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事例に学ぶ、出来る上司の「情報によるマネジメント」

事例に学ぶ、出来る上司の「情報によるマネジメント」

(2018年7月19日更新)

 
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「情報によるマネジメント」について、具体的な事例をまじえてお伝えします。

 

 

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前回の記事では、「マネジメントには種類がある!」というタイトルで、上司がマネジメントのために行う報連相として、『情報によるマネジメント』を紹介しました。今回の記事では、情報によるマネジメントの詳細について、事例を交えて解説します。

 

事例「事情を共有化してこそ、納期は守られる」

これは、ある工務店で実際にあった「情報によるマネジメント」の事例です。S工務店ではこの数か月、原因はさまざまですが、注文住宅の工期遅れが何件か続きお客さまから苦情が出ていました。なかには、大した問題も発生していないのに、なぜか工期が少し遅れるようなこともありました。

当然、社内でも問題になり、工期厳守のキャンペーンを行ったり、工期厳守についての社長通達も出されましたが、いまいち効果がありません。

そんな中、品質管理部の鈴木部長の発案で、マネジメント層を中心に「社内の工期遅れの問題」について会議を行うことになりました。

会議での相談結果として、工期のズレが絶対に許されない場合は、「その事情をみんなで共有化してはどうか」ということになりました。

実は会議を発案した鈴木部長は、社内の工期遅れに対して、人的な要因を直感していました。ですから、工期遅れが許されない「理由(ワケ)」や「お客さまの背景事情」などをみんなで共有化する、という会議での発案を即取り上げました。

会議での取り決め以降、現場では例えば「このM邸の工期は3月31日だが、『Mさんは仮住まいの契約を、3月末までしかしておられないのだ』」という工期の背景事情を共有化するようになりました。

現場の人々も、そういう背景事情がわかれば、3月31日は絶対に遅らせることはできないことがわかります。以後、重要な工期遅れはなくなりました。

さらには、「3月31日に引き渡したのでは、引っ越しにお困りだろう。みんなで力をあわせて、3月25日頃には引き渡せるように頑張ろう!」というところまでチームワークが盛りあがったのでした。

 

情報の共有化でマネジメントを行う

上記の事例で大変興味深いのは、キャンペーンや指示命令では効果の上がらなかった工期遅れの問題が、情報を共有化することによって解消されたという点です。

人は事情が分かれば、身体は動きます。そして人は誰でも理解欲求を持っています、ワケを知りたいのです。前回の記事では、マネジメントの定義のひとつとして「マネジメントとは、自分の意思を、人を動かし、実現すること」と紹介しました。

上記の事例に登場する品質管理部の鈴木部長は、情報の共有化を深めることによってマネジメントを行ったと言えるでしょう。

 

情報によるマネジメントとは、情報の共有化を深めること

日本報連相センターでは、情報の共有化には3つの深度があるとお伝えしています。(下記図参照)

 

情報の共有化3つの深度

 

世間一般では「情報共有」というと、3つの深度のおおむね深度1を指して言われているように感じます。

上記のS工務店の事例でも、深度1の「事実情報の共有化」はなされています。しかし、社内の工期厳守のキャンペーンも、工期厳守についての通達も深度1の範囲であり、情報の共有化の深度を深めるまでには至りませんでした。

つまり、上記の事例は「その事情をみんなで共有化する」という取り組みを経て、情報の共有化が深度1の「事実情報の共有化」から、深度2の「意味の共有化」に、そしてさらに深度3の「考え方の波長の共有化」へと深まっていったのです。

“できる上司”は「意味の伝達」を、さらには「“思い”の共有化」を目指し、意図的に報連相をマネジメントに取り入れているのです。

 

事例「藩政改革を行った上杉鷹山、情報によるマネジメント」

この「情報によるマネジメント」は、何も新しいマネジメントのスタイルではありません。むしろ日本に古くからある日本式マネジメントのひとつと言えます。

江戸中期に極度の財政難に陥っていた米沢藩を見事に蘇らせた、上杉鷹山(うえすぎ ようざん)の藩政改革をご存知でしょうか。

前例にないと言って反対する藩の重臣たちの抵抗を押し切って、足軽に至るまで全藩士をお城の大広間に集めて、破綻している藩財政の実態を鷹山自らが赤裸々に説明したのです。身分制度が厳しく、しきたりと前例に縛られている封建時代に、足軽をお城の大広間に入れて、藩主自らが説明するなどということは、当時としてはとても考えられないことでした。

しかし「自分たち藩の殿様が、そこまでしてくれたこと」に対し米沢藩士たちは感動すると共に、鷹山と同様に自藩への危機感を覚え、そして思いを一つに一丸となって藩政改革に臨みました。やがて鷹山の藩政改革は成功をおさめます。

鷹山の行ったことは、上から下への報連相であり、まさに情報によるマネジメントそのものと言えるでしょう。

 

 

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延堂溝壑(えんどう こうがく)

本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。

なお、本稿は糸藤正士氏に著作権のある『真・報連相』を、著作権者の承認を得て使用している。


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