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部下の目標達成をサポートする上司の問いかけとは?

部下の目標達成をサポートする上司の問いかけとは?

(2019年7月18日更新)

 
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上司の適切な問いかけは、部下に目標達成への意欲をもたらします。部下の成長のために、上司はどのような問いを投げかけるべきでしょうか。

 

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GROWモデルで重要な「選択肢の創造」

コーチングの入門書などで、よく紹介されている概念のひとつに「GROWモデル」があります。

GROWモデルとは、「Goal」(目標の明確化)→「Reality」(現実把握)→「Resource」(資源の発見)→「Options」(選択肢の創造)→「Will」(目標達成の意志)の単語の頭文字をとったもので、このステップを意識して相手に質問を投げかけていけば、効果的なコーチングができるとされています。5つの要素のそれぞれが重要ですが、中でも「Options」をどれだけたくさん作ることができるかが、コーチングの成否のカギを握ると言われています。

多くの人は、ものごとがうまくいかなかった時、「目標達成のためにあらゆる手段を尽くしたのに、うまくいかなかった」という言い訳をしがちです。しかし、この人たちにさらに突っ込んだ質問を投げかけ、目標達成のために尽くした「あらゆる手段」の内容を詳しく聞いてみますと、せいぜい2つか3つの取り組みしかしていなかったことが明らかになるのです。

事ほど左様に、失敗する人の多くは目標達成に向けて努力はするものの、少しやってみて成果がでないとすぐやめてしまう行動パターンを持っているようです。これでは目標の達成など、とうてい望み得ないのです。

松下幸之助が「成功の要諦は成功するまで続けることにある」という名言を残しているように、目標を達成するまでにありとあらゆる施策を考え抜き、実際にそれに取り組み続ける姿勢こそが、成功する最大の条件なのです。

 

目標達成のための選択肢を部下に考え続けさせる

翻って日常の職場において、上司が部下を指導する際に、目標達成のためにどれだけたくさんの選択肢を出させているでしょうか。目標設定面談などの場面でも、立てた目標を完遂するような選択肢を可能な限りたくさん出させるような問いかけがなされているでしょうか。

部下の目標達成を実現するためには、上司が「ほかにやり方はないか」といった問いを頻繁に投げかけ、部下に新たな選択肢を考え続けさせることが重要です。深く考え抜いた結果、選択肢が増えれば目標達成への意欲は喚起され、成功するまで続けるスタンスに立てるのです。目標達成と成長はそこからスタートすると言っても過言ではないでしょう。

 

松下幸之助、アイロン事業参入のエピソード

ここで、松下電器(現・パナソニック)で語り継がれている有名なエピソードをご紹介します。

昭和2年、松下電器がアイロン事業に参入を決めた際、当時社長であった松下幸之助は、若手技術者N氏を開発・製造の責任者に指名しました。N氏は、アイロンに関する知識をもっていませんでしたが、幸之助の「君なら必ずできる」という一言に心を動かされ、引き受けることになりました。

相談できる人もおらず、大変な苦労を強いられましたが、朝起きてから夜寝るまで、どうすればできるかを考え続けた結果、わずか3カ月で低価格・高品質のアイロンができあがり、ヒット商品になったそうです。後年、N氏は当時を振り返り、「必ず達成しようと考え続けると、恐ろしいような力が湧いてくるものだ」と述べました。

 

考え抜くことの重要性

このエピソードから学べることは、考え抜くことの重要性です。前述の通り、誰もが考えることはしますが、N氏のように寝ている間以外、ずっと考え続けるようなことをしているでしょうか。

また、N氏の考え抜く力を引き出した松下幸之助の人の活かし方も注目に値します。幸之助は、「考えて、考えて、考え抜くと、答えが天から降りてくる」という自身の実践経験を通じて、考え抜けば何らかの答えは見つかるはずだという固い信念をもっていました。だからこそ、知識も経験もない若手技術者であっても信じて重要な仕事を任せたのでしょう。そこには、人間のもつ可能性に対する深い信頼と大きな愛情があるとも言えましょう。

 

上司の問いかけで部下の思考力を鍛える

最近、企業研修の現場で感じることは、受講者の考えがきわめて浅いレベルにとどまっていることが多いということです。それは、管理職研修であっても、若手社員研修であっても同じ傾向にあります。

誰もが、忙しい日々の中で、いろんなことを考えてはいるでしょうが、案外深く考えることなく、ものごとをやり過ごしていることが多いのではないだろうか? そんな思いが日ごとに強まってきます。

答が見つかりにくい時代は、見方を変えれば、人を育てるチャンスです。上司が部下に対して「ほかにやり方はないか」といった問いを頻繁に投げかけ、考え抜くよう要求することは、部下の思考力を鍛えることにつながります。

そのためには、まず上司自身が率先垂範して、なぜ、なぜ、なぜと自問自答する姿勢を貫き、考え抜く風土を職場に定着させる必要があるでしょう。

一朝一夕にできることではありませんが、考え抜く風土づくりに地道に取組み、現状を打破するような新しい発想を現場から生み出していきたいものです。

 

 


 

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的場正晃(まとば・まさあき)

1990年慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。現在、PHP研究所研修企画部長。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

 


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