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あなたの会社の新入社員は、フィードバックを待つ人? 求める人?

2018年4月13日更新

あなたの会社の新入社員は、フィードバックを待つ人? 求める人?

フィードバックを自ら求める新入社員と、他人からのフィードバックを待つ新入社員。その姿勢の違いは、ビジネスパーソンとして大きな差になるかもしれません。中原淳氏の解説です。

「組織社会化」と「プロアクティブ行動」

経験の浅い人々が、新たに組織に参入していこうとするとき、組織は、新規参入してくる人を「組織人」にしようとします。これを「組織社会化」といいます。端的にいえば、新規参入者に対する「儀式」そして「研修」や「OJT」といったものは、組織社会化の典型的な「手段」です。
一方、新規参入者の方も、黙って指をくわえて「社会化」されるのを待っているわけではありません。彼/彼女は、自らを「社会化」するべく、積極的に動き、組織メンバーなどに働きかけていきます。これを「プロアクティブ行動」といいます。「プロアクティブ行動」は、新規参入者がとる「能動的な社会化」の一種です。

プロアクティブ行動の2つのタイプ

先日、中原ゼミではSaks et al (2011)の「プロアクティブ行動」に関する論文を読みました。この論文では「プロアクティブ行動」の詳細について、主に2つのカテゴリーを用いて説明をしているように見受けられました。以下は、この解釈のもとに、「プロアクティブ行動」を説明します。
ざっと見て、新規参入者が自らを組織に適応させるために行う「プロアクティブ行動」は、
1.フィードバック(情報)探索系
2.ネットワーキング系
の2つにわけられるような気がします。

前者の「フィードバック(情報)探索系」とは、新規参入者が自らの仕事のあり方を決めるために、ないしは、様々な試行錯誤のもとに自分の仕事のやり方を立て直すために、組織内の人々に働きかけ、フィードバックや情報を求める行動です。
おそらく具体的には、
「〇〇先輩、書類をつくってみたのですが、これでいいですか?」
「〇〇さん、こんなプレゼンをつくったのですが、フィードバックをください」
という情報やフィードバックを求める行動がそれにあたるのかなと思います。

一方、後者のネットワーキング系とは、自ら積極的に組織内のイベントに参加したり、知り合いをつくる行動をとったり、他者や上司との関係を良好にするべく働きかけることです。

フィードバックを好む学生が増えている

2つの「プロアクティブ行動」のうち、個人的に最近興味深いなと思うのは、前者の「フィードバック系」の方です。
大学教員になって17年ほど立ちますが、この17年で学生の何が変わったのか、というと、僕はそのひとつに「フィードバックを好む学生が増えたこと」を、ついついとりあげたくなります。フィードバックという言葉をつかわずとも、客観的なコメントや感想を僕に求めてくる学生は、この17年間で確実に増えた印象があります。これは、僕が『フィードバック入門』の著者であり、かつ、年齢も上がってきているからそうなっているような気もします。
一方で、何を言ってものれんに腕押しの「フィードバック拒絶をする学生」もいることはいます。
問題は、これら2つが完全に二極化していることかなと思います。

フィードバックを求める姿勢と待つ姿勢の差

学生だけではありません。最近、ビジネスパーソンのあいだでも、「自らフィードバックを求める層」と「他人からフィードバックされるのを待っている層」、さらには「他人からフィードバックを受けても、うんともすんとも動かない層」の差が激しくなっているような気がするのです。
大変重要だと思うのは、受動的に、第三者から「フィードバックされる」のを待つ姿勢と、能動的に自分から「フィードバックを求め」にいくという姿勢の違いです。
十分な検証が行えているわけではないのですが、おそらく前者よりも後者の方が効果は高いような気がします。同時に、同じ耳の痛いことを言われるのでも、おそらく、前者の方が後者よりも痛みは大きいような気がいたしますが、いかがでしょうか?
いずれにしても、十分な検証は行えていないので、現段階ではなんともいえません。フィードバックについては、まだまだ研究の課題がたくさんありそうです。

最後に皆さんにご質問です。
あなたの会社に入社してきたのは、フィードバックを求める新入社員ですか? 第三者からフィードバックされるのを待つ新入社員ですか? それとも「フィードバック拒絶新入社員」ですか?

参考:「中原淳研究室――大人の学びを科学する」

中原淳監修フィードバック研修・教材はこちら

中原 淳(なかはら・じゅん)
立教大学 経営学部 教授。立教大学リーダーシップ研究所 副所長(兼)。大阪大学博士(人間科学)。北海道旭川市生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学准教授等をへて、2018年より現職。
「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人々の学習・コミュニケーション・リーダーシップについて研究している。専門は人的資源開発論・経営学習論。
単著(専門書)に「職場学習論」(東京大学出版会)、「経営学習論」(東京大学出版会)。一般書に「研修開発入門」「駆け出しマネジャーの成長戦略」「アルバイトパート採用育成入門」など、他共編著多数。働く大人の学びに関する公開研究会 Learning bar を含め、各種のワークショップをプロデュース。
民間企業の人材育成を研究活動の中心におきつつも、近年は、最高検察庁(参与)、横浜市教育委員会など、公共領域の人材育成についても、活動を広げている。一般社団法人 経営学習研究所 代表理事、特定非営利活動法人 Educe Technologies副代表理事、特定非営利活動法人カタリバ理事。

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