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管理職・チームリーダーに求められるアンガーマネジメント

管理職・チームリーダーに求められるアンガーマネジメント

(2019年6月 7日更新)

 
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組織を束ねる管理職やリームリーダーには「アンガーマネジメント」が欠かせません。チームビルディングや職場での人間関係にどのように活かしていくかを解説します。

 

リーダーのためのアンガーマネジメント

リーダーがチームをまとめていく際のアンガーマネジメントについて、検討していきましょう。

PHP通信ゼミナール『「アンガーマネジメント」実践コース』でも指摘されているように、同じ会社の同じ部署に所属するメンバーであっても、一人ひとり価値観や考え方が異なるのは当然です。むしろ全員同じ価値観をもっているほうがかえって不自然です。

そうしたなかで、例えば会議などで各メンバーが意見を出し合い、それを一つの方向性にまとめていくのは、決して簡単なことではありません。議題によっては、正反対の意見が出て対立することもあり得ます。その際、リーダーが自分の考え方を強硬に押し通してしまうと、非常に独裁的になってしまいます。かといってバラバラの意見を全部採用することにも無理が生じるでしょう。結果の責任を負うリーダーが、自分とは相容れない価値観の意見を受け入れるのは、とても困難だといえます。

 

管理職・リーダーは「まあ許せるゾーン」を広げる

そんなときに活用していただきたいのが、アンガーマネジメントにおける「思考のコントロール」という手法です。まずは図をご覧ください。

 

思考のコントロール

真ん中の人物のシルエットがグループのリーダーだとお考えください。会議で出たさまざまな価値観の意見について、①の「許せるゾーン」にあるものは問題なく採用できます。②の「まあ許せるゾーン」についても、意見交換をしたり修正案を出したりしながら許容することができるはずです。リーダーには、この図における②の「まあ許せるゾーン」の範囲を広げるように努力していただきたいと思います。

例えば価値観が合わない意見でも、「せめてここをこう直せば許せる」「最低限このラインが守れるのなら許せる」「少なくともこういう条件だったら許せる」という方向で検討すれば、②の「まあ許せるゾーン」を広げていくことができるでしょう。②の範囲が広がれば、残った③の「許せないゾーン」が狭くなり、幅広い意見を活かした結論が導き出せるようになるはずです。

 

組織・チーム内で「何を優先的に行うか」を検討する

チームとして仕事を遂行していく際、管理職・リーダーが許容範囲を広げて意見をまとめることに加えて、メンバー全員で「組織としての物事の優先順位」を定めておくことも重要です。複数の重要な事柄・要素があって、どちらを優先的に進めるのかがあらかじめ決まっていれば、リーダーもメンバーも迷うことなく、納得してその方針に従うことができます。

アンガーマネジメントで推奨されている「優先順位の決め方」をご紹介しましょう。

まず、「組織内で大切にしている価値観」を列挙し、一覧表にまとめます。例えば「予算達成するべき」「報連相するべき」「定例会議には出席するべき」「残業はするべきではない」「経費は削減するべき」といった「価値観の項目」が出そろったとします。これら6項目に対して、メンバー全員が「1位」から「6位」まで、各々が考える優先順位をつけるのです。仮にメンバーが10名いれば、「予算達成」を1位にする人もいれば、「報連相」を1位にする人もいるでしょう。

全員が順位をつけたら、「価値観の項目」ごとに順位の数字を合計します。順位が高いほど数字は小さいので、「合計数が最も少ない項目」が「最も優先すべき項目」になります。仮に、「予算達成するべき」という価値観の項目に10名全員が「1位」をつけたら、合計数は「10点」になるといった具合です。

 

「優先順位」を決めて、メンバーの「ムダな怒り」を省く

こうして全員で決めた「優先順位」を、日々の業務における「判断基準」にすれば、全員が納得して「優先すべき業務」に取りかかることができるでしょう。仮に「予算達成するべき」が1位で、「定例会議に出席するべき」が2位だったとします。その場合、たとえ定例会議の時間であっても欠席し(あるいは会議を延期し)、「予算を達成するための行動を優先する」というコンセンサスが、あらかじめ取れているわけです。

もしもこの優先順位が決まっていなかったら、ある人は「会議よりも予算達成の業務を先行すべきではないか!」と腹を立てたり、別のある人は、「会議があるとわかっているのに、なぜそれまでに他の仕事を終わらせないのか!」と、逆の理由で腹を立てたりするかもしれません。ところが優先順位が決まっていたら、それに従っている限り、誰もその人の行動に対して「腹を立てる理由」がなくなるのです。

このようにして「ムダに怒らないチーム」をつくることができれば、日々の業務がスムーズに進行し、人間関係も安定した状態が保たれます。そうして成長したチームは、やがて大きな成果を出せるようになるのではないでしょうか。

 

上司部下の人間関係は「怒りのタイプ」別に改善!

アンガーマネジメントを紹介する過去の記事で、人にはそれぞれ「怒りのタイプ」と「怒りの傾向」があることを紹介しました。本シリーズの最後に、「怒りのタイプ」別の上手な付き合い方を一部抜粋しておきたいと思います。

おさらいしておくと、「怒りのタイプ」には、正義や道徳を重んじる「公明正大タイプ」、豊富な知識で完璧を目指す「博学多才タイプ」、プライドが高くリーダー気質の「威風堂々タイプ」、表面は穏やかでも内面は熱い「外柔内剛タイプ」、用心深い八方美人の「用心堅固タイプ」、素直で統率力のある「天真爛漫タイプ」があります。

 

上司や先輩が「公明正大タイプ」の場合

公明正大タイプの上司や先輩は、部下や後輩にも「正しくあってほしい」と思うあまり、行き過ぎた指導をする場合があります。決して悪気があるわけではないので、腹を立てず、「行き過ぎ」の部分については毅然とした態度で正論を伝えましょう。

 

部下や後輩が「公明正大タイプ」の場合

公明正大タイプの部下や後輩は、相手が誰であっても、「間違っている」と思ったらそれを指摘しようとします。本人は使命感に燃えているので、その部分については「期待している」ことを伝え、間違っている部分については丁寧に説明しましょう。

 

上司や先輩が「博学多才タイプ」の場合

博学多才タイプの上司や先輩は、良し悪しやメリット・デメリットを重視します。客観的なデータを用意し、良し悪しを明確にした報告をすると、納得してもらいやすいはずです。

 

部下や後輩が「博学多才タイプ」の場合

博学多才タイプの部下や後輩は、上司や先輩に強いリーダーシップを求める傾向があります。素早く決断し、具体的な指示を出すことで、よい関係性をつくることができます。

 

個々の社員の成長や組織力の向上に有効であるとして、近年注目されている「アンガーマネジメント」を、6回にわたって紹介してまいりました。仕事を円滑に進め人間関係を良好に保つうえで障害となり得る「怒り」を上手にコントロールし、ムダな怒りをなくしつつ、そのエネルギーをよい方向に生かしていく重要性が、お分かりいただけたことと存じます。

経営者や人事担当者の方々は、社員教育・企業研修を計画するうえで、「アンガーマネジメント」もテーマの一つとして検討されてはいかがでしょうか。

 

 

※本記事はPHP通信ゼミナール『「アンガーマネジメント」実践コース』を抜粋・編集して制作しました。

 

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森末祐二(もりすえ・ゆうじ)

フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。


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