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組織と個人のつながりをつくる

組織と個人のつながりをつくる

(2020年5月11日更新)

 
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リモートワークの推進が働き方を大きく変えています。ワークライフバランスの改善、仕事の効率アップなど、数々のメリットがある反面、組織と個人とのつながりが脆弱化してしまうリスクもはらんでいます。

組織と個人をつなぎとめるにはどうすればいいのでしょうか。

 

低下するエンゲージメント

米国のギャラップ社が世界各国の企業を対象に実施した従業員のエンゲージメント(会社や仕事への愛着心、思い入れ)調査(2017年)によると、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかないという衝撃的な事実が明らかになりました。この調査が発表されてから3年が経ちますが、コロナ禍にゆれる現在はもっと状況が悪化しているのではないでしょうか。

かつての日本企業は「金太郎飴」と揶揄されるほど、トップの号令一下、組織全体が一つの方向を向いて仕事に取り組むのが強みでした。ところが、グローバル化、デジタル化の進展によってその強みが弱みに転じた結果、経営のかじ取りがぶれ、方針があいまいになって「わが社はどこに向かっているのか」「何のためにこの仕事をするのか」が見えにくくなってしまいました。

また、組織の大半を占めるようになった「ミレニアル世代」(1980〜2000年に生まれた世代)は、旧世代と異なる価値観をもっているにも関わらず、それを理解していない管理職のもとでやる気を失っていきました。

こうした要因が複合的に絡み合って、自分の会社や担当業務に対するエンゲージメントが低下し、冷めた社員が増加していったように思われます。

 

トップダウン型からボトムアップ型のマネジメントへ

今後、日本企業はどうすればいいのでしょうか。

現場レベルでまずできることは、マネジメントスタイルの切り替えでしょう。つまり、指示命令で人を動かすトップダウン型のマネジメントではなく、相談調でメンバーの意見を求めるボトムアップ型のマネジメントへと意識と行動を変えることです。

トップダウン型のマネジメントからは、やらされ感が生じ、他責の姿勢、依存心、傍観者的態度につながりやすくなります。これではエンゲージメントを高めることは難しいでしょう。一方のボトムアップ型のマネジメントからは、「自分も部門経営に参画している」感覚が生み出され、主体者意識とやる気が高まって、各人のもつ情報や知恵が集まることになります。

 

松下幸之助「衆知を集めた全員経営」

世界的なベストセラーとなった書籍『ティール組織』(F・ラルー著・英治出版)で紹介されている企業事例を見ると、いずれの企業もボトムアップ型マネジメントを採用していることがわかります。ボトムアップ型マネジメントは最先端のマネジメント手法なのですが、実は松下幸之助が、半世紀以上前から実践していた経営の進め方と通じる部分が多いのです。

幸之助は「衆知を集めた全員経営」という表現で、自身の経営の進め方を以下のように述べています。

 

「みんなが知恵を出し合って、いわば衆知をもって経営しなければならないということを、私はくり返し申し上げております。一つの課は必ず衆知をもって経営してもらいたい。部またしかりであります。衆知を集めるには、衆知を集められるように考えなければなりませんし、また皆が知恵を出さなければなりません。みんなが出し合うためには、気安くお互いにものを言うようにしなければなりません。上司に対しても気安くものを言う。上司もまた気安くものを言うようにする。一見、友だちのごとくやる。そして規律はピチッと守っていく。そういうようにすれば非常に愉快に仕事ができると思います」(1961年12月16日)

 

アフターコロナのマネジメント

アフターコロナの世界は、社会の仕組みや価値観が様変わりすると言われます。しかし、人間の本質というものは変わりません。すなわち、人間は「自分が必要とされている」「自分がやらなければいけない」という感覚を味わった時、喜びややりがい、責任感をもつようになる存在なのです。

リモートワークの普及が、確実に組織と個人の関係に影響を及ぼすでしょう。フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが減って、エンゲージメントがさらに低下してしまっては元も子もありません。今こそ、人間の本質に立脚したマネジメントを、デジタル技術を駆使しながら、上手に実践する時代になったのではないでしょうか。

 

 

管理職教育・研修


 

 
的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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