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「働き方改革」で疲弊した管理職が生産性を下げる!

「働き方改革」で疲弊した管理職が生産性を下げる!

(2018年3月16日更新)

 
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大企業がこぞって「働き方改革」を進め、それなりの成果を出すなかで、「うちは無理!」と言う中小企業の管理職が多いと聞きます。とりあえず残業削減に取り組み、仕事の品質が下がって管理職が疲弊し、生産性が下がる悪循環になっているという事例も出てきました。

 

資金に余裕がない、人手が足りない中小企業では、「働き方改革」に、どのように取り組むべきでしょうか。

*  *  *

 

大企業では成果が見えてきた「働き方改革」

「働き方改革」を進める際には、仕事の標準化、システム化、自動化が欠かせません。働く人に関しても、自ら考え自ら行動する自律型組織に変わるとともに、チームビルディングなど組織開発も必要です。

その点、大企業は資金的に余裕がありますから、テレビ会議システム、営業管理・支援ツールなどを導入し、電子化、IT化、クラウド化、モバイル化を進めることができます。また、優秀な人材が多く、量的にも余裕があることから、多様な働き方ができる環境づくり、制度づくりに取り組むこともできます。実際、社員研修を開催したり、コンサルタントを入れたりといったことにも取り組んでいます。

その結果、長時間労働が是正され、社員は早く帰って勉強し、気分転換をして、それが仕事に還元されるという善循環が成り立ちます。

 

本当に中小企業は「働き方改革」を実現できるのか?

一方、資金や人的資源に大企業ほど余裕のない中小企業では、どうでしょうか。「働き方改革」といっても何から取り組むべきか分からず、まずは残業削減から取り組んでいる企業が8割を超えるという調査があります。こういう取り組み方をしていては、早々に失敗し、「働き方改革」にネガティブになっています。

実際、残業規制をして業務に支障が出た企業が続出しています。生産性向上を図る施策を何も打たないまま、残業だけを削減すれば、仕事が手抜きになり、仕事の品質が下がってしまうのは当然です。こうなると「働き方改革」は絶対にうまくいきません。

 

「働き方改革」で疲弊する中小企業の管理職

一方、残業代を抑制できる期待から「うちもやろう!」と、「働き方改革」推進に乗り気な経営者もいます。そして今どきの若手社員は、残業削減には大賛成です。

そこで板挟みになるのが管理職です。若手社員の残業が減ったしわ寄せは、残業代の付かない管理職に行きます。滞った仕事を管理職が残業と休日出勤でこなしています。部下が帰った職場に一人残って仕事をする日が続くと、管理職はどんどん疲弊し、そんな管理職を見て「この会社でずっと働いて、あんなオジサンになるのはイヤだ」と若手社員のモチベーションも低下していきます。このような状態に陥ると、仕事の生産性が下がる悪循環が起こるのです。

また、中小企業の管理職は、マネジメントを学んでいないことが多く、学んでいても、ほとんどがプレイングマネージャーのため、プレイヤーとして仕事をしています。元来、管理職は、マネジメントにより、部下の力を引き出して組織を動かすことで成果を上げる役割を担っています。しかし、マネジメントの研修を受けたこともなく管理職になり、部下を持たされただけでプレイヤーの延長の仕事をしている人が大半を占めるというのが現実です。

そんな状況では、生産性向上のための仕組みづくりができるはずもありません。

 

「働き方改革」で管理職が陥りやすい罠とは?

働き方改革に、「残業削減」「仕事のスピードアップ」を目的に取り組むとなぜうまくいかないのでしょうか? それは、生産性の公式を見るとよくわかります。

生産性 = Output ÷ Input

Outputは「売上」や「利益」です。Inputは「人数」や「労働時間」です。「人数」や「労働時間」を削減するために、管理職が「残業はするな!」「ムダをなくせ!」「仕事のスピードを上げろ!」と部下にハッパをかけるだけで成果が出ると思いますか?

この問題を解決する貴重な調査報告があります。幸せを感じている人は、感じていない人より生産性は30%、営業成績は37%、創造性は300%高かったというデータです。

「働き方改革」の目的は、社員のやり甲斐や幸せを実現することです。仕事のやり方や環境をそのままにして、労働時間や仕事のスピードを管理してはいけません。部下に「働きやすさ」「やり甲斐」「幸せ」を感じてもらうためにワークスタイルを変えたり、ITツールを導入したり、多様な働き方の制度を整えたりする取り組みが必要です。

 

管理職研修で何を教えるべきか

今後、人事担当者は、管理職研修で教える内容を見直していくことが必要です。できれば管理職になる前から、遅くとも管理職になったら、マネジメントとリーダーシップ、コーチング、チームビルディングなどを研修できちんと教えるべきです。さらに、これからの時代には、目に見える数字だけではなく、それらに影響を与える「働きやすさ」「やり甲斐」「幸せ」など、部下の心に視点を置くマネジメントが求められていることを管理職に認識させることが必要なのではないでしょうか。

 

 

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茅切伸明(かやきり・のぶあき)

株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 

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