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フィードバック面談の実践事例~基本的なプロセスを押さえる

フィードバック面談の実践事例~基本的なプロセスを押さえる

(2019年4月24日更新)

 
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効果的なフィードバックを行うためには、面談の基本的なプロセスを押さえることが大切です。ここでは営業部門における上司と部下の実践事例をご紹介します。

 

フィードバックのプロセス

フィードバックとは、「耳の痛いことを部下にしっかりと伝え、彼らの成長を立て直すこと」であり、2つの機能(情報通知機能、立て直し機能)を通して、問題を抱えた部下や、能力・成果のあがらない部下の成長を促進することを目指すものです。

相手のパフォーマンスの向上につながるような効果的なフィードバックを行うためには、下図のようなプロセスを押さえることが大切です。

 

   (図)フィードバックのプロセス

フィードバックのプロセス

 

 

【事前プロセス】情報収集

相手に刺さるようなフィードバックをするためには「できるだけ具体的に相手の問題行動の事実を指摘すること」が必要です。従って、フィードバックを行うために必要な情報を事前に収集していくことが求められます。フィードバックに必要な情報とは、SBI(※1)で示される3種類の情報のことを指します。

 

(※1)

S=シチュエーション(Situation)→どのような状況で、どんな状況の時に

B=ビヘイビア(Behavior)→相手のどんな振る舞い・行動が

I=インパクト(Impact)→どんな影響をもたらしたのか。何がダメだったのか

 

【プロセス①】信頼感の確保

いよいよフィードバックの本格的な開始です。まず、相手を呼んで、情報がもれず他人の目にふれない個室で上司-部下間の面談を行うことになります。着席の仕方は、対面よりも「ハの字型」のほうがベターです。いきなり本題に入るのではなく、雑談などのアイスブレークから入るなど。相手の緊張をほぐすための配慮をします。

 

【プロセス②】事実通知

信頼感の確保ができたら、次のプロセスは事実通知です。「実は、君に改善してほしいことがあるんだ」など、面談の目的をストレートに伝えることです。事実通知の際は、事前に収集したSBI情報を主観や感情を排除して、「鏡のように」客観的かつ正確に事実を通知することがポイントです。

 

【プロセス③】問題行動の腹落とし

事実を通知したからといって、すべてがすぐに相手の腹に落ちるわけではありません。「上司と部下の考えていることや思っていることは違う」という前提にたって、相互の理解が一致するまで、時間をかけて「対話」を行います。

 

【プロセス④】振り返り支援

プロセス④では、部下自身に過去・現在の状況を振り返らせ、未来の新たな行動計画や目標を自分のことばで語らせます。振り返り支援のために、3つの問いかけ(※2)を投げかけることで効果が高まります。

 

(※2)

What(何が起こったのか)、Why so(それはなぜなのか)、Now what(これからどうするのか)

 

【プロセス⑤】期待通知

フィードバックをクロージングさせる段階では、期待を伝え、相手の自己効力感(やればできるという感覚)を高めて、モチベーションを喚起します。また、再発予防の対策についても一緒に話し合っておくことが望ましいでしょう。

 

【事後プロセス】フォローアップ

一回のフィードバックが終わっても、それで完了とせず、継続的にフォローアップとモニタリングを行うことによって部下の成長を促進します。

 

フィードバック面談の実践事例

実際の部下指導において、フィードバックのプロセスがどのように展開されるか、具体例をもちいて見てみましょう。

 

状況:某生産財メーカーの営業部門における上司と部下(20代男性)とのやりとり

 

【プロセス①】信頼感の確保

課長「忙しいところ、すまないね」

部下「いえ」 

 

【プロセス②】事実通知

課長「今の状況を確認させてほしいんだけど……。ここ3ヵ月連続して目標未達の状況になっているね。君の様子を見ていると、活動量が少ないように見える。今のままだと目標の達成は厳しいと思うけど、どう?」

 

【プロセス③】問題行動の腹落とし

部下「はい……」

課長「……」

部下「……自分が担当している会社は一巡してしまって、アポイントをとろうにも担当会社がなくてどうしていいか…」

課長「そうか…。担当会社に全部アプローチしてしまったんだね?」

部下「はい…」

課長「それなら、係長に相談すればアドバイスがもらえるんじゃないか? 取引先を紹介してもらったり、場合によっては思い切って新規をやってみる手だってあるはずだ」

部下「……それはそうですが……」

課長「何か問題が?」

部下「いや、相談しようにも係長は不在がちですし。それに……」

課長「それに、何だ?」

部下「取引先の紹介や新規開拓は苦手でやったことがありません。私にはハードルが高くて……」

課長「でもね、だからってやらなければ、いつまで経ってもできないままだ。それに係長がいなくても他に相談できる相手はいたんじゃないのか?」

部下「そう…ですね」

課長「仕事は1人でするものじゃない。遠慮しないで、周りに相談してくれよ」

部下「わかりました」

 

【プロセス④】振り返り支援

課長「じゃあ、もう一度、確認しておきたいんだけど、今回、君が抱えていた問題は何だっけ?」

部下「担当会社が一巡していたのに、誰にも相談できなかったことです」

課長「そうだな。では、なぜ相談できなかったんだろう?」

部下「誰に相談していいかわかりませんでした。それと……相談する勇気がなかったんだと思います」

課長「勇気…か。みんな忙しいから、職場に相談しやすい雰囲気がなくなっていたかもしれないな。その点は、私も努力してみるよ」

部下「ありがとうございます」

課長「ところで、取引先の紹介の件や新規の件だけど、どこから手をつけていく?」

部下「そうですね…。アポイントの取り方とか資料のつくり方とかわからないことも多いので、まずは、係長に相談してみます」

 

【プロセス⑤】期待通知

課長「うん、頼むよ。それと、係長がいない時にわからないことが出てきたらどうする?」

部下「そうですね…。課長に相談してもいいですか?」

課長「もちろん。いつでも聞きに来てくれ」

部下「はい」

課長「(笑顔で)新しいことにチャレンジするのは大変だと思うけど、期待しているよ!」

 

実際の部下指導においては、上記事例のように5つのプロセスどおりにきれいにフィードバックが展開されるケースは少ないかもしれません。でも「守破離(しゅはり)」(※3)ということばがあるように、フィードバック初心者の方は、まず型を守りプロセスどおりに実践してみることです。そして実践を反復することで得られる経験知をもとに、自分なりのフィードバックスタイルを確立することが自身の指導力の強化につながる近道とも言えるでしょう。

 

(※3)

剣道や茶道などで、修業における段階を示したもの。「守」は、師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階。「破」は、他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階。「離」は、一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階。

 

参考文献『フィードバック入門-耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術』中原淳著(PHPビジネス新書)

 


 

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的場正晃(まとば・まさあき)
1990年慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。現在、PHP研究所研修企画部長。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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