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「天地自然の理法」とは? 松下幸之助に学ぶリーダーの考え方

「天地自然の理法」とは? 松下幸之助に学ぶリーダーの考え方

(2020年3月25日更新)

 
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強い現場をつくるためのリーダーの考え方を、松下幸之助の経営哲学「天地自然の理法」から学びます。

 

 

松下幸之助の経営哲学「天地自然の理法」とは?

パナソニックグループの創業者であり、PHP研究所の創設者でもある松下幸之助は、経営の秘訣について、雨が降れば傘をさすように当然のことを当然に行う、つまり「天地自然の理法」に従うことと話しています。この「天地自然の理法」について、著書『実践経営哲学』では次のように書かれています。

 

経営というものはまことにむずかしい。いろいろな問題がつぎからつぎへと起こってきて、それに的確に対処していかなくてはならない。(中略)しかしまた、考えようによっては、経営はきわめてやさしいともいえる。というのは、それは本来成功するようにできていると考えられるからである。

私は自分の経営の秘訣というようなことについて質問を受けることがあるが、そういうときに「別にこれといったものはないが、強いていえば“天地自然の理法”に従って仕事をしていることだ」という意味のことを答える場合がある。

天地自然の理法に従った経営などというと、いかにもむずかしそうだが、たとえていえば「雨が降れば傘をさす」というようなことである。雨が降ってきたら傘をさすというのは、だれでもやっているきわめて当然なことである。もしも、雨が降ってきても傘をささなければぬれてしまう。これまた当然のことである。

そのように当然のことを当然にやっていくというのが私の経営についての行き方、考え方である。

 

当たり前のことを当たり前に、できることを一つひとつ確実に遂行することによって、無理せず円滑に仕事を行い、会社を発展させていくのが、ある意味理想の姿といえます。それは経営者だけでなく、現場を預かるリーダーにも必要な考え方であるといえるでしょう。

 

リーダーの考え方に生かすには?

リーダー・管理職向けPHP通信ゼミナール『“強い現場をつくるリーダー”になるための5つの原則』のテキストには、「第4の原則」として「自然の理法に従うこと」が掲げられています。このテキストに沿って、リーダーに求められる考え方をご紹介していきましょう。

たとえば、先にご紹介した「雨が降れば傘をさす」については、「よい製品をつくる」「それを適正価格で販売する」「販売したあとは、必ず料金を回収する」といった、当たり前のことを一つひとつ確実に行っていくという考え方が紹介されています。

これらはごく当たり前のことですが、意外に実行できていないときもあります。検品のミスで不良品を見逃して出荷してしまったり、無理に値切られて原価割れする価格で販売したり、販売後に集金がスムーズにできていなかったりする場面が、日々の業務の中で絶対にないとはいえません。これらはすべて「雨が降ったのに傘をささずに濡れている状態」です。濡れたら風邪をひきやすくなるように、多かれ少なかれ経営に悪影響が出ます。つまり「現場が弱くなる」ということです。

 

無理をせず確実に仕事をこなす

仕事では「無理をしない」ことも大切です。例えば何かの注文を受けるときには、自社の技術力・資金力・生産力・マンパワー等で対応可能な範囲にとどめる必要があります。時にはキャパシティーいっぱいの仕事をしなければいけないこともあるかもしれません。しかし、それを超える規模の仕事を請け負うと、いろいろなところに無理が生じて、注文に応えられなかったり、納期に間に合わなかったりして、結局はお客様に迷惑をかけてしまいます。つまり「無理をする」ということは「自然の理法にかなっていない」ということであり、それが失敗につながるのです。会社や各部署の実力を考慮し、無理をせず、確実に仕事をこなしていくことで、やはり「強い現場」を育んでいけるはずです。

 

「対立と調和」のバランスを取り「共存共栄」を

また、円滑に仕事を進めるためには、関係先との「共存共栄」を図ることも重要です。例えば協力業者に無理をさせるような発注をしたり、競争相手に勝つために過酷な過当競争を繰り広げたりすると、やがて人も会社も疲弊し、持ちこたえられなくなったところから倒産したり縮小したりして、共存共栄できなくなります。これでは「万物は生成発展する」という「自然の理法」にかなった仕事とはいえません。

決して競争を排除するということではなく、健全な競争をしながら切磋琢磨し、ともに発展していけるよう努めることが大切です。これは前述の「対立と調和」の考えにも一致しています。協力会社や競争相手とは、対立する利害を超えて、調和を図っていくことが理想だといえます。やはり「自然の理法」に沿う道が、現場を強くしてくれるのです。

 

現場のリーダーに求められる「凡事徹底」

テキストでは、「凡事徹底」という言葉も紹介されています。前述の「雨が降れば傘をさす」という考え方は、「当たり前のことを当たり前にやる」という意味でしたが、凡事徹底は、その当たり前のことを徹底して行い、長く続けていくということになります。たとえ平凡な仕事であっても、それを徹底し、継続していくうちに、やがて非凡といわれるレベルに高まっていくのです。

例えば前述した、「良い製品をつくり、適正価格で販売し、きちんと集金する」という凡事を、30年も40年も続けたら、顧客から強い信頼を得ることができるでしょう。それはまさに「強い現場」そのものであるといえます。

企業のリーダー教育においては、こうした「自然の理法」に基づいた組織運営ができる人材を育てていくことが、非常に重要なのではないでしょうか。

 

松下幸之助5つの原則研修プログラム

 

 

森末祐二(もりすえ・ゆうじ)

フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。


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