく理解し、部下に啓発・教育を行なっていくことが不可欠です。そのためには、どういう事案でパワハラと判断され、どういう事案でそうでないのか、事例・判例から学ぶことがポイントになります。実際には、発生した時に都度対処していくしかありませんが、あらかじめ事例学習によって理解を深めていれば、迷うことなく速やかに対処できるでしょう。

 

※会員制WEBサイト PHP研究所「社員研修VAプラス」にて、野口大氏によるバーチャル講義「パワハラとならない注意・指導方法」を配信中です。

 


 

野口 大(のぐち・だい)

弁護士。野口&パートナーズ法律事務所代表。野口&パートナーズ・コンサルティング(株)代表取締役。平成2年司法試験合格、平成3年京都大学法学部卒業、平成14年ニューヨーク州コーネル大学ロースクール卒業(人事労務管理理論を履修)。債権回収や各種契約書・労使紛争等の企業法務に熟知し、特に労使紛争については数多くの団体交渉や労働裁判を専ら会社側の立場で手がける弁護士として全国的に著名。単なる紛争処理に留まらず、紛争予防方法や日々の人事労務管理に関する事柄まできめ細やかにアドバイスするわが国有数のコンサル型弁護士であり、全国の多数の企業の顧問・社外役員を務める。


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